現在のラップシーンで主流となっているオートチューンをメインストリームに広め、その独特のボーカルで多くのオーディエンスを魅了してきたT-Pain (T-ペイン)。
アルバム「Epiphany」(2007)と「Three Ringz」(2008)は、R&B/Hip Hopアルバムチャートで2作連続で1位を獲得し、2006年から2010年にかけて、50曲以上のチャート上位にランクインしたシングルにフィーチャーされるなど、彼の人気は全米中に広まりました。
そんな彼が、2011年に4枚目のアルバム「Revolver」から、今回はWiz Khalifa (ウィズ・カリファ)、Lily Allen (リリー・アレン)がゲスト参加したシングル「5 O’Clock」(2011)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
T-Pain feat. Wiz Khalifa & Lily Allen – 5 O’Clock (2011)
“5 O’Clock” 楽曲情報
レーベル
RCA Records
Nappy Boy Entertainment
Konvict Muzik
プロデューサー
T-Pain
元ネタ・サンプリング
Lily Allen – Who’d Have Known (2009)
Take That – Shine (2006)
“5 O’Clock” 元ネタ・サンプリング情報
Lily Allen – Who’d Have Known (2009)
元ネタになったのは、イギリス、ロンドン出身のシンガーLily Allen (リリー・アレン)の「Who’d Have Known」(2009)です。
彼女のセカンドアルバム「It’s Not Me, It’s You」(2009)に収録されており、このアルバムには「The Fear」も収録されており、この曲はUKシングルチャートで1位を獲得しています。
この曲をサンプリングしたT-Painは、たまたまAppleストアに電話をして保留にされた時にこの曲を聴き、誰がこれを歌ったのか検索して彼女にたどり着いたとLily Allenが明かしています。
T-Painの曲「5 O'Clock」を初めて聴いたとき、彼が私の曲「Who'd Have Known」をうまく解釈してくれたことに本当に感心したわ。 T-Painが初めて私の曲を聴いたのは、Appleストアに電話をかけた時に保留になっていた時で、私が誰なのか、誰が歌っているのか全く知らなかったのに、電話を切った後、誰がこの曲を録音したのかを探し出していたいう話を聞いたわ。 私は「5 O'Clock」が大好きよ! 本当に素晴らしいし、彼が私のオリジナル曲にしたことに本当に光栄に思っているわ!
“Who’d Have Known” 元ネタ・サンプリング情報
Take That – Shine (2006)
さらに深堀りすると、Lily Allenの「Who’d Have Known」は、イギリス、マンチェスターで結成されたポップグループTake That (テイク・ザット)の「Shine」(2006)をサンプリングしています。
彼らは、1995年に3枚目のアルバム「Nobody Else」でUKチャート1位を獲得するも、翌年にグループは解散を発表。
人気絶頂期の中、解散したことで世界中の何百万人ものファンが心を痛め、イギリスでは10代の少女たちが泣きながら道に並び、自殺をほのめかす姿が見られ、政府がカウンセリングに対応する電話ホットラインを設置したほどとなりました。
それから10年後の2005年、メンバー4人で再結成を果たし、翌年に4枚目のアルバム「Beautiful World」(2006)をリリース。
このアルバムはUKアルバムチャート1位、年間UKアルバムチャート2位を獲得し、収録曲の「Shine」は、UKシングルチャート1位を獲得しています。
また、この曲をサンプリングしたLily Allenは、インタビューで「Greg(プロデューサー)がコードを弾いて、私は歌ったら最高で、本当に夢中になったわ」と語り、後に誰かに聴かせたところ「Shine」だと指摘されたようです。
これを知ったLily Allenは、Take Thatにこの曲で歌ってほしいと依頼しましたが、彼らはその申し出を断ったものの、この曲を気に入り、レコーディングの許可をし、共同作曲者としてもクレジットされています。
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