Lil Baby (リル・ベイビー)は、セカンドアルバム「My Turn」(2020)で自身初の全米チャート1位を獲得し、同年の年間アルバムチャートで2位を獲得する大ヒットとなりました。
そんな彼が、約2年振りとなる3枚目のアルバム「It’s Only Me」(2022)をドロップ。
このアルバムには、4月にリリースされたシングル「In A Minute」を含む全23曲を収録し、Future、Young Thug、Jeremih、Pooh Shiesty、Nardo Wickなどがゲスト参加しています。
「In A Minute」の元ネタはこちら。
今回はこのアルバムの1曲目を飾り、前述の「In A Minute」を手掛けたKaigoinkrazyがプロデュースした「Real Spill」をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Lil Baby – Real Spill (2022)
楽曲情報
Lil Baby (リル・ベイビー)
出身地 :ジョージア州アトランタ
生年月日:1994年12月3日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
4PF
Quality Control
Motown Records
プロデューサー
G1
Kaigoinkrazy
元ネタ・サンプリング
Sade – The Big Unknown (2018)
“Real Spill” 元ネタ・サンプリング
Sade – The Big Unknown (2018)
元ネタになったのは、イギリス、ロンドンで結成したバンドSade (シャーデー)の「The Big Unknown」(2018)です。
この曲は、スティーブ・マックイーン監督の映画「Widows」で使用され、亡くなった夫が残した多額の犯罪債務を支払うために強盗を決行することになる4人のシカゴの女性を中心に描かれています。
スティーブ・マックイーン監督は、この映画についてSadeと会話を交わし「喪失と生存」についての曲を書くよう依頼したようで、コラボレーションについて次のように明かしています。
このようなレジェンドと一緒に仕事ができることは光栄です。 Sadeは比類なき才能と素晴らしいアーティストで、滅多に新曲を発表しないのですが、幸運にも「Widows」のオリジナルシリーズが彼女の心に深く響いたのです。 彼女の音楽は映画と完全に調和しており、完璧な組み合わせです。 この曲は非常に心に響くもので、感動的です。 彼女が私の映画のためにこの美しい曲を作ってくれたことをとても幸運に思っています。
また、Sadeにとって2018年のサウンドトラックへの参加は2度目で、同年初めにはディズニー映画「A Wrinkle in Time」に彼らの曲「Flower of the Universe」が収録され、これはグループにとって2011年以来の新曲となりました。
Sade – Flower of the Universe (2018)
アートワークは4人の大統領からインスパイアされた?
今作のアートワークの背景には、Lil Baby自身の顔が4つの山に彫られており、彼のこれまでの生涯を映し出しているように思われます。
これは、サウスダコタ州にあるラシュモア山をイメージしているようで、アメリカ建国から150年の間に歴史に名を残す4人の大統領(ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーン)が彫刻されています。
また、中央に座わるLil Babyの横には3匹のヤギが描かれていますが、このヤギはまた「Greatest Of All Time」の頭文字をとった「GOAT」の略称と考えられており、Lil Babyが自身の音楽でそのように言及しているように「G.O.A.T.」であることを示していると思われてます。
余談ですが、ヤギは前作のアルバム「My Turn」(2020)のアートワークにも描かれており、彼のラップキャリアを語る上で欠かせない言葉であり、シンボルなのかもしれません。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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