Lil Baby「Let’s Do It」解説:Rich Kidz「Wassup」サンプリングで繋ぐアトランタの新旧ストリート史

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2025年12月、Lil Baby (リル・ベイビー)が放った「Let’s Do It」は、単なる新曲という枠を超え、アトランタ・ヒップホップシーンの「これまで」と「これから」を繋ぐ重要な結節点となった。

客演にはPlayboi Carti (プレイボーイ・カーティ)Skooly (スクーリー)という強力な布陣を迎え、トラップの最前線を走るLil Babyが、地元の文脈を色濃く反映させながら現代的なサウンドへと昇華させた一曲である。リリース直後からSNSを中心に大きな渦を巻き起こした本作は、アトランタで育まれたクラブやストリートの熱気を継承しつつ、2025年における新たなトラップの美学を提示してみせた。

Lil Baby, Playboi Carti & Skooly – Let’s Do It (2025)

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核心:Rich Kidz「Wassup」への敬意と継承

この楽曲を語る上で避けて通れないのが、大胆なサンプリングだ。ネタ元となったのは、2009年に発表されたRich Kidz (リッチ・キッズ)& DJ Infamousの「Wassup」。 Rich Kidzといえば、2010年前後のアトランタを象徴する若手クルーであり、当時のミックステープ文化やクラブサウンドに多大な影響を与えた存在だ。中でも「Wassup」はストリートのアンセムとして愛され、南部のセミレジェンドとして語り継がれている。

Rich Kidz & DJ Infamous – Wassup (2009)

Lil Babyがこの曲を選んだ意味は重い。アトランタの新旧アーティストが互いの時代を参照し合う文化の中で、彼はあえてこのクラシックを引用した。「Let’s Do It」は、2025年の世代が「前世代の空気」を現代の解釈でリミックスした、世代間継承の証左と言えるだろう。

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サウンド&フロウ:重厚かつ軽快な化学反応

プロダクションは、サンプリングのループを基盤に、現代的なトラップの低音と立体的なシンセサイザーを重ねることで成立している。結果、重厚でありながらも軽快さが同居する、絶妙なサウンドスケープが完成した。クラブのスピーカーで鳴らすことを想定しつつ、イヤホンで聴いた際の立体感も計算されたモダンなミキシングだ。

三者三様のパフォーマンスも見逃せない。

  • Skooly: イントロで南部らしい「歌うラップ」のニュアンスを加え、楽曲のトーンを決定づける。
  • Lil Baby: 特有のスムーズかつダイナミックなフロウで、トラックの上を自在に駆け巡る。
  • Playboi Carti: 浮遊感のある発声と余白を活かしたフロウで、楽曲の世界観を一段階広げている。
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リリックと視覚表現:直情的なエネルギー

リリックの根底にあるのは「勢い」「成功」、そして「仲間意識」だ。タイトルにもなっているフレーズ “Let’s do it” は、躊躇なく突き進むLil Babyのスタンスそのものであり、成功とハードワークを結びつける彼らしい言葉が並ぶ。かつて「Wassup」が持っていた若さゆえの勢いや高揚感は、そのまま本作にも引き継がれている。

その世界観はミュージックビデオでも忠実に視覚化された。夜の都市、スモークの焚かれたクラブ、そしてクルーたちの姿。金色のライティングが照らす映像は、アトランタ・ヒップホップの美学そのものであり、サウンドのエネルギーをより強固なものにしている。

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反響と総評:歴史への回答

リリース後の反響は大きく、SNS上では「Cartiのハマり方が完璧」「サンプリングの使い方が渋い」といった賛辞が飛び交った。特に昔からのアトランタのシーンを知るリスナーほど、この楽曲が持つ文脈に深く刺さっているようだ。一部で原曲の活かし方についての議論も見られたが、それも含めて注目の高さの裏返しと言える。

総じて「Let’s Do It」は、過去のクラシックを引用することで地域性と歴史へのリスペクトを明確にしつつ、Lil Babyたちの手によって「2025年の音」として再定義された作品だ。アトランタ・ヒップホップの歴史と現在地を接続する、象徴的な一曲として記憶されることになるだろう。

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