Wale(ワーレイ)は、イギリス出身のDJ、プロデューサーのMark Ronsonと出会いその才能を開花させ、アルバム「The Gifted」(2013)「The Album About Nothing」(2015)で全米チャート1位を獲得。
独特のラップスタイルと、その感性に多くのオーディエンスを魅了しました。
そんな彼が、2012年に発表したミックステープ「Folarin」の続編となるアルバム「Folarin II」をドロップ。
約2年振りのアルバムのリリースとなる今作から、リード曲でもある「Down South」をピックアップ。
この曲は、タイトルにもあるようにテキサス出身のラッパーを起用し、南部のヒップホップクラシックをサンプリングしています。
ここでは、元ネタについて解説します。
Wale feat. Yella Beezy & Maxo Kream – Down South (2021)
楽曲情報
Wale
出身 :メリーランド州ゲーサーズバーグ
生年月日:1984年9月21日
ジャンル:Hip Hop
Yella Beezy
出身 :テキサス州マッキニー
生年月日:1991年10月21日
ジャンル:Hip Hop
Maxo Kream
出身 :テキサス州ヒューストン
生年月日:1990年3月29日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Every Blue Moon
Maybach Music Group
Warner Records
プロデューサー
Harry Fraud
元ネタ・サンプリング
Fiend feat. UGK – Slangin’ (1998)
Mike Jones feat. Slim Thug & Paul Wall – Still Tippin’ (2004)
Slim Thug – I’m a Hoe (Freestyle) (1998)
“Down South” 元ネタ・サンプリング①
Fiend feat. UGK – Slangin’ (1998)
元ネタになったのは、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のラッパーFiendの「Slangin’」(1998)です。
彼は1997年にMaster P率いるレーベル “No Limit Records” と契約を結び、1998年にアルバム「There’s One in Every Family」をリリース。
アルバムにはSnoop Dogg、Silkk the Shocker、Mystikalなどの当時レーベルに所属していたラッパーがゲスト参加し、R&B/Hip Hopチャートで1位を獲得。
アルバムに収録している「Slangin’」は、テキサスの重鎮UGKを迎えたドープな1曲に仕上がっています。
“Down South” 元ネタ・サンプリング②
Mike Jones feat. Slim Thug & Paul Wall – Still Tippin’ (2004)
さらに「Down South」は、テキサス州ヒューストン出身のラッパーMike Jonesの「Still Tippin’」(2004)をサンプリングしています。
この曲は、彼のデビューアルバム「Who Is Mike Jones?」(2005)に収録し、アルバムは全米チャート3位とヒット。
彼が所属しているレーベル “Swishahouse” のコンピレーションアルバム「The Day Hell Broke Loose 2」(2003)にも収録されており、このヒットによりAsylum RecordsとSwishahouseは、全国流通の契約を結ばれました。
これによりメインストリームでその名が知られ、Paul WallやLil Flipといったヒューストンのラップシーンに注目が集まるようになりました。
またリード曲になった「Still Tippin’」は、当初Chamillionaireがゲスト参加の予定でしたが、Mike Jonesとの間に確執が生まれたことで、Chamillionaireは彼らのレーベル “Swishahouse” を脱退。
その穴をラッパーのPaul Wallが埋める形で本作がリリースとなりました。
“Still Tippin’” 元ネタ・サンプリング
Slim Thug – Fuck That (I’m a Hoe) (2002)
さらに深掘りすると「Still Tippin’」は、テキサス州ヒューストン出身のラッパーSlim Thugの「Fuck That (I’m a Hoe)」(2002)をサンプリングしています。
この曲は、彼のミックステープ「I Represent This」(2002)に収録。
メインストリームで脚光を浴びる前の若き頃の彼の作品ですが、現在と変わらないゴリゴリのフロウを武器に、ヒューストンラップの象徴とも言えるドロドロなビートが印象的です。
終わりに
今作のWaleのアルバムは、Chris Brownとの「Angels」をはじめに、多くの楽曲がネタ使いされており、彼らしいユニークな1枚に仕上がっています。
是非この機会にアルバムを通して聞いてみてはいかがでしょうか。
Wale feat. Chris Brown – Angles (2021)
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