Lil Uzi Vert (リル・ウージー・ヴァート)の「The Way Life Goes」は、失恋の痛みに寄り添い、再生を歌うエモ・ラップの金字塔だ。トラップ全盛期に、インディー・ポップの繊細なメロディを融合させたこの曲は、今も世界中で聴き継がれる名曲である。最大の聴きどころは、イギリスのデュオ・Oh Wonder (オー・ワンダー)の「Landslide」を大胆に引用し、切なくも「人生は続く」という力強いメッセージを吹き込んだ点にある。
🎧 クイック概要:10秒でわかる基本データ
| アーティスト / 曲名 | Lil Uzi Vert feat. Oh Wonder – The Way Life Goes |
| 収録アルバム | Luv Is Rage 2 (2017) |
| サンプリング元 | Oh Wonder – Landslide (2015) |
| 最高位 | 米 Billboard Hot 100 24位(リミックス版) |
💔 「I know it hurts…」あの一行がすべてだった
この曲を象徴するのは、一度聴いたら耳から離れないサビのフレーズだ。
“I know it hurts sometimes, but you’ll get over it / You’ll find another life to live”
(時には痛むこともあるけれど、君なら乗り越えられる。新しい人生がきっと見つかるはずさ)
この部分は、Oh Wonderの「Landslide」をそのままサンプリングしたものだ。実は制作当時、Oh Wonder側はこのサンプリングを事前に知らされていなかった。しかし、完成した曲を聴いた彼らは「僕たちのメッセージを完璧に捉え、新しい命を吹き込んでくれた」とSNSで絶賛し、後にLil Uziとステージで共演するほどの絆が生まれたという。
🎙 インタビューで語られた「失恋のリアル」

2017年のアルバムリリース時、Lil Uziはメディアに対し、この曲が自身のパーソナルな感情に基づいていることを明かしている。
「これは物事を乗り越えるための曲だ。時には、ただ前へ進ま(move on)なきゃいけない時があるんだ」
重要なのは「忘れる」ことではなく「move on(前へ進む)」という言葉を選んだ点だ。Lil Uziは決してポジティブなだけのキャラクターではない。未練、皮肉、強がり、そして本音。それらが混在した彼の歌声は、同じように失恋を経験したリスナーの心に深く刺さった。
🔥 ニッキー・ミナージュとの「共鳴」で大ヒットへ

リリースから数ヶ月後、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)を迎えたリミックス版が公開され、ヒットは決定的なものとなった。ニッキーはこの曲を聴いて激しく感動し、自らリミックスへの参加を熱望したと言われている。
ニッキーが女性側の視点からバースを加えたことで、この曲は「一人のラッパーの独白」から「男女双方の感情が交錯するドラマ」へと進化を遂げた。その結果、Billboard Hot 100で最高24位を記録し、Uziのキャリアを代表する1曲となった。
🎛 サンプリングの妙:なぜインディー・ポップだったのか?
プロデューサーのDon CannonとIke Beatzは、あえてヒップホップの枠を超え、繊細なインディー・ポップをトラップビートに融合させた。さらに、同レーベルの盟友Playboi Cartiの「Broke Boi」から「Yeah, I’m with the winning team」というラインを引用(インターポレーション)するなど、細部まで遊び心が詰まっている。
こうしたジャンルレスな姿勢こそが、ヒップホップファンだけでなく、ロックやポップスを聴く層にもこの曲が届いた要因だろう。
🌍 結論:なぜ今でもこの曲が語り継がれるのか?
「The Way Life Goes」がリリースから何年経っても古びない理由は明確だ。失恋は、誰の人生にも、何度でも訪れるからである。
- エモ・ラップをメインストリームに押し上げた先駆性
- インディー・ポップとトラップの奇跡的な融合
- 「人生は続く(The Way Life Goes)」という普遍的な肯定
派手なクラブアンセムではないかもしれない。しかし、一人の夜に、あるいは痛みを乗り越えようとする瞬間に、人はこの曲を再生する。Lil Uziが放った「You’ll get over it」という言葉は、今も世界のどこかで誰かを救い続けている。
関連記事はこちら




コメント