2012年に発表したアルバム「Good Kid, M.A.A.D City」で鮮烈なデビューを飾ったKendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)。
2015年に発表したアルバム「To Pimp a Butterfly」は発売初週に32万4,000枚を記録。
グラミー賞に7部門にノミネートされ、2010年代の代表的な作品にもなりました。
今回はそのモンスターアルバムから「King Kunta」をピックアップして解説していきます。
Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)
出身地 :カリフォルニア州コンプトン
生年月日:1987年6月17日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Aftermath Entertainment
Interscope Records
Top Dawg Entertainment
プロデューサー
Sounwave
元ネタ・サンプリング
Mausberg feat. DJ Quik – Get Nekkid (2000)
Kendrick Lamar – King Kunta (2015)
元ネタ・サンプリング
「To Pimp a Butterfly」から3枚目のシングルとして発表されたこの曲。
Kendrick Lamarと同じくコンプトン出身のラッパーMausbergの「Get Nekkid」をサンプリングしています。
Mausbergはこのアルバムのリリース前に、自宅で起きた銃撃事件により21歳の若さで死去。
そこで彼の親友であり西海岸を代表するラッパーDJ Quikが、アルバムの大半を手掛けることでリリースされることになりました。
またKendrick Lamarによってサンプリングされたことで、西海岸のHip Hopクラシックとも言われているとか。
Mausberg feat. DJ Quik – Get Nekkid (2000)
To Pimp a Butterfly
アルバム「To Pimp a Butterfly」は全米チャート、UKチャートで1位にランクイン。
この作品からは全米チャートTop40にもランクインした「i」を含めた5枚がシングルカット。
2016年のグラミー賞では「最優秀ラップ・アルバム賞」の受賞のほか、7部門にノミネート。
さらにKendrick Lamarは、他のアーティストとのコラボレーションしていた作品でもノミネートされたことで、ラッパーとしては最多となる計11部門にノミネートされました。
また今作はRolling Stone誌が選出する「500 Greatest Albums of All Time」で19位にランクインしており、2010年代を代表する作品となりました。
Kendrick Lamar – i (2015)
King Kunta
タイトルになっている「King Kunta」はアメリカの作家、Alex Haleyによる小説「Roots: The Saga of an American Family」からインスパイアされています。
これはアフリカ人の “Kunta Kinte” が青年期に捕らえられ、奴隷としてアメリカに連れて行かれ、その後の生活と彼の子孫の人生を描いた作品となっています。
小説はニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに46週連続で掲載され、うち22週は1位を獲得。1979年には映画化され、アフリカ系アメリカ人の歴史への理解や、興味を刺激する作品となりました。
またMVはKendrick Lamarの故郷であるコンプトンで撮影され、監督はDrakeやAriana Grandeの作品でも監督を務めたDirector Xが手掛けています。
今作でDirector XはDr. Dreの「Still D.R.E.」のMVにインスパイアされ、2Pacの「California Love」のMVからもアイデアを得たと明かしています。
どちらも90年代を代表する西海岸クラシックであり、Kendrick Lamarがそれだけの影響力があるアーティストに成り上がったように思えます。
またDirector Xについては過去にも記事にしていますので、そちらも見て頂けたら嬉しいです。
Dr. Dre feat. Snoop Dogg – Still D.R.E. (1999)
2Pac feat. Dr. Dre – California Love (1995)
終わりに
ベストセラーからインスパイアされ、コンプトンのクラシックとも言われる「Get Nekkid」をサンプリングした「King Kunta」はいかがでしたでしょうか。
西海岸から、現在では全米を代表するラッパーでもある彼が、敢えてこの時代にG-Funkテイストの楽曲をチョイスしたのもセンスの良さを感じさせます。
この機会にKendrick Lamarの名作を改めて聞いてみてはいかがでしょうか。
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