2024年にシングル「Big Dawgs」がTikTokでバイラルヒットし、Spotifyで4億回以上のストリーミングを記録したインド出身のラッパー、Hanumankind (ハヌマンカインド)。彼の名は瞬く間に世界へと広がり、ヒップホップシーンにおいて注目の存在となりました。
そんな彼が2025年3月、新曲「Run It Up」を発表しました。この楽曲は、自己実現と成長をテーマにした力強いメッセージが込められており、音楽的にはヒップホップのグルーヴとインドの伝統楽器が見事に融合し、独自の世界観を生み出しています。
Hanumankind – Run It Up (2025)
楽曲のプロダクションとメッセージ

「Run It Up」は、「Big Dawgs」を手掛けたインド出身のプロデューサー、Kalmiが再びプロデュースを担当。エネルギッシュなトラックが印象的であり、特に南インド・ケララ州の伝統打楽器「チェンダ」が用いられている点が特徴的です。祭りや儀式で使用されるこの楽器が楽曲に独特のグルーヴを加え、文化的な深みをもたらしています。
楽曲のタイトル「Run It Up」は、「成功を積み重ねる」「成果を出し続ける」といった意味を持ちます。そのテーマの通り、この曲は努力を重ね、成功を掴み取ることの大切さを歌っています。「太陽が昇ったら稼げ」といったフレーズが繰り返されることで、絶え間ない努力の重要性が強調され、また「先祖の重みを感じる」といった表現からは、歴史的な苦難を背負いながらも前進する決意が伝わってきます。
さらに、社会の不公平さに対する怒りも表現されており、「正義が実現することはない」といったリリックには、抑圧される側のフラストレーションが込められています。しかし、楽曲全体のトーンは単なる絶望ではなく、「俺たち全員に賭ける」というフレーズに象徴されるように、仲間と成功を分かち合いながら共に成長する前向きな姿勢も描かれています。ストリートのリアルな現実、そこから抜け出し夢を掴むための野心、そして社会への批判が力強く織り交ぜられた1曲となっています。
ミュージックビデオとビジュアル表現

「Run It Up」のミュージックビデオは、「Big Dawgs」でも監督を務めたBijoy Shettyが手掛け、インドの伝統武術や舞踊を取り入れた視覚的にもインパクトのある作品に仕上がっています。特に、カラリパヤットゥ(インド最古の武術)やガトカ(シーク教の戦闘術)などがフィーチャーされ、楽曲のメッセージと文化的背景が色濃く表現されています。
Hanumankindの今後の展望

この楽曲は、2025年のコーチェラ・フェスティバルで初披露される予定となっており、彼の国際的なキャリアにおいて重要な一歩となります。インドのヒップホップシーンを牽引するアーティストとして、彼が今後どのような音楽を生み出していくのか、大きな期待が寄せられています。
「Run It Up」は、単なるヒップホップソングではなく、Hanumankindの文化的アイデンティティとグローバルな音楽シーンへの適応が見事に融合した作品です。彼の音楽が今後どのように進化していくのか、世界中のファンが注目しています。
コメント