90年代からニューヨークを拠点とし、数々の作品をこれまでに発表し続けたラッパーのNas (ナズ)。
2000年代に入ってからもその勢いは止まらず、Jay-Zとのビーフやレゲエシーンで活躍するDamian Marleyとのコラボレーションするなど、ラップ界を牽引してきた1人でもあります。
そんなNasが2020年に13枚目となるアルバム「King’s Disease」をリリースし、名プロデューサーのHit-Boyがアルバムのエグゼクティブプロデューサーを務めたことでも話題になりました。
彼はJay-ZとKanye Westによる「Ni**as in Paris」(2011)やTravis Scottの「SICKO MODE」(2018)をプロデュースしたヒットメーカーです。
今回ピックアップする「Replace Me」はこのアルバムに収録されています。
意外な大ネタをサンプリングした今作と、アルバムを併せて解説していきます。
楽曲情報
Nas (ナズ)
出身地 :ニューヨーク、クイーンズ
生年月日:1973年9月14日
ジャンル:Hip Hop
Big Sean (ビッグ・ショーン)
出身 :ミシガン州デトロイト
生年月日:1988年3月25日
ジャンル:Hip Hop
Don Toliver (ドン・トリバー)
出身 :テキサス州ヒューストン
生年月日:1994年6月12日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Def Jam Recordings
Mass Appeal
プロデューサー
Eric Choice
Hazebanga
Hit-Boy
元ネタ・サンプリング
Ella Mai – Trip (2018)
Nas feat. Big Sean & Don Toliver – Replace Me (2020)
元ネタ・サンプリング
Ella Mai – Trip (2018)
元ネタとなったのはイギリス、ロンドン出身のR&BシンガーElla Maiの「Trip」(2018)です。
彼女のデビューアルバム「Ella Mai」からセカンドシングルとしてリリースされ、全米チャート11位にランクイン。
またアルバムは2010年代に数々のクラブヒットを手掛けたMustardが、エグゼクティブプロデューサーを務め、リードシングルの「Boo’d Up」は全米チャート5位とヒット。
この曲はYouTubeで4億5000万回以上再生され、音楽メディア誌のRolling Stone誌は「過去10年間でブレイクした女性R&Bシンガーによる最大級のシングル」と評価しています。
Ella Mai – Boo’d Up (2018)
デビューアルバムながら、グラミー賞「最優秀R&Bアルバム」にノミネートされたことで、Ella Maiは一躍全米中から注目を浴びる存在となりました。
King’s Disease
Nasのこの作品は全13曲収録され、A$AP Ferg、Anderson .Paak、Lil Durkなどの人気アーティストが客演で参加。
アルバムがリリースされると初登場で全米チャート5位にランクインし、彼にとって14枚目の全米チャートTop10内にランクインしたアルバムとなりました。
そんなベテランラッパーのNasは、意外にもグラミー賞をこれまでに13回もノミネートはされていたものの、一度も受賞歴はありませんでした。
そんな中、今作は第63回グラミー賞で「最優秀ラップ・アルバム賞」を受賞し、30年以上のキャリアを持つ彼がようやく無冠を脱しました。
しかしアルバムは受賞となったものの、収録曲からはA$AP FergとFivio Foreignを迎えた「Spicy」が唯一全米チャートで96位ランクインしただけとなり、寂しい結果にもなっています。
Nas feat. Fivio Foreign & A$AP Ferg – Spicy (2020)
終わりに
Nasの「Replace Me」はいかがでしたでしょうか。
Ella Maiを大胆にサンプリングするも、Don Toliver (ドン・トリバー)の歌声とBig Sean (ビッグ・ショーン)の援護を受けることで、スムースな1曲に仕上がりました。
また彼ら2人を起用をしたのも、個人的には予想外で驚きました。
ラップ界を牽引しているNasが、今後どのような活動をするのか注目ですね!
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