ガーナ出身のシンガーMOLIY(モリー)と、南アフリカのスターTyla(タイラ)がタッグを組んだシングル「Body Go」がリリースされた。
アマピアノの重いベースライン、アフロビーツの躍動的なリズム、そしてR&Bの滑らかな質感が溶け合い、夜の街で仲間と踊り明かす、あのどうしようもなく高揚する瞬間を切り取ったようなダンスチューンである。
MOLIYが持つポップなフックの引力と、Tylaのチャーミングな存在感が完璧に融合し、パンアフリカンな祝祭のムードを強烈に放っている。
MOLIY & Tyla – Body Go (2025)
出会いの物語──「もうひとり、バディが必要だった」
このコラボレーションは、偶然と直感、そして“女性同士の絆”から生まれた。
MOLIYが「Body Go」の録音を終えたとき、彼女は直感的に「もうひとり“baddie(=イケてる女性)”が必要だ」と感じたという。そこで彼女はTylaにデモを送った。
するとTylaは曲を聴いた瞬間に共鳴し、まだ会ったこともないうちに自分のバースを録音して送り返した。
MOLIYは当時をこう振り返る。
「彼女がバースを返してくれたとき、それは完璧だった。初めてニューヨークで会ったときも、まったく“初めて”って感じがしなかった。ずっと笑ってたし、Tylaは私の誕生日に花束までくれたの。ほんとに“girl’s girl(女友達思いの女性)”って感じ!この曲が“女の子たちの夜”にぴったりのエネルギーを持っていると確信したわ」
Tylaもこの出会いをこう語っている。
「『Body Go』を初めて聴いた瞬間、“これは絶対に参加しなきゃ”って思った。ニューヨークでMOLIYに会ったときは、まるで昔からの友だちに会ったような気分だった。この曲はすごく特別。遊び心があって、軽やかで、仲間と外で思いきり楽しんでいる気分になれる。深く考えずに、ただ生きて、ただ動く——そんな感覚。MOLIYとはこのトラックですぐに波長が合ったの」
二人の間に生まれた確かな絆と化学反応こそが、「Body Go」の中に息づくエネルギーの源泉である。
サウンドの魅力──踊れ、腰を振れ、ただ生きるように

「Body Go」のサウンドは、クラブにも屋外フェスにも対応する絶妙なバランスで構築されている。
アマピアノ特有の低くうねるベースラインに、アフロビート由来のシンコペーションが絡み、MOLIYのウェットなボーカルとTylaの軽快なフロウが絶妙に交わる。
歌詞では、自信に満ちた女性たちがダンスフロアで輝く姿が描かれている。
中心となる「Dance, whine your body, go(踊って、腰を振って、体を動かして)」というフレーズは、音楽に身を委ねて理性を解き放ち、思いきり楽しむことを促すメッセージだ。
MOLIYは自らの魅力を誇り、Tylaは「誰にも真似できない存在」であることを堂々と示す。
この曲は、女性の美しさ、強さ、そして自由を祝福するアンセムであり、ダンスを通して“自分らしさ”を取り戻すためのエネルギーを放っている。
大陸を繋ぐ二つの才能
このコラボレーションが特別なのは、二人の現在の立ち位置にある。
MOLIYは「Shake It To The Max」などのヒットによって注目を集め、アフロポップとR&Bを自在に横断するスタイルで国際的なファンを獲得してきた。
一方のTylaは、南アフリカのアマピアノを世界に広めた立役者であり、「Water」の大成功でグローバルなポップスターへと躍進した。
そんな二人の出会いは、単なるコラボを超え、アフリカ大陸の“内と外”を繋ぐ象徴的な瞬間である。
ジャンルや国境を越えて、アフロサウンドの新たな可能性を提示する試みともいえるだろう。
リリースの反響──SNSが生んだ新たな祝祭
2025年10月に公開された「Body Go」は、リリース前からSNS上で話題を集めていた。
Tylaが新曲「Chanel」を予告する中での発表だったこともあり、双方のファンコミュニティが活発に反応。スニペットやティーザーが拡散され、TikTokでは早くもダンスチャレンジが生まれつつある。
この曲が持つ“友情と自信の称揚”というメッセージは、ソーシャルメディアの時代において非常に共有されやすい要素であり、クラブでもフェスでも、そしてスマートフォンの画面の中でも、人々を巻き込む拡張性を持っている。
祝祭は、まだ終わらない
「Body Go」は、MOLIYのポップセンスとTylaの国際的カリスマ性が見事に噛み合った一曲である。
クラブでの即効性とSNSでの拡散力を併せ持ち、リミックスやダンスチャレンジなど、二次創作的な広がりも期待される。
単なるヒットソングに留まらず、アフロポップの国際的な拡張を象徴する“ムーブメント”として長く記憶に残るだろう。
MOLIYとTylaという二つの星が交差したこの瞬間は、アフロサウンドの未来を照らす新たな祝祭の始まりにほかならない。
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