1994年にデビューアルバム「Illmatic」をリリースしたNas (ナズ)は、発売当初の初動は低く、5枚のシングルも大きな成功を収めることができませんでしたが、そのプロダクションと彼のリリックが音楽評論家たちに高く評価されました。
Nasのデビュー作でありながら、それまで西海岸ヒップホップに押されていた東海岸ヒップホップシーンの発展に大きく貢献し、ローリングストーン誌の「史上最高のアルバム500枚」では44位に選ばれ、多くのラッパーやオーディエンスからも名盤の1枚として挙げられています。
今回は、そんな「Illmatic」に収録され、名プロデューサーと呼び声も高いDJ Premierがプロデュースした「Represent」(1994)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Nas – Represent (1994)
“Represent” 楽曲情報
レーベル
Columbia Records
プロデューサー
DJ Premier
元ネタ・サンプリング
Lee Erwin – Thief of Bagdad (1974)
“Represent” 元ネタ・サンプリング情報
Lee Erwin – Thief of Bagdad (1974)
元ネタになったのは、アラバマ州ハンツビル出身のオルガン奏者Lee Erwin (リー・アーウィン)の「Thief of Bagdad」(1974)です。
彼はクラシック音楽を学び、その後ラジオのオルガン奏者、アレンジャーとしてのキャリアをスタートさせ、1960年代半ばまでラジオで活躍しました。
その後、70本以上の無声映画に楽曲を提供し、無声映画の復権に大きく貢献したことが高く評価され、90歳を超えても現役で活躍していました。
この曲は、そんな彼が1974年に発表したアルバム「Sound Of Silents – Music For Silent Film Classics」に収録。
Nasがサンプリングしたことで、サンプリングソースとして再び脚光を浴び、その後FabolousやIsaiah Rashadもこの曲をネタ使いしています。
Fabolous feat. Velous – Gone For The Winter (2014)
Isaiah Rashad – Dressed Like Rappers (2016)
DJ PremierとNasが「Represent」について明かす
「Represent」についてNasは「クイーンズブリッジを代表する曲で、とても重みがあった」と明かす一方で、クイーンズの先輩であるMarley MarlとMC Shanがやっていたことなので、光栄に思っている」とも語っています。
クイーンズブリッジを代表する曲で、とても重みがあった。 ShanとMarleyがすでにやっていたことだから、俺はやることを光栄に思っていた。 ただ、その旗をつかんで、これまでと同じように高く掲げておきたかったんだ。 彼らはすでに道を切り開いていて、その旗を高く掲げるために無敵の兵士が必要だと思ったんだ。 BDP(Boogie Down Productions)との戦いの後、みんなが俺のフッドに抱いた疑念を無視することはできない。 だから俺は今ここにいる、手に入れ、死ぬまでそれを守り抜くという感じだった。
また、DJ Premierはアルバム「Illmatic」のために最初に制作した曲だったようで、アルバムの他の曲を聴いて再度ビートを作り直したようです。
「Represent」はすでに作っていたんだけど、アルバムに収録されていないんだ。 アルバムに収録されているのはリミックスなんだ。 「One Love」と「Life's a Bitch」を聴いたら「俺のもアップデートしなきゃ」と思ったんだ。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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