Miguel (ミゲル)のデビューアルバム「All I Want Is You」(2010)は、発売当初の売れ行きが悪く、初週に11000枚を売り上げ、全米アルバムチャートで109位にランクインしました。
その後、アルバムのタイトル曲「All I Want Is You」を中心にヒットし、シングルカットされた「Sure Thing」はR&B/Hip Hopチャート1位を獲得。
それから10年以上経った2022年、「Sure Thing」は再び世界中のチャートにランクインする不思議な現象が起きています。
ここでは、この曲のリリースされるまでの経緯と、再燃した理由について解説します。
Miguel – Sure Thing (2010)
楽曲情報
リリース日
2010年11月30日
レーベル
ByStorm Entertainment
Jive Records
プロデューサー
Happy Perez
レーベルとの契約はアッシャーに楽曲提供するためだった?
父親がメキシコ系アメリカ人、母親がアフリカ系アメリカ人のMiguelは、13歳という若さでシンガーとしてのキャリアをスタートし、2004年にレーベルBlack Iceと契約し、シングル「Getcha Hands Up」(2006)でデビューを果たします。
しかし、アルバムの制作に取り掛かるも、自分のサウンドとスタイルに満足できず、レーベルを脱退し、制作中のアルバムはお蔵入りとなってしまいました。
その後、ソングライターとして成長していたMiguelですが、1年近く、当時のマネージャーが音楽界の大物Mark Pittsに数曲売り込み、「Sure Thing」と「Quickie」に感銘を受けたMark Pittsは、Usherに曲を提供する代わりに、彼とレコーディング契約を交わします。
Miguelは後に、その時のことを次のように明かしています。
「Sure Thing」はByStorm/JiveのMark Pittsの耳に入り、当時彼はUsherのプロジェクト、つまり「Here I Stand」のアルバムを完成させようとしていたんだ。 彼はこの曲をそのために使いたいと思っていたんだ。 (Mark Pittsは)数日、1週間くらいはこの曲を聞いて、その声に惚れ込んで、ライターに会いたがったんだ。 彼は俺を呼び出してね、興奮したよ。 俺は家に戻って、1週間後にまた飛行機に乗って、当時のA&RやJiveの社長に会ったんだ… 彼らは俺がサインするまで帰らせてくれなかったよ。
このMark Pittsという人物は、The Notorious B.I.G、Ciara、Chris Brown、Usher、TLCなどのプロデュースを手掛け、2021年にRCA Recordsの社長に就任しています。
Jive Records傘下のレーベルByStorm Entertainmentと契約を交わしたMiguelは、アルバムの制作に取り組んでいましたが、前所属レーベルBlack Iceとの契約問題により、2年間アルバムをリリースすることができませんでした。
その間、彼はUsherやJaheimといったアーティストのために曲の制作を行ない、2010年に待望のデビューアルバム「All I Want Is You」をリリース。
しかし、冒頭でも述べたように、アルバムの初動売上は11000枚と振るいませんでしたが、翌年にシングルカットされた「Sure Thing」がR&B/Hip Hopチャート1位を獲得し、アルバムも徐々にヒットし、最終的にR&B/Hip Hopチャート9位を記録しています。
TikTokの影響で人気再燃?!
ヒットから10数年が経った2022年、TikTokでバイラルヒットとなり、使用された動画は800万再生を記録。
これにより、全米シングルチャート49位、イギリスを含む複数の国のチャートでは、2011年の記録を更新してチャートインしており、Apple Musicの「グローバルチャートトップ100」でも14位に入るなど、再び人気を博しています。
また、Spotifyでは6億4000万回のストリーミングされ、Miguelの楽曲の中で最もストリーミングされた曲となっています。
近年ではこの曲だけでなく、The Weekndの「Die for You」(2017)やChris Brownの「Under the Influence」(2019)など、過去の楽曲がTikTokに影響を受けて再びチャートインしており、今後もこうした珍現象が起こりそうです。
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