Rapsody (ラプソディー)は学生時代にヒップホップグループH2OとKooley Highに加わってラッパーのキャリアをスタートさせ、グループ在籍中にプロデューサーの9th Wonderと出会い、彼女のキャリアを大きく前進させます。
彼女のラップに感銘を受けた9th Wonderは、2007年に発売された9th Wonderのセカンドアルバム「The Dream Merchant Vol.2」にRapsodyをデビューさせます。
翌年、9th WonderのレーベルIt’s A Wonderful World Music Groupと契約し、Mac Miller、DJ Premierらが参加したミックステープ「Return of the B-Girl」(2010)をリリース。
2016年にはJay-Z率いるRoc Nationと契約を結び、2017年のアルバム「Laila’s Wisdo」が「最優秀ラップアルバム」を含むグラミー賞2部門にノミネートされ、大きな注目を集めました。
そんな彼女が、2019年にアルバム「Eve」をドロップ。
本作は、オバマ前大統領の妻ミシェル・オバマやAaliyah、Oprah Winfreyなど、影響力のある黒人女性の名前を曲名に冠しています。
今回はこのアルバムから「Afeni」(2019)をピックアップ。
ここでは、2Pacの母Afeni Shakurにちなんで名付けられたこの曲の元ネタを解説していきます。
Rapsody feat. PJ Morton – Afeni (2019)
楽曲情報
Rapsody (ラプソディー)
出身地 :ノースカロライナ州スノーヒル
生年月日:1983年1月21日
ジャンル:Hip Hop
PJ Morton (PJモートン)
出身地 :ルイジアナ州ニューオーリンズ
生年月日:1981年3月29日
ジャンル:R&B
レーベル
Roc Nation
Jamla Records
プロデューサー
9th Wonder
元ネタ・サンプリング
Deniece Williams – Free (1976)
2Pac – Keep Ya Head Up (Marcus Garvey School Footage)
“Afeni” 元ネタ・サンプリング ①
Deniece Williams – Free (1976)
元ネタになったのは、インディアナ州ゲーリー出身のシンガーDeniece Williams (デニース・ウィリアムズ)の「Free」(1976)です。
この曲は、彼女のデビューアルバム「This Is Niecy」(1976)に収録され、ソウルアルバムチャート3位を記録。
アルバムは30年以上経った2013年にリマスターされ、ボーナストラックを加えて再発売されています。
そのアルバムに収録された「Free」はUKチャート1位、ソウルシングルチャート2位を記録し、その後グラミー賞に10回以上ノミネートされた彼女のキャリアに火をつけた1曲になりました。
またこれまでに50曲以上でサンプリングされており、Twinzの「Eastside LB」(1995)の元ネタとしても知られています。
この曲についての記事はこちら。
“Afeni” 元ネタ・サンプリング ②
2Pac – Keep Ya Head Up (Marcus Garvey School Footage)
さらに「Afeni」は、カリフォルニア州ロサンゼルス出身のラッパー2Pac (トゥーパック)の「Keep Ya Head Up (Marcus Garvey School Footage)」をサンプリングしています。
これは1993年に2Pacがマーカス・ガーベイ校を訪問した際のビデオからサンプリングされており「Keep Ya Head Up」の最初のバースの即興アカペラパフォーマンスでは、生徒からの質問に答える2Pacの姿が映し出されています。
また、Rapsodyはこの曲のサンプリングについて次のように明かしています。
「Keep Ya Head Up」は今までで1番好きな曲の一つで、このアルバム全体が目指しているもの、つまり黒人女性を尊重し、守り、愛するということを体現しているわ。 男性は私たちを愛し、私たちは自分自身を愛し、そしてお互いを愛しているの。 この曲の一部をサンプリングしたいと、ずっと9thに言っていたわ。 何年も前からやりたかったのよ。 すべては起こるべくして起こるわ。
終わりに
2Pacの母親Afeni Shakurを曲のタイトルに使ったのは、彼に対する尊敬の念と、Rapsodyが黒人男性に向けて制作したことを明かしています。
2Pacが言ったことが全てであり、何年も前からまた起こっている会話だわ。 Twitterでいつも見かける。 女性は『黒人はあれもしない、これもしない』ってね。 そして黒人男性は『お前たちは俺たちのためにこんなことをしない』って感じ。 軽蔑しているようなものだわ。 それは必ずしも一方的なものではないと思うの。 私はただ、男性に語りかけ、女性の話を聞いてくれと言いたいだけなの。 私たちの視点、私たちがどこから来たのかに耳を傾けてほしいわ。 黒人女性が殴られているビデオを見ても、黒人男性が周りに立っていても、誰も介入して彼女たちを守ろうとしないわ。 誰がそんなことをするのかしら? 私たちはあなた方の姉妹であり、娘であり、母親であり、彼女であり、妻であることを忘れてはいけないわ。 私たちを守って。 私たちは自分たちだけで戦う必要はないわ。それから、黒人男性は子供の面倒を見ないという主張があるけど、統計的にそれは誤ったストーリーだわ。 これは、私なりの男性への語りかけなの。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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