ナイジェリアの両親のもとイギリス、ロンドンで生まれ育ったLittle Simz (リトル・シムズ)は、2010年にミックステープ「Stratosphere」でラッパーとしてのキャリアを本格的にスタートし、2019年にリリースした3枚目のアルバム「Grey Area」はUK R&Bチャート1位を獲得。
この作品は、音楽メディアから多くの賞にノミネート、受賞されるほど高い評価を受け、2021年の4枚目のアルバム「Sometimes I Might Be Introvert」は、UKアルバムチャート4位を獲得し、イギリスの音楽アワード「MOBO Awards」で「最優秀アルバム賞」を受賞しています。
また、彼女はこれまでに5本の映画にも出演しており、2021年にはマーベル映画「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」で出演し、劇中で自身の楽曲「Venom」を披露するなど、マルチな才能を発揮しています。
そんな彼女が、2022年に5枚目のアルバム「No Thank You」をドロップ。
Adeleの楽曲を多く手掛けるプロデューサーInfloが単独で制作した全10曲入りのこのアルバムから、2曲目の「Gorilla」(2022)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Little Simz – Gorilla (2022)
“Gorilla” 楽曲情報
レーベル
AWAL
Forever Living Originals
プロデューサー
Inflo
元ネタ・サンプリング
Ramsey Lewis – Summer Breeze (1974)
Seals & Crofts – Summer Breeze (1972)
“Gorilla” 元ネタ・サンプリング情報
Ramsey Lewis – Summer Breeze (1974)
元ネタになったのは、イリノイ州シカゴ出身のジャズピアニストRamsey Lewis (ラムゼイ・ルイス)の「Summer Breeze」(1974)です。
幼少期からピアノを習っていた彼は、ジャズグループに参加後、ドラマーとベーシストとグループRamsey Lewis Trioを結成。
1956年のデビューアルバム「Ramsey Lewis and his Gentle-men of Swing」のリリースを皮切りに、毎年アルバムをリリースし、1965年のアルバム「The In Crowd」は全米チャート2位を獲得。
このアルバムは彼の最も成功したアルバムとなり、タイトル曲のシングル「The ‘In’ Crowd」は同年のR&Bチャートで2位、全米チャートで5位となり、グラミー賞「個人またはグループの最優秀楽器ジャズ演奏賞」を受賞。
このアルバムでRamsey Lewisは全米で最も成功したジャズピアニストの1人となり、1974年には「Summer Breeze」が収録されているアルバム「Solar Wind」をリリースしています。
“Summer Breeze” カバー情報
Seals & Crofts – Summer Breeze (1972)
さらに深堀りすると、Ramsey Lewisの「Summer Breeze」は、カリフォルニア州ロサンゼルスで結成されたSeals & Crofts (シールズ&クロフツ)の「Summer Breeze」(1972)をカバーしています。
彼らはシングル「Tequila」で知られるThe Champsの元メンバーで、1963年にこのグループを脱退し、脱退したメンバーとバンドを結成しましたが、2年ほどで解散。
バンドを転々とした後、デュオとして活動することを決めた2人は、1969年にデビューアルバム「Seals & Crofts」を、1972年に4枚目のアルバム「Summer Breeze」をリリース。
このアルバムは、全米チャート7位を記録し、同タイトルのシングル「Summer Breeze」は全米チャート6位を記録するヒットを収め、1974年にはThe Isley Brothersがこの曲をカバーしています。
The Isley Brothers – Summer Breeze (1974)
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