ナイジェリア出身のアーティスト、Rema(レマ)が2025年2月7日にリリースしたシングル「Baby (Is It a Crime)」。この楽曲は、Remaの音楽的な成長と、感情表現の奥深さを如実に物語っています。
彼がここで描いたのは、過去の恋に対する未練、そして今もなお消えない愛の炎。
切なさと情熱を同時に抱えながら、「それでも僕が君を想い続けるのは罪なの？」という、聴く者の心をえぐるような問いかけを投げかけています。
この曲には、1985年にリリースされたSade (シャーデー)の名曲「Is It a Crime?」がサンプリングされており、アフロビートと現代的なサウンドが美しく融合しています。
クラシックへのリスペクトと、今という時代を生きるRemaの感性が絶妙に溶け合った1曲です。
Rema – Baby (Is it a Crime)
音楽で世界をつなぐRemaという存在
Rema(レマ)はナイジェリア南部の都市ベニンシティ出身のシンガーソングライターです。
2019年、デビュー曲「Dumebi」で一躍注目を集めると、2022年には「Calm Down」が世界的なヒットを記録。
特にセレーナ・ゴメスとのリミックス版は、全米シングルチャートで3位に輝きました。
彼は自身の音楽スタイルを「Afrorave」と名付け、アフロビートにトラップやエレクトロの要素を加えた独自のサウンドで国際的な人気を確立。2024年にはアルバム『HEIS』がグラミー賞にもノミネートされ、ナイジェリアの音楽を世界へと押し広げる存在としてその名を刻んでいます。
Sadeの名曲をサンプリング
「Baby (Is It a Crime)」は、Sadeによる1985年の楽曲「Is It a Crime?」をサンプリングしています。
この曲は彼女たちの2枚目のアルバム『Promise』に収録され、アメリカとイギリスの両チャートで1位を獲得。全米では400万枚以上のセールスを記録した大ヒット作品です。
Sade – Is It a Crime? (1985)
Sadeの「Is It a Crime?」では、裏切られた恋人への複雑な想いが描かれます。
愛する人が他の誰かと一緒にいると知りながらも、「それでもあなたを想ってしまう、この気持ちは罪なの？」と、心の痛みと葛藤が静かに語られます。
特に繰り返される「Is it a crime?（それって罪なの？）」というフレーズは、報われない恋を経験した人なら誰しも胸に刺さるものがあるのではないでしょうか。
Remaが描いた、今を生きる愛のかたち
Remaの「Baby (Is It a Crime)」は、まさにそのSadeの情感を受け継ぎながら、彼なりのスタイルで再構築されたラブソングです。
歌詞の中では、愛する相手への想いがとてもストレートに語られています。
「君は俺にぴったりだ」「俺はいつだってそばにいる」──そんな真っ直ぐな言葉には、誠実な愛情と、どうしようもなく惹かれてしまう切なさが同居しています。
また、楽曲にはナイジェリアならではの文化も色濃く反映されています。
お酒やパーティー、ダンスといった情景が描かれ、愛し合うことの楽しさや、官能的な雰囲気が彩りを加えています。
情熱と葛藤、そして喜びが同時に詰め込まれたこの曲は、単なるラブソングにとどまらず、現代アフロビートの表現力を広げる重要な一作だと言えるでしょう。
チャートでの躍進と高評価
「Baby (Is It a Crime)」はリリース直後から各国で高く評価されました。
ナイジェリアの主要チャートTurnTable Top 100では見事1位を獲得し、アメリカのBillboard World Digital Song Salesでは4位にランクイン。
さらに、2025年2月の時点で、Spotifyで最も再生されたナイジェリアの楽曲という記録も達成しています。
Remaの今後と音楽シーンへの影響
「Baby (Is It a Crime)」は、Remaにとって単なるシングルではありません。
それは、自らの音楽性をさらに深め、感情を繊細に表現し、そしてアフロビートの未来を切り開くという決意の現れでもあります。
Sadeという伝説のアーティストの名曲に新たな命を吹き込むことで、彼は過去と今、そして未来をつなげようとしています。
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