2Pac (トゥーパック)は、1996年に亡くなるまで西海岸のヒップホップを牽引し、全世界で7500万枚以上の売り上げを記録しました。
そんな彼が投獄されている中で1995年に発売されたアルバム「Me Against the World」は、全米チャートで4週連続1位を獲得。
評論家からは、これまでの彼のアルバムの中で最高の作品と賞賛され、グラミー賞では「Best Rap Album」にノミネートされています。
今回はこのアルバムから、リードシングルの「Dear Mama」をピックアップ。
この曲はR&B/Hip Hopチャート1位を獲得し、アメリカ国内だけで70万枚以上のセールスを記録しています。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
2Pac – Dear Mama (1995)
楽曲情報
2Pac (トゥーパック)
出身地 :カリフォルニア州ロサンゼルス
生年月日:1971年6月16日
ジャンル:Hip Hop
没年月日:1996年9月13日 (25歳)
レーベル
Interscope Records
Out Da Gutta Records
Atlantic Records
プロデューサー
Tony Pizarro
元ネタ・サンプリング
Joe Sample – In All My Wildest Dreams (1978)
The Spinners – Sadie (1974)
“Dear Mama” 元ネタ・サンプリング1
Joe Sample – In All My Wildest Dreams (1978)
元ネタになったのは、テキサス州ヒューストン出身のキーボーディストJoe Sampleの「In All My Wildest Dreams」(1978)です。
この曲は、彼の3枚目のアルバム「Rainbow Seeker」(1978)に収録しています。
また2Pacがサンプリングしたことで注目を集め、これまでに30曲以上に使用されています。
その中でも2005年にToni Braxtonが発表したシングル「What’s Good」は、2Pacと同じようにサンプリングしています。
Toni Braxton – What’s Good (2005)
“Dear Mama” 元ネタ・サンプリング2
The Spinners – Sadie (1974)
「Dear Mama」は、ミシガン州ファーンデールで結成したR&BグループThe Spinnersの「Sadie」(1974)もサンプリングしています。
この曲は、彼らの5枚目のアルバム「New and Improved」(1974)に収録し、アルバムはR&Bチャート1位を獲得。
また1993年にR. Kellyがカバーしたことでも知られ、2002年にはLL Cool Jがサンプリングしています。
R. Kelly – Sadie (1993)
LL Cool J feat. Dru Hill – Big Mama (Unconditional Love) (2002)
終わりに
今作はタイトルの通り、母親に向けたリリックが印象的なナンバーになっています。
この曲の中で、歌詞に女性蔑視が含まれているのではないかと質問された2Pac。
彼は女性と一緒にスタジオで仕事をしたり、リリース前に女性のために曲を演奏したりしていたことを明かし、次のようにコメントしています。
俺の音楽を作っているのは女性たちだ。 彼女たちは俺がどこから来たのか理解してくれている。 俺のママもそうだ。 俺の曲は、発売前に必ず彼女に聴かせるんだ。 俺が「Dear Mama」を書いた理由は何だと思う? ママのために書いたんだ。 彼女を愛しているし、彼女に何か深い借りがあると思ったんだ。
曲中では、幼少期の貧しさや母親の薬物中毒について明かすものの、母親への愛と深い尊敬の念が悪い思い出に勝ることを主張しています。
2Pacを代表するこの曲を、もう一度聴いてみてはいかがでしょうか。
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