2004年頃からラッパーとしてのキャリアをスタートさせ、これまでに20本以上のミックステープ(コラボレーション含む)をリリースしているBenny The Butcher。
また2020年にはセカンドアルバム「Burden of Proof」をリリースし、人気プロデューサーHit-Boyがエグゼクティブプロデューサーを務めたことでも話題となりました。
そんな彼が2021年にプロデューサーのHarry Fraudと共にEP「The Plugs I Met 2」をドロップ。
これは2019年に発表したEP「The Plugs I Met」の続編となっており、前作と同様にアートカバーは映画「スカーフェイス」のワンシーンを使用しています。
その中から今回ピックアップする「Plug Talk」は、日本の歌謡曲をサンプリングしたことで話題を呼んでいます。
元ネタとEPについて併せて解説していきます。
楽曲情報
Benny The Butcher
出身地 :ニューヨーク、バッファロー
生年月日:1984年11月27日
ジャンル:Hip Hop
Harry Fraud
出身地 :ニューヨーク
生年月日:1983年1月26日
ジャンル:Hip Hop (プロデューサー、ソングライター)
2 Chainz
出身地 :ジョージア州カレッジパーク
生年月日:1977年9月12日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Black Soprano Family
SRFSCHL
プロデューサー
Harry Fraud
元ネタ・サンプリング
佐井好子 – 胎児の夢 (1977)
Benny The Butcher & Harry Fraud feat. 2 Chainz – Plug Talk (2021)
元ネタ・サンプリング
佐井好子 – 胎児の夢 (1977)
元ネタとなったのは日本のシンガーソングライター佐井好子の「胎児の夢」(1977)です。
この曲は日本コロムビアに移籍後、初のリリースとなった作品で小説家の夢野久作からインスパイアされています。
これは夢野久作の代表作で、日本探偵小説三大奇書に数えられている小説「ドグラ・マグラ」で登場する壮大な論文「胎児の夢」をモチーフにしていると言われています。
また独特の雰囲気を醸し出しているジャケットは、佐井好子本人が色鉛筆で描いた作品となっており、その他の作品も彼女の個性あるアートカバーが印象的です。
また彼女の1978年に発表された「蝶のすむ部屋」と2枚組で1999年にCD化され、2008年にCDが再発しています。
The Plugs I Met 2
2021年の初の新作となったBenny The Butcherは、2019年に発表したEP「The Plugs I Met」の続編とのことで、ジャケットも前作と変わらず映画「スカーフェイス」を使用しています。
The Plugs I Met (2019)
そんな今作は全9曲収録され、2015年に31歳の若さで命を落としたChinxやJim Jones、Fat Joeなどのベテランも客演で参加。
また2020年にリリースされたサンプリングされたビートが心地よい「Wave Blues」で共演したFrench Montanaも参加しています。
French Montana feat. Benny the Butcher – Wave Blues (2020)
プロデューサー Harry Fraud
今作のEPは全曲Harry Fraudがプロデュースしています。彼はサンプリングに強く拘りがあるようで、そのほとんどはネタ使いしたビートが特徴的です。
2013年にThe Weekndのアルバム「Kiss Land」から「Professional」をプロデュースし、アルバムは全米チャート2位にランクイン。
The Weeknd – Professional (2013)
元ネタにはイギリス出身のミュージシャンEmikaの「Professional Loving」(2011)を使用しています。
Emika – Professional Loving (2011)
2012年にはFrench Montanaの「Shot Caller」をプロデュース。この曲はThomas Bell Orchestraの「A Theme for L.A.’s Team」(1979)をサンプリング。
French Montana feat. Charlie Rock – Shot Caller (2012)
Thomas Bell Orchestra – A Theme for L.A.’s Team (1979)
終わりに
Benny The Butcherの「Plug Talk」はいかがでしたでしょうか。
ループされたフレーズが怪しい雰囲気を纏いながらも、ニューヨークHip Hopらしいクールな楽曲に仕上がりました。
また近頃は70年代や80年代の日本の歌謡曲がアメリカでも注目を集め始めており、サンプリングされることが増えてきました。
今後もどのような楽曲がサンプリングされるのか、今後が非常に楽しみですね。
太田裕美をサンプリングした「We Getting Money」
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