2009年に発表したアルバム「Trey Day」はキャリア初の全米チャートTop10内にランクインし、グラミー賞「最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス賞」にノミネートとなったTrey Songz (トレイ・ソングス)。
またNicki Minajとのシングル「Bottoms Up」(2010)は、クラブを中心に人気を集め、R&B/Hip Hopチャート2位にランクイン。
2012年に発表したアルバム「Chapter V」は全米チャート1位に輝き、収録曲の「Heart Attack」はグラミー賞「最優秀R&Bソング」にノミネートとなりました。
そんな彼が8枚目のアルバム「Back Home」(2020)をドロップ。
今回はこの中から、同タイトルでもある先行シングルの「Back Home」をピックアップして元ネタを解説します。
楽曲情報
Trey Songz (トレイ・ソングス)
出身地 :バージニア州ピーターズバーグ
生年月日:1984年11月28日
ジャンル:R&B
Summer Walker (サマー・ウォーカー)
出身地 :ジョージア州アトランタ
生年月日:1996年4月11日
ジャンル:R&B
レーベル
Atlantic Records
プロデューサー
Cardiak
Chrishan
Hitmaka
元ネタ・サンプリング
Cam’ron feat. Juelz Santana – Oh Boy (2002)
Rose Royce – I’m Going Down (1976)
Trey Songz feat. Summer Walker – Back Home (2020)
元ネタ・サンプリング 1
Cam’ron feat. Juelz Santana – Oh Boy (2002)
元ネタとなったのは、ニューヨークを拠点とするラップグループThe DiplomatsのメンバーであるCam’ronの「Oh Boy」(2002)です。
この曲は彼の3枚目のアルバム「Come Home with Me」(2002)からリードシングルとしてリリースし、R&B/Hip-Hopチャートでは5週連続で1位を獲得。
プロデューサーには数々のクラブヒットを手掛けたJust Blazeがプロデュースし、「Oh Boy」のビートは元々Memphis Bleekの為に作られたとJust Blazeが明かしています。
もともとは、もっと速いビートだったんだ。Bleekのためにアップテンポの曲として作ったんだけど、彼はそれを断ったんだ。 俺はそれを作り直して遅くしたけど、彼はそれを良く感じていなかったんだ。 そこにJay-Zが入ってきてこのビートを聴いて「これはシリアスだ」と言ったけど、彼はその時アルバムを作っていなかった。 彼は「Blueprint 2」を完成させたばかりだったから「これを持っていてく」』と言ったんだ。 そういうビートは山ほどあるよ。Jayは「Pump It Up」(Joe Buddenのヒット曲)について同じことを言ってたね。 ビートを聴いて気に入っても、1年後にアルバムを作っているときには気に入らないこともあるみたいだよ。
ラッパーの好みによってビートの修正を行うほかに、他のラッパーに渡さずにキープするなど、売れっ子プロデューサーJust Blazeならではの苦労があったように思えますね。
またこの「Oh Boy」は「Oh Girl (Oh Boy Remix)」と題したBirdman, TQ, Jim Jonesが参加したRemixも翌年にリリース。
当初はビートを気に入っていたJay-Zも参加していましたが、彼のバースにはビーフ関係であったNasへのDisがあった為に削除となりました。
これについて客演で参加しているJuelz Santanaは次のように語っています。
俺たちがスタジオに入ったら、Jay-Zが「みんなにサプライズを用意したよ」って言ったんだ。 この時点で俺らは、彼が参加できたはずのレコードになぜ参加しようとしないのか不思議に思っていたんだ。 それでスタジオの部屋に入って「何かサプライズがあるのかな」と思っていたらYoung Guru(Jay-Zのレコーディングエンジニア)がJay-Zのヴァースを入れた「Oh Boy」を出してきたんだ。 そのJay-Zのヴァースの上で、Nasをディスっているんだよ。 CamはGuruにそのヴァースを消させたよ…「それを消した方がいい、絶対に聞きたくない」と言うほどだったね。
Cam’ron feat. TQ, Birdman & Jim Jones – Oh Girl (Oh Boy Remix) (2003)
元ネタ・サンプリング 2
Rose Royce – I’m Going Down (1976)
さらに深堀りするとR&B,SoulグループのRose Royceの「I’m Going Down」(1976)です。
この曲は映画「Car Wash」のサントラにも収録され、シングルはR&Bチャート10位にランクイン。
1994年にR&BシンガーMary J. Bligeが、アルバム「My Life」の中でカバーしたことでも知られています。
Mary J. Blige – I’m Goin’ Down (1994)
終わりに
元ネタとなった「Oh Boy」はJay-Zにまつわる意外なストーリーがあったことに驚きましたね。
また前作の「Tremaine」から約3年振りのアルバムリリースとなったTrey Songz。
Ty Dolla $ign、Swae Leeなどが参加した今作も、この機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。
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