2007年に発表したRihanna (リアーナ)の3枚目のアルバム「Good Girl Gone Bad」は、全米チャートでこれまでのキャリアで最高位となる2位を記録し、グラミー賞にも7部門でノミネートされました。
アルバムからのリードシングル「Umbrella」は、発売初週に27万枚以上を売り上げ、それまでShakiraのシングル「Hips Don’t Lie」(2006)が持っていた記録を更新し、アメリカのiTunes Storeの6年間の歴史の中で最高のデビュー週を記録しました。
今回は、このアルバムからの4枚目のシングルで、ヒットメーカーStarGateがプロデュースした「Don’t Stop the Music」(2007)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Rihanna – Don’t Stop the Music (2007)
“Don’t Stop the Music” 楽曲情報
リリース日
2007年5月31日
レーベル
Def Jam Recordings
プロデューサー
StarGate
元ネタ・サンプリング
Michael Jackson – Wanna Be Startin’ Somethin’ (1982)
Manu Dibango – Soul Makossa (1972)
“Don’t Stop the Music” 元ネタ・サンプリング情報
Michael Jackson – Wanna Be Startin’ Somethin’ (1982)
元ネタになったのは、インディアナ州ゲーリー出身のシンガーMichael Jackson (マイケル・ジャクソン)の「Wanna Be Startin’ Somethin’」(1982)です。
この曲は、彼の6枚目のアルバム「Thriller」(1982)に収録され、アルバムは全米LP&テープチャートで37週連続1位を獲得し、グラミー賞では史上最多の8部門を受賞しています。
また、アルバムから7枚のシングルがリリースされ、その全てが全米チャートトップ10入りし、「Beat It」と「Billie Jean」が全米チャート1位を獲得しています。
大ヒットしたアルバムに収録された「Wanna Be Startin’ Somethin’」は、名プロデューサーのQuincy Jonesがプロデュースで全米チャート5位を記録。
以来、彼のコンピレーションアルバムやベスト盤に何度も収録され、彼の代表曲の1つとされています。
また「Thriller」の発売から25周年を記念とし2008年にリリースされた再発盤「Thriller 25」には、Akonをフィーチャーした「Wanna Be Startin’ Somethin’ 2008」が収録されています。
Michael Jackson & Akon – Wanna Be Startin’ Somethin’ 2008 (2008)
“Wanna Be Startin’ Somethin’” 元ネタ・サンプリング情報
Manu Dibango – Soul Makossa (1972)
さらに深堀りすると、Michael Jacksonの「Wanna Be Startin’ Somethin’」はカメルーン出身のサックス奏者Manu Dibango (マヌ・ディバンゴ)の「Soul Makossa」(1972)をサンプリングしています。
この曲は、1972年のアフリカ・ネイションズ・カップでカメルーン代表のサッカーチームが準々決勝に進出し、カメルーンでの初開催を記念した曲「Hymne de la 8e Coupe d’Afrique des Nations」のB面として収録されています。
リリースされた同年、アメリカ人DJのDavid Mancusoは、レコード店でこの曲を見つけ、自分のパーティーでかけたところ、当時ニューヨークで最も人気のあった黒人ラジオ局WBLSでオンエアされるほどの人気曲となりました。
その後、アメリカのAtlantic Recordsがフランスのレコード会社FiestaからManu Dibangoのオリジナルバージョンのライセンスを獲得し、シングルとしてリリース。
このシングルは1973年の全米チャートで35位を記録し、Manu DibangoのオリジナルバージョンとAfriqueによるカバーが同時に全米チャート入りを果たしています。
また、その後にこの曲は世界的にヒットとなり、世界中の様々なグループによるカバーバージョンが作られるようになりました。
リアーナのサンプリングで訴訟問題に発展?
前述したように、Michael Jacksonの名曲をサンプリングしたRihannaの「Don’t Stop the Music」ですが、2009年に2人の曲がオリジナルのManu Dibangoのフックを無断で使用したと提訴されています。
Michael Jacksonは「Wanna Be Startin’ Somethin’」でこの曲の一部を使用したことを認め、最終的にはManu Dibangoと金銭的な和解を成立させています。
しかし、2007年にRihannaがMichael Jacksonにこの曲の一部のサンプリングする許可を求めたところ、彼はManu Dibangoに事前に連絡することなく、この要求を承認したとされています。
これに対し、Manu Dibangoの弁護士はパリの裁判所に50万ユーロの損害賠償と、ソニーBMG、EMI、ワーナーミュージックに対して「この問題が解決するまで『Soul Makossa』に関するいかなる収入も受け取ることを禁止する」ことを求める訴えを起こしたのです。
しかし、裁判所はユニバーサルミュージックがデータベースを更新し、Rihannaの楽曲にクレジットされている人物のリストにManu Dibangoを加えていることが判明し、この一件の法的問題に終止符を打つことになりました。
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