2003年、Britney Spears (ブリトニー・スピアーズ)の4枚目のアルバム『In the Zone』が発売され、初週に60万枚を超えるセールスを記録し、全米チャート1位を獲得しました。デビュー以来4作連続で首位となり、当時5作で最多だったJanet Jacksonに次ぐ記録となりました。
アルバムからのセカンドシングル「Toxic」は、キャッチーなメロディと斬新なプロダクションで世界中で大ヒットを記録し、彼女の代表曲のひとつとなりました。特に、世界10カ国のチャートで1位を獲得し、その他15カ国でトップ10入りを果たすなど、その人気は世界規模に広がりました。今回は、この楽曲の元ネタや制作秘話について詳しく紹介します。
Britney Spears – Toxic (2003)
『Toxic』 元ネタ・サンプリング情報
「Toxic」のサンプリング元となったのは、インド出身のシンガーLata Mangeshkar (ラタ・マンゲシュカル)の「Tere Mere Beech Mein」(1981年)です。
Lata Mangeshkar & S. P. Balasubrahmanyam – Tere Mere Beech Mein (1981)
彼女は80年にわたるキャリアでインド音楽界に貢献し、「メロディーの女王」「インドのナイチンゲール」「千年の声」などと称されるインドのプレイバックシンガーです。
※プレイバックシンガーとは、映画で使用する曲をあらかじめ録音しておき、撮影時には俳優や女優が口パクで歌うスタイルの歌手のことを指します。
1948年から1987年の間に史上最も多く録音を行ったアーティストとしてギネス記録にも認定され、2001年には国家への貢献が認められ、インドで民間人最高の名誉であるバラット・ラトナ勲章を授与されています。
この楽曲は、1981年に公開されたインド映画『Ek Duuje Ke Liye』のサウンドトラックに収録されています。この映画は興行収入130万ドルを超え、その年のインド映画の中で最も高い興行収入の一つとなり、ヒンディー語映画の「古典映画」そして「史上最高のヒンディー語映画」の1つとみなされています。
もともとジャネット・ジャクソンの為に書かれていた?
「Toxic」は当初、Janet Jacksonのために書かれた楽曲でした。作詞を担当したCathy Dennisは、この曲がJanetを想定して制作されていたことを明かしています。
「この曲はスウェーデンでChristian KarlssonとPontus Winnberg、そしてHenrik Jonbackと一緒に書いたの。私はJanet Jacksonを念頭に置いて作るためにそこへ行ったのよ。全部で10日間くらい滞在したわ。Janetとは確かロンドンで打ち合わせをしたと思うんだけど、ニューヨークだったかもしれない。彼女のための楽曲を作ろうとしていたの」
しかし、「Toxic」は作曲期間中に完成しなかったため、その後Kylie Minogueに提供されましたが、彼女はこの曲のオファーを断りました。最終的にBritney Spearsの楽曲となり、歴史に残る大ヒット曲となったのです。
この曲の特徴的なストリングスや中毒性のあるメロディは、発売当時から高く評価され、多くのアーティストによってカバーされるなど、今なお人気を誇っています。また、ミュージックビデオではスパイ映画を彷彿とさせる演出やブリトニーのセクシーなダンスが話題となり、音楽的にもビジュアル的にもインパクトのある作品となりました。
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