オーストラリア出身のラッパー兼シンガーThe Kid LAROI (ザ・キッド・ラロイ)は、若干の年齢ながらも音楽業界で目覚ましい活躍を続けています。2024年2月には、自身の半生を描いたドキュメンタリー映画『Kids Are Growing Up: A Story About A Kid Named Laroi』を公開しました。この映画では、音楽業界での葛藤や、亡きメンターであるJuice Wrldへの深い敬意が語られており、多くのファンに感動を与えました。
さらに、彼の音楽活動はとどまるところを知りません。2023年にリリースされたデビューアルバム『THE FIRST TIME』のデラックス版が2024年8月に発表され、その中に収録された追加曲『BABY I’M BACK』は、1977年のPlayerによる名曲『Baby Come Back』をサンプリングしており、リスナーから大きな注目を集めました。
そして最新作として、2024年11月にリリースされたQuavo (クエヴォ)とのコラボシングル『SLOW IT DOWN』が話題となっています。この楽曲はどのような元ネタがあり、どのようなメッセージが込められているのでしょうか。以下では、新曲『SLOW IT DOWN』の魅力と背景を詳しく掘り下げていきます。
The Kid LAROI & Quavo – SLOW IT DOWN (2024)
『SLOW IT DOWN』楽曲情報
リリース日
2024年11月15日
レーベル
Columbia Records
プロデューサー
Starrah
Waves
Dopamine
元ネタ・サンプリング
Juvenile feat. Soulja Slim – Slow Motion (2003)
Tate McRaeへの愛のメッセージ?『SLOW IT DOWN』で描かれる愛の形
The Kid LAROIとQuavoが初めてタッグを組んだ『SLOW IT DOWN』は、急速に進む情熱的な関係をテーマにした楽曲です。この曲では、2人が出会いから深い関係に至るまでの速い展開に戸惑いながらも、「その瞬間を大切にし、ゆっくりと楽しみたい」という気持ちが描かれています。歌詞には、華やかなライフスタイルやセクシャルな関係が表現される一方で、「スローモーションで」というフレーズを繰り返すことで、スピードに流されずに大切な時間を味わいたいという思いが込められています。
さらに、この曲にはプライベートな側面も垣間見えます。The Kid LAROIは2024年4月にカナダ人シンガーのTate McRaeとの交際を公に認めましたが、この曲がTateへの間接的なラブレターではないかという見方もあるのです。彼は7月1日のTateの誕生日に、自身のInstagramで2人がキスしている写真を投稿し、幸せそうな姿を披露しました。この投稿は、ファンに2人の仲の良さを印象付けるものでした。
Tate McRaeも交際が公になる前のインタビューで、The Kid LAROIについてこう語っています。
「彼は本当に音楽に恋をしているの。それが重要な点よ。彼のセンスは素晴らしくて、スタジオに入ると全てが音楽のために動いているの。そこが一番クールなところだと思うわ。彼と話していると、本当に彼を尊敬している自分に気づくの。彼は現実離れしたほど才能あるアーティストよ。」
Tateの言葉からも、2人が仕事面でもプライベートでもお互いを尊重し合う素晴らしい関係を築いていることが伺えます。『SLOW IT DOWN』は、こうした彼らのリアルな思いとライフスタイルが反映された楽曲ともいえるでしょう。
『SLOW IT DOWN』元ネタ・サンプリング情報
Juvenile feat. Soulja Slim – Slow Motion (2003)
The Kid LAROIの『SLOW IT DOWN』の元ネタになったのは、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のラッパーJuvenile (ジュヴィナイル)の『Slow Motion』です。この曲は、Juvenileの6枚目のアルバム『Juve the Great』(2003年)に収録されており、客演として参加しているSoulja Slimが銃殺された1ヶ月後にリリースされました。
『Slow Motion』は、2004年3月にシングルとして発表され、その後JuvenileとSoulja Slimにとって初の全米シングルチャート1位を獲得する大ヒットとなりました。この曲のミュージックビデオでは、Soulja Slimの死を悼む意味を込めて、「R.I.P. Soulja Slim」のTシャツを着用して出演しており、彼の死後に公開されたことも話題になりました。
また、Juvenileは後のインタビューで、この曲が実は自分のものではなく、Soulja Slimのアルバムに収められる予定だったことを明かしています。彼は次のように語っています。
「本当のところ、あれは俺の曲じゃなかった。あれはSoulja Slimの曲だったんだ……。俺の仲間が作った曲で、彼のアルバムに収録される予定だったんだ。」
このエピソードは、当時の音楽シーンやSoulja Slimとの深い絆を感じさせるとともに『Slow Motion』が持つ特別な意味を深めています。The Kid LAROIが『SLOW IT DOWN』でこの名曲をサンプリングしたことは、過去のヒット作へのオマージュでもあり、JuvenileとSoulja Slimの影響を受けた新たな作品を生み出したと言えるでしょう。
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