Around The Way「Really Into You」90年代R&B名曲の魅力とサンプリングの秘密

1990年代
1990年代A
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1990年代初頭、R&Bとヒップホップが溶け合い、新たなグルーヴが生まれつつあった時代。その空気を見事に封じ込めた一曲が、Around The Wayの「Really Into You」である。爆発的なヒットとはならなかったが、この曲は時代を象徴する心地よい響きを持ち、音楽史の片隅で静かに輝きを放ち続ける宝石のような作品だ。

Around The Way – Really Into You (1992)

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名曲の遺伝子を受け継ぐサウンド

この曲が持つ魅力の核心は、Grover Washington Jr.とBill Withersによる不朽の名作「Just the Two of Us」をサンプリングしている点にある。誰もが知るあの洗練されたメロディを下敷きにすることで、聴く者の耳に懐かしさと親密さをもたらす。この引用こそが、90年代R&Bの魔法であった。

Grover Washington Jr. & Bill Withers – Just the Two of Us (1981)

しかし、「Really Into You」は単なる焼き直しではない。プロデューサーのKenny Diazは、そこにヒップホップ由来の軽快なドラムビートを加え、都会的でジャジーなシンセのコードを重ねた。ラジオから流れても、クラブでかかっても映えるそのサウンドは、あくまでスムース。元曲への敬意と、時代を切り拓く先進性が見事に融合したプロダクションである。

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甘く、切ない恋心の描写

歌われているのは、恋が始まる瞬間の高揚感そのものだ。出会った相手の仕草、雰囲気、そのすべてに心を奪われ、「本気であなたに惹かれている」と伝える、ストレートなラブソングである。

特徴的なのは、ラップと歌が交互に展開される構成だ。これにより、溢れ出しそうな感情の波が巧みに表現されている。歌詞の世界では、主人公は自身の強い恋心を認めた上で、その先の関係を相手に委ねる。「あなたに夢中だから、この恋をどうするかは、あなたに決めてほしい」——そんな甘く切ない問いかけが、聴く者の心を揺さぶる。

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シーンに現れた才能と、その軌跡

この曲を生み出したAround The Wayは、ニューヨークを拠点としたマイケル・アンソニー・バートット、レナ・フラティチェリ、カシュー・マイルズからなる3人組ユニットだ。1992年に本作を発表し、翌年にはアルバム『Smooth Is the Way』をリリース。シングルは全米チャートのトップ100に食い込むなど、一定の評価を獲得し、メジャーシーンで短期間ながらも確かな足跡を残した。

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時代を超えて再発見される価値

「Really Into You」は、歴史に名を刻む大ヒット曲ではないかもしれない。しかし、その音楽的価値が色褪せることはなかった。ストリーミングやYouTubeが普及した現代において、この曲は再び光を浴びている。90年代のR&Bやサンプリング文化を深く探求するリスナーやDJたちによって掘り起こされ、時代を象徴する隠れた名曲として語り継がれているのだ。

結論として、「Really Into You」は90年代初頭のR&Bとヒップホップの幸福な出会いを体現した一曲である。チャートの順位という指標だけでは測れない、普遍的な心地よさと文化的意義を、今なお静かに放ち続けている。

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