Nas (ナズ)は、ラッパーのMC SerchがソニーミュージックのA&Rに橋渡しをしたことで、Columbia Recordsと契約を交わし、デビューアルバム「Illmatic」(1994)をリリース。
MC Serchがエグゼクティブプロデューサーを務めたこのアルバムは、DJ Premier、Large Professor、Q-Tipなど錚々たるプロデューサー陣が手掛け全10曲収録。
このアルバムは発売初週に6万枚を売り上げ、初動売上は低かったものの、R&B/Hip Hopチャート2位を記録。
以来、そのプロダクションとNasのリリックが音楽評論家から絶賛され、2020年にはローリングストーン誌の「史上最高のアルバム500枚」で44位に選出されています。
今回はこのアルバムから、4枚目のシングル「The World Is Yours」(1994)をピックアップ。
ここでは、このアルバムの元ネタについて解説します。
Nas – The World Is Yours (1994)
楽曲情報
Nas (ナズ)
出身地 :ニューヨーク、クイーンズ
生年月日:1973年9月14日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Columbia Records
プロデューサー
Pete Rock
元ネタ・サンプリング
Ahmad Jamal Trio – I Love Music (1970)
“The World Is Yours” 元ネタ・サンプリング
Ahmad Jamal Trio – I Love Music (1970)
元ネタになったのは、ペンシルベニア州ピッツバーグ出身のジャズピアニストAhmad Jamal (アーマッド・ジャマル)が結成したAhmad Jamal Trioの「I Love Music」(1970)です。
この曲は、彼らのアルバム「The Awakening」(1970)に収録。
このアルバムに収録されている「Dolphin Dance」「The Awakening」「You’re My Everything」は、のちにPete RockやDJ Premier、Commonなど多くのラッパーによってサンプリングされており、サンプリングソースとして再び脚光を浴びることになりました。
ナズが今作について語る
「The World Is Yours」は、名プロデューサーPete Rockがプロデュースした作品で、彼についてNasは次のように明かしています。
当時、Pete Rockからビートを得ることは、Kanye WestやTimbaland、Dr. Dreからビートをもらうようなものだった。 PeteにはPeteのやり方があったし、彼はPete Rockだったから、そこまで干渉したくなかったんだ。 でも、頭の中に『It's Yours』があって、それが悪い音になると思っていたんだ。 でも最後の最後で、彼はミックスの段階でそれを入れてきたんだ。 どうやって入れるのか分からなかったけど、彼のやり方は完璧だった。
すでに大物プロデューサーとして活躍していたPete Rockを見ていたNasは、気に入らない音があってもあまり口出しせず、最後に仕上げてきた彼を絶賛しています。
また「The World Is Yours」についてNasは「俺が抱いていたアイデアにピッタリだったんだ」と明かしています。
『The World is Yours』このトラックは、一言も言葉がなくてもそれ自体に命があるから俺に語りかけてくるんだ。 俺が聴いたとき、それ自体に生命があった。 本当に生きている音楽が必要なんだ、という感じだったね。 あのビートは、俺にとっては芸術品のようなもので、俺が抱いていたアイデアにぴったりだったんだ。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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