Doechiiの『DEATH ROLL』:PYGサンプリングとグラミー賞ノミネートで音楽シーンを席巻

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フロリダ州タンパ出身のフィメールラッパーDoechiiは、その圧倒的な才能と個性で音楽シーンを席巻しています。彼女の名前が広く知られるようになったのは、2020年にリリースしたデビューEP『Oh the Places You’ll Go』に収録されている楽曲『Yucky Blucky Fruitcake』がTikTokでバイラルヒットを記録したことがきっかけでした。

2022年、DoechiiKendrick Lamarが所属していたことで知られるレーベル「Top Dawg Entertainment」と契約。同レーベル初の女性ラッパーとしての地位を確立し、EP『She / Her / Black Bitch』をリリースしました。この作品では、自身のアイデンティティを大胆に表現し、批評家からも高く評価されました。

翌2023年、彼女のシングル『What It Is (Block Boy)』が初めて全米チャート入りを果たし、RIAAプラチナ認定を獲得。その勢いのまま、2024年にはミックステープ『Alligator Bites Never Heal』を発表し、音楽業界やリスナーから大絶賛を受けました。このミックステープは、彼女のアーティストとしての進化を見事に示しています。

今回は、このミックステープに収録されている『DEATH ROLL』について解説します。

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『DEATH ROLL』とは?

Doechii – DEATH ROLL (2024)

『DEATH ROLL』では、Doechiiが自身の内面や周囲との関係について深く掘り下げて考える様子が描かれています。過去の失敗や孤独、さらには悪癖と真摯に向き合いながらも、成功を手に入れたことに伴う葛藤が表現されています。しかし、彼女はその中で自己成長を遂げる強い意志を持ち続け、前進する姿勢を見せています。

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『DEATH ROLL』元ネタ・サンプリング情報

PYG – 白い昼下がり (1971)

Doechii『DEATH ROLL』の元ネタとなったのは、PYG (ピッグ)『白い昼下がり』(1971年)です。この曲は、PYGのデビューアルバム『PYG!』に収められており、PYG自体は1970年代初頭に結成された日本のスーパーグループでした。メンバーは、「ザ・タイガース」「ザ・テンプターズ」「ザ・スパイダース」といったグループ・サウンズを代表するバンドから集まり、ツインボーカルとして沢田研二萩原健一を擁し、ロックサウンドを追求しました。

バンド名の「PYG」は、「豚のように蔑まれても生きてゆく」という意味が込められており、元々の「pig」から改名されました。1971年1月に解散したグループ・サウンズの主要メンバーたちが集まり、同年2月にデビューを果たします。デビューシングル『花・太陽・雨』やファーストアルバム『PYG!』は一定の評価を得たものの、ロックフェスティバルで批判を浴び、観客の反応が厳しいこともありました。

その後、萩原健一が俳優活動に注力し始めると、ファン層が分かれ、1972年には沢田研二のファンが多くを占めるようになりました。沢田さんはその後、ソロ活動を開始し、井上堯之バンドとして活動を続けました。正式な解散発表はなかったものの、PYGとしての活動は事実上終了しました。しかし、彼らの音楽は後年再評価され、一部楽曲は現在でも愛され続けています。

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おわりに

Doechiiは、ミックステープ『Alligator Bites Never Heal』の成功を受けて、グラミー賞の「最優秀新人賞」「最優秀ラップパフォーマンス」「最優秀ラップアルバム」など、複数の部門でノミネートされるという大きな快挙を成し遂げました。

また、NPRのYouTube企画「Tiny Desk Concert」でのライブパフォーマンスは、公開からわずか数日で200万回以上再生され、ファンや批評家からも「Tiny Desk Concert」のベスト回の一つとして高く評価されました。このパフォーマンスは、彼女のアーティストとしての実力と魅力を強く印象づける結果となりました。

Doechiiは、自身の作品や現在の状態について、すべてが自分の本来の目的や在り方にぴったりと合っていると感じていると語っています。その結果、彼女は人生が自然に流れ、非常に心地よく、満たされた感覚を得ていると明かしています。

ミックステープを出してから少し時間が経ち、ファンのみんなにもそれを受け止める時間ができた今、私はとても調和した気持ちでいるわ。まるで100%自分の目的のために歩んでいるかのようね。
私の音楽も、他のすべてのことも、今の自分自身や自分がいる場所とぴったり合っていて、それがまるでひとつの学びのように感じるわ。
だから、ある意味で、人生が少し楽になったような感じ。まるで雲の上にいるような感覚ね。
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