2015年にリリースされたFetty Wap(フェティ・ワップ)の「My Way」は、トラップ特有の重低音に甘いメロディを乗せ、全米チャート7位を記録した歴史的ヒット曲だ。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったDrake(ドレイク)がInstagramで直々にリミックスへの参加を熱望したことでも知られ、サンプリングを一切使わない完全オリジナルなサウンドで世界を席巻した。デビューから4曲連続で全米トップ10入りという、ソロ男性歌手としてビルボード史上初の快挙を成し遂げた彼のキャリアにおける重要作である。
🎧 クイック概要:10秒でわかる基本データ
| 項目 | 内容 |
| アーティスト / 曲名 | Fetty Wap feat. Monty – My Way |
| 収録アルバム | 『Fetty Wap』(2015年) |
| サンプリング元 | なし(FL Studio内蔵音源による完全オリジナル制作) |
| 最高位 | 米Billboard Hot 100 7位 |
舞台裏の真実:Drakeと交わした「FaceTime」での直談判

リミックス誕生の経緯には、Drakeによる極めて異例なアプローチがあった。
当時、すでに「Trap Queen」で注目を集めていたFetty Wapに対し、DrakeはまずInstagramで「リミックスをさせてほしい(bless it)」と公言。その後、Fettyがライブ後の飛行機を降りた際、Drake本人からFaceTime(ビデオ通話)で直接着信があった。Drakeはクラブのスピーカーから流れる「My Way」を背に、「今夜、この曲を録らせてくれないか?」と打診。スーパースター自らが「ファン」として参加を願い出たこのエピソードは、当時のシーンに衝撃を与えた。
なお、音源は公式発表前に一部リークされたことで爆発的な期待を生み、その後の公式リリースでSoundCloudのサーバーが一時ダウンするほどの社会現象となった。
制作の秘密:サンプリングに頼らない「100%デジタル」の勝利
多くのヒップホップ曲が過去の権利関係に苦しむ中、「My Way」にはサンプリング元が一切存在しない。
プロデューサーのNickEBeats(当時20歳)は、音楽制作ソフト「FL Studio」に内蔵されている標準プラグイン(3xOsc等)のみを駆使し、あのキラキラとした中毒性のあるシンセフレーズを構築した。NickEBeatsは「YouTubeにアップしていた『Fetty Wap Type Beat』を本人のチームが見つけたのが始まりだ」と語っており、インターネット時代のサクセスストーリーを体現している。
「1738」の誇りと、親友Montyへ贈った1,700万円の友情

曲の冒頭で象徴的に叫ばれる「1738」。これはFetty Wapが所属するクルー「Remy Boyz」のアイデンティティであり、彼らが愛飲していた最高級コニャック「レミーマルタン1738アコード・ロワイヤル」に由来する。
客演のMonty(モンティ)は、Fettyが下積み時代から苦楽を共にした無二の親友だ。
- 14万ドルのサプライズ:2015年12月、Fettyはこの曲の成功で得た富で、Montyに新車のBMW i8(当時約14万ドル / 約1,700万円相当)をプレゼントした。Montyが感激のあまり駐車場で泣き崩れる動画はSNSで瞬く間に拡散され、「ヒップホップ界で最も美しい友情」として現在も語り継がれている。
ビルボード史上初の快挙:エミネムの記録を塗り替えた全盛期
「My Way」のヒットにより、Fetty Wapはビルボードチャートの歴史に名を刻んだ。
- 3曲同時TOP11入り:2015年9月付のチャートで「679」「Trap Queen」「My Way」の3曲を同時にTOP11位以内に送り込んだ。これはラッパーとしては2013年のエミネム以来の記録だが、「キャリア最初の3曲」が同時にこの順位に並んだのは、全アーティストを含めてビルボード史上初の快挙であった。
- 不屈の精神:アルバム発売直後、故郷ニュージャージー州パターソンでバイク事故に遭い、左足を3箇所骨折。しかし、彼は車椅子でステージに立ち続け、この曲を歌い上げた。その「自分のやり方(My Way)」を貫く姿が、楽曲の説得力をさらに高めたのである。
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まとめ:時代を定義した「自分のやり方」
Fetty Wapの「My Way」は、サンプリングという既存の枠組みに頼らず、徹底的に「耳に残るメロディ」を追求した結果生まれた。2010年代半ばに花開いたメロディック・トラップの頂点として、今もなお色褪せない輝きを放っている。
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