Will Smith「Men in Black」とは何者か?映画を超えて90年代を支配したモンスターヒットの正体

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1997年の夏、映画史と音楽史が交差する場所に、一曲のモンスターヒットが誕生した。Will Smith (ウィル・スミス)の「Men in Black」だ。この楽曲は単なる映画の主題歌という枠を超え、90年代のポップカルチャーを象徴するアイコンとして、今なお色褪せない魅力を放っている。

Will Smith – Men in Black (1997)

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映画と音楽の幸福な融合

1997年6月3日、シングルとしてリリースされたこの曲は、映画『メン・イン・ブラック』の主題歌として制作された。主演のエージェントJを演じたウィル・スミス自身がマイクを握り、サウンドトラック『Men in Black: The Album』、そして彼のソロ・デビューアルバム『Big Willie Style』のリードシングルとして世に送り出されたのである。

この曲は、ウィル・スミスが「DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince」としての活動から卒業し、本格的にソロ・アーティストとして再出発を図った重要な転換点でもあった。彼は当時のインタビューで、「Fresh Princeから卒業し、本物のアーティストとしての姿を見せたかった」と、並々ならぬ決意を語っている。

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緻密な仕掛けと音楽的特徴

楽曲の骨格を成すのは、1982年のPatrice Rushen (パトリース・ラッシェン)の名曲「Forget Me Nots」の大胆なサンプリングだ。しかし、そこには秀逸な「替え歌」の仕掛けが施されていた。

原曲の「To help you to remember(あなたに思い出させるために)」というラインを、ウィル・スミスは「They won’t let you remember(彼らはあなたに記憶させない)」へと書き換えたのだ。これは言うまでもなく、劇中の記憶消去装置「ニューラライザー」を彷彿とさせる遊び心溢れる演出である。さらに、R&Bグループ「SWV」のCokoがコーラスで参加したことで、楽曲に豊かなメロディの彩りが加えられた。

歌詞には「Walk in shadow, move in silence(影を歩き、静かに動く)」といったフレーズが散りばめられ、銀河の守護者としてのクールさと秘密組織のミステリアスな空気感を、軽快なラップで見事に表現している。

Patrice Rushen – Forget Me Nots (1982)

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世界を席巻した記録と評価

その結果は、驚異的な数字となって現れた。イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなど、世界各国のチャートで1位を総なめにしたのである。

米国では商業シングルとしての形態をとらなかったため、Billboard Hot 100のメインチャートには登場しなかったものの、ラジオでの圧倒的なエアプレイにより「Hot 100 Airplay」チャートでは1位を獲得するほどの人気を博した。1998年の第40回グラミー賞では「ベスト・ラップ・ソロ・パフォーマンス賞」を受賞。映画主題歌という垣根を超え、純粋なヒップホップ・ポップソングとして音楽シーンの頂点に立ったのだ。

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記憶に残るミュージックビデオと舞台裏の熱狂

ロバート・カルーソが監督を務めたミュージックビデオも、ブームの大きな牽引役となった。ウィル・スミスが宇宙を背景にエイリアンと軽妙に踊るシーンは、当時のMTVなどで繰り返し放送された。ウィル・スミスはこのダンスの振り付けを完璧にするために相当な時間を割いたといわれ、そこにはエンターテイナーとしての強いこだわりが垣間見える。

一方で、撮影現場にはこんなユーモラスな逸話も残っている。ある時、トミー・リー・ジョーンズと共に密閉されたセット内にいたウィル・スミスが、あまりにも強烈なガスを放ってしまった。その結果、スタッフが約3時間も避難する羽目になったという、爆笑もののエピソードだ。

また、あるイベントで即興パフォーマンスを披露した際には、ウィル・スミスが歌詞を忘れてしまうというハプニングもあった。しかし、そこは百戦錬磨のプロ。瞬時にラップをアレンジして乗り切り、観客を笑いと興奮の渦に巻き込んだという。

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世代を超えるレガシー

リリースから20年以上が経過した今も、この曲のエネルギーは衰えていない。2024年のコーチェラ・フェスティバルでは、J Balvinのステージにウィル・スミスがサプライズ登場。エージェントJのスーツに身を包み、エイリアン姿のダンサーや小道具のニューラライザーまで動員したライブは、世界中のファンを熱狂させた。

最近ではTikTokなどのSNSを通じて若い世代に「再発見」されたり、サンプリング元の「Forget Me Nots」が再び脚光を浴びたりと、その影響は広がり続けている。SNSには「この曲を聴くだけで、97年の夏を一気に思い出す」といった声が溢れており、多くの人々にとって人生のサウンドトラックの一部となっていることがうかがえる。

「Men in Black」は、単なる映画のタイアップ曲ではない。ウィル・スミスという不世出のエンターテイナーが、音楽と映画、ユーモアとクールさを完璧なバランスで融合させた、90年代文化の結晶なのだ。その軽快なビートが流れるとき、私たちは今もなお、あの銀河の守護者たちが影で守ってくれている世界へと引き込まれていくのである。

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