2Pac「Do for Love」徹底解説|死後リリースの名曲とBobby Caldwellサンプリングの真実

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2Pac (トゥーパック)とEric Williams (エリック・ウィリアムズ)による「Do for Love」は、彼の死後に世に出たにもかかわらず、今も多くのリスナーに深く愛される名曲である。
この楽曲は、ヒップホップの歴史を語るうえで欠かせない存在であり、サンプリングの妙、そして2Pac自身の人間味あふれる表現力が融合した一曲となっている。

2Pac feat. Eric Williams – Do for Love (1997)

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リリースと背景

「Do for Love」が収録されたのは、1997年11月25日にリリースされたアルバム『R U Still Down? (Remember Me)』である。これは2Pacの死後初めて世に出たフルアルバムであり、彼の母アフェニ・シャクールが設立したレーベル「Amaru Entertainment」からの最初の作品でもあった。

制作陣には、QDIIIやMike Mosley、そしてデンマーク出身のプロデューサーユニットSoulshock & Karlinといった錚々たる面々が名を連ねている。収録楽曲の多くは1992年から94年にかけて録音されていた未発表曲であり、『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』『Thug Life: Volume 1』『Me Against the World』といった時期に残された音源をもとに再構築された。つまり『R U Still Down?』は、2Pacが生前に思い描いていた構想を、死後に形にした作品である。

アルバムは全米チャートで2位を記録し、2Pacの不在にもかかわらず、彼の存在感がいかに大きかったかを証明する結果となった。

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「Do for Love」という楽曲の本質

「Do for Love」では、Blackstreetのメンバーとしても知られるR&Bシンガー、Eric Williamsがボーカルで参加している。ソウルフルな歌声と2Pacのリリカルなラップが絡み合い、切実でありながらもどこか温かみを感じさせる楽曲に仕上がっている。

そのテーマは「愛のために尽くすこと」である。出会った頃は理想的だった関係が、次第に嫉妬や浮気、妊娠といった問題に揺さぶられていく。離れたいと願いながらも、結局は相手の言葉や存在に引き戻されてしまう。そんな矛盾と葛藤を、2Pacは包み隠さず表現している。

サビにはBobby Caldwellの「What You Won’t Do for Love」の一節が引用され、理性を失ってでも愛に身を投じてしまう“sucker for love”という姿が鮮烈に描かれている。

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サンプリングの妙と音楽的背景

「Do for Love」の最も特徴的な要素の一つが、そのメロウなトラックである。このトラックは、アメリカのシンガーソングライター、Bobby Caldwell (ボビー・コールドウェル)が1978年に発表した楽曲「What You Won’t Do for Love」をサンプリングしている。

Bobby Caldwell – What You Won’t Do for Love (1978)

原曲の印象的なホーンセクションとメロディラインを巧みに取り入れることで、「Do for Love」は原曲の持つAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)の洗練された雰囲気と、ヒップホップのストリート感が融合した独特の世界観を生み出している。

サンプリング元である「What You Won’t Do for Love」を歌うBobby Caldwellは、”ブルー・アイド・ソウル”を代表するアーティストとして知られている。彼のデビューアルバム『Bobby Caldwell』に収録されたこの曲は、彼の最大のヒット曲であり、彼の代名詞とも言える楽曲だ。

さらに、この楽曲にはThe Pharcydeの「Y? (Be Like That) (Jay Dee Remix)」からの要素が一部取り入れられているとされる。のちにJ Dilla本人が「自分のリミックスが無断で使われた」と主張したというエピソードは、サンプリング文化における権利やクレジットをめぐる議論の一例としても知られている。

The Pharcyde – Y? (Be Like That) (Jay Dee Remix) (1996)

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遺された名曲としての価値

2Pacの「Do for Love」は、彼の死後に発表された楽曲でありながら、彼の音楽的才能と人間的な魅力を存分に感じさせる一曲である。Bobby Caldwellの名曲をサンプリングソースとして使用することで、時代を超えて聴き継がれる普遍的な魅力を放っている。ヒップホップファンのみならず、全ての音楽ファンに聴いていただきたい名曲と言えよう。

一方で、前述のようにJ Dillaによる「無断使用・クレジット侵害の主張」が後に語られるなど、サンプリングや制作過程における著作権・クレジット配分に関する議論も本曲に関して存在することを付記しておく。

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