Teddy Swims(テディ・スウィムズ)は、アメリカのシンガーソングライターで、ソウル、カントリー、ポップなど多彩なジャンルを融合した音楽スタイルで注目を集めています。YouTubeでのカバー動画が話題となり、圧倒的な歌唱力と独自の表現力で瞬く間に人気を獲得しました。
2023年にはシングル「Lose Control」が世界的ヒットとなり、翌年には全米シングルチャートで1位を獲得。さらに、デビューアルバム『I’ve Tried Everything but Therapy (Part 1)』も各国のチャートで上位にランクインし、アーティストとしての地位を確立しました。
本記事では、Teddy Swimsのキャリアを振り返りながら、彼の音楽の魅力や成功の背景について詳しく解説します。
音楽キャリアの始まり

本名Jaten Collin Dimsdaleとして1992年にジョージア州コンヤーズで生まれたTeddy Swimsは、幼い頃から音楽に囲まれて育ちました。父親の影響でMarvin Gaye、Stevie Wonder、Al Greenといったソウルミュージックに親しみながら、カントリーミュージックやヒップホップにも触れ、幅広い音楽の素養を身につけました。
「父は、俺にたくさんの素晴らしいソウルミュージックを聴かせて育ててくれただけでなく、昔のヒップホップや、George StraitやAlan Jacksonといったアーティストのカントリーミュージックも教えてくれたんだ。俺の音楽の趣味は父のおかげだと言っても過言ではなく、また、実際にミュージシャンになることを最初に勧めてくれたのも父だったよ」
高校時代には『Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat』や『Rent』といったミュージカルに出演し、シェイクスピア劇にも挑戦。この経験を通じてパフォーマンスの楽しさを知り、音楽を本格的に志すようになりました。また、ピアノやウクレレを演奏し、YouTubeでボーカルテクニックを学ぶなど、自己研鑽を重ねました。
2011年から2018年にかけて、Teddy Swimsはアトランタを拠点にさまざまなバンドで活動しました。オルタナティブロックバンド「WildHeart」やポストハードコアバンド「Eris」、ソウルやヘアメタルのカバーバンドに参加し、音楽の幅を広げていきました。さらに、プログレッシブロックやR&B、ソウルを融合したバンド「Elefvnts」のリードシンガーとしても活動。この時期に、ジャンルを超えた音楽スタイルの基礎が築かれました。
YouTubeでのブレイクとメジャーデビュー

2019年、友人のAddy Maxwellの勧めでラップに挑戦し、Tyler Carterのツアーでオープニングアクトを務めます。同年6月にはYouTubeにMichael Jacksonの「Rock with You」のカバーを投稿。その後、Lewis Capaldi、Chris Stapleton、Amy Winehouse、H.E.R.などの楽曲をカバーし、瞬く間に話題となりました。
特に、同年10月に公開したShania Twainの「You’re Still the One」のカバーは大きな注目を集め、現在まで2億回以上再生されています。この成功をきっかけにWarner Recordsと契約し、メジャーデビューを果たしました。
Teddy Swims – You’re Still The One (Shania Twain Cover)
2020年には、メジャーデビューシングル「Picky」を発表し、初のヘッドラインツアーを開催。さらに、「Blinding Lights」や「What’s Going On」などのカバーをリリースし、収益をNAACP Legal Defense and Educational Fundに寄付するなど、社会的な活動にも積極的に取り組みました。
2021年には、デビューEP『Unlearning』をリリースし、Rolling Stone誌に「今知るべきアーティスト」として紹介されました。さらに、「Bed On Fire」を発表し、The Late Show with Stephen Colbertでパフォーマンスを披露。Zac Brown Bandのツアーにも参加し、ライブアーティストとしての評価を高めました。
2022年には、EP『Tough Love』をリリースし、ヨーロッパ・北米ツアーを実施。また、Meghan Trainorとのコラボ曲「Bad for Me」を発表し、Jimmy Kimmel Live!などのテレビ番組で共演しました。同年、Journeyの「Don’t Stop Believin’」のカバーを公開し、America’s Got TalentでNeal Schonらと共演。アメリカでの人気をさらに確立しました。
Meghan Trainor feat. Teddy Swims – Bad For Me
世界的ヒット「Lose Control」とその成功

2023年、Teddy Swimsはシングル「Lose Control」をリリースし、自身初の全米シングルチャートにランクインしました。彼のデビューアルバム『I’ve Tried Everything but Therapy (Part 1)』からのリードシングルとなったこの曲は、全米シングルチャートで99位で初登場した後、2024年3月に1位を獲得。この32週間かけての1位到達は、Billboard史上最も長い連続ランクアップ記録となっています。
また、全米シングルチャートのトップ10に通算51週間(連続ではない)ランクインし、同チャートで2番目に長くランクインした楽曲となりました。さらに、ベルギー、ブルガリア、スイス、ルクセンブルク、アイスランドでもチャートの首位を獲得しました。フランスではダイヤモンド認定を受け、その他14か国でプラチナ認定以上を達成しています。
Teddy Swimsは、この曲について「恋愛の中毒性」をテーマにしていると語っています。恋愛は時にジェットコースターのように激しく、落ち込んだときほど相手と一緒にいることで救われると感じるもの。その感覚を何度も求め、理性を失ってしまうことがあると明かしています。
「恋愛は時に中毒のようなものになり得る。低いところから高みを求めて、常にその感覚を追い続けるんだ。自分を見失い、すべてが崩れ落ちていくとき、唯一の出口がその人と一緒にいることだと思ってしまう。そして、その感覚を何度も何度も追い求めてしまうんだ」
Teddy Swims – Lose Control
今後の展望
2023年には、Armin van BuurenやMatoma、X Ambassadors、Maren Morrisらとコラボレーションし、BottleRockやBoston Callingといった音楽フェスにも出演。Greta Van Fleetのツアーに帯同するなど、精力的に活動を続けています。
2025年1月には、前作アルバムの続編となる『I’ve Tried Everything but Therapy (Part 2)』をリリース。このアルバムでは、Muni LongやGiveon、Coco Jones、GloRillaといった若手アーティストがゲスト参加し、全米アルバムチャートで4位を記録しました。
また、2025年1月には恋人Raiche Wrightとの間に第一子が誕生。プライベートでも新たな人生のステージを迎えています。
ジャンルの枠を超えた音楽と圧倒的な歌唱力で世界を魅了するTeddy Swims。今後の活躍にも期待が高まります。
Teddy Swims – Bad Dreams
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