Muni Long最新シングル「Delulu」解説|恋愛妄想を肯定するR&B

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フロリダ出身のシンガー/ソングライター、Muni Long(マニー・ロング)は、現代R&Bシーンを代表する実力派である。自身の楽曲「Hrs & Hrs」でグラミー賞を受賞した後も、「Made For Me」などのヒット曲を生み出し、シンガーとしての存在感を確立してきた。そして2025年10月、彼女は新たなシングル「Delulu」を発表した。

Muni Long – Delulu (2025)

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理性を超えた「妄想的な恋愛」を描く歌詞

「Delulu」というタイトルは、“delusional=妄想的”を意味する。その名の通り、楽曲は出会って間もない相手に対する妄想的な恋心をテーマにしている。主人公は「すでにすべてを想像してしまう」「ゆっくり進めるつもりはない」と堂々と宣言し、恋にのめり込みすぎる心理を率直に描き出す。

歌詞には、相手への一方的な期待と、それを自覚したうえで突き進む強さが表れる。

「Little do you know, I'm tryna make you my baby」
「I'm delusional, delusional / Thinking I could have it all」

相手に強く惹かれ、「この人が運命の人だ」と信じ込む一方で、自分でも「少しおかしいかも」と自覚する。その結果、ブロックやアンブロックを繰り返し、別れた後も戻る——恋に溺れる心理を丁寧に描写することで、単なる軽い妄想ではなく「真摯な恋愛依存」として成立させている。

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公開の経緯と本人のコメント

シングル「Delulu」は2025年10月17日にリリースされ、Muni Long自身のSNSでも発表された。彼女は投稿でこう述べている。

「I'm out here being delusional and having my way again. My new single Delulu out on 10/17. And yes I will be singing it on tour.」
(妄想しながらまた自分の道を進んでいる。新曲『Delulu』は10/17リリース。ツアーでも歌うよ)

妄想的な恋心を肯定しつつ、それをパフォーマンスの一部として提示する姿勢がうかがえる。

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真摯な狂気を宿すボーカルとサウンド

「Delulu」の中心には、Muni Long得意の感情豊かなボーカルが据えられている。柔らかいファルセットと力強い芯のある声が交差し、聴く者に“彼女の妄想は本気である”という確信を与える。

サウンド面では、90年代R&Bを思わせる煌びやかなビートが特徴だ。過度に装飾せず、ボーカルの語りかける力を最大化するプロダクションにより、リスナーはまるで「最初のデート直後に頭の中で物語が展開していく」感覚を体験できる。率直で感情的なボーカルと控えめながら効果的なビートが融合し、ラジオやプレイリストでの瞬発力を持ったシングルとしての完成度も高い。

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現在のキャリアと「Delulu」の位置付け

2021年の大ヒット「Hrs & Hrs」以降、Muni Longは作家性と歌手性を両立させながらキャリアを構築してきた。2024年にはアルバム『Revenge』を発表し、2025年もツアーやコラボ活動を精力的に行っている。その中での単独シングル「Delulu」は、恋愛の即物性をポップに圧縮したスナップショット的作品であり、今後のシングル群やアルバム収録曲への橋渡しとなる重要な一曲だ。

Muni Longは今回も、自身の感情と妄想を逃げずに見つめ、それを音楽として最大限に表現した。妄想的な恋心の強さ、矛盾、そして真摯さ——それらすべてを包み込む「Delulu」は、現代R&Bの新たな魅力を提示する作品である。

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