ケンドリック・ラマー「Poetic Justice」サンプリング元と歌詞の真相|ドレイクとの共演や50 Centの裏話まで徹底解説

2010年代
2010年代
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Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)とDrake(ドレイク)という二大巨頭が共演した「Poetic Justice」。
Janet Jackson(ジャネット・ジャクソン)の名曲「Any Time, Any Place」を大胆にサンプリングし、映画『ポエティック・ジャスティス』への愛を捧げた名盤『good kid, m.A.A.d city』の核心を突く一曲だ。
2024年の歴史的ビーフを経て、今やヒップホップ史上最も「皮肉で美しい共演」として語り継がれる伝説的トラックである。

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🎧 クイック概要:10秒でわかる基本データ

項目内容
アーティスト / 曲名Kendrick Lamar / Poetic Justice feat. Drake
収録アルバム『good kid, m.A.A.d city』 (2012)
サンプリング元Janet Jackson – Any Time, Any Place (1993)
最高位米Billboard Hot 100:26位
R&B・Hip-Hop:8位
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2Pacとジャネットへの敬意:タイトルの真意

楽曲の骨格を成すのは、Janet Jacksonが1993年に放った官能的なR&Bアンセム「Any Time, Any Place」のサンプリングだ。

「Poetic Justice(詩的な正義)」というタイトルは、1993年公開のジョン・シングルトン監督による同名映画から取られている。この映画は、ケンドリックが神と崇める2Pac(トゥパック・シャクール)と、ジャネット・ジャクソンが主演を務めた金字塔だ。ジャネットの曲を使い、ドレイクと共に愛を歌うこの楽曲自体が、西海岸ヒップホップの歴史と2Pacへの壮大なオマージュとなっている。

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50 Centから奪った? ビート争奪戦の裏側

プロデュースは、名手Scoop DeVille(スクープ・デヴィル)が手掛けた。

実はこのビート、50 Centが先に目を付け、「Can I Speak To You」という楽曲を既にレコーディング済みだった。 しかし、スクープ・デヴィルは「このビートはケンドリックにこそ相応しい」と確信し、50 Cent版をお蔵入り(後にリーク)させてまでケンドリックに提供したという驚きの経緯がある。ケンドリックはこのビートを聴いた瞬間、即座に映画『ポエティック・ジャスティス』の世界観を乗せることを決めた。

50 Centのサンプリング元の記事はこちら。

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ドレイクとの共演:今や「ヒップホップ史上最大の皮肉」

客演にDrakeを迎えたことは、当時のシーンに大きな衝撃を与えた。2012年当時、ケンドリックはドレイクの『Club Paradise Tour』に同行しており、二人は互いの才能を認め合う極めて良好な関係にあった。

曲中では、詩的で複雑なラップを展開するケンドリックに対し、ドレイクは直接的でメロディアスなアプローチで女性を口説く。この対比が楽曲に深みを与えているが、2024年に「Not Like Us」などで壮絶なディス合戦を繰り広げた二人を知る今のリスナーにとって、この息の合った共演は「かつてはこれほど共鳴していた」という、残酷なまでの皮肉として響く。

「Not Like Us」のサンプリング元はこちら。

発売数日前の劇的決着:ジャネットの許諾交渉

サンプリングの許諾(クリアランス)は、アルバム発売の直前まで難航を極めた。ケンドリックはMTVのインタビューで「彼女の許可が降りなければアルバムを出すことができなかった。本当にギリギリの戦いだった」と振り返っている。

最終的にジャネット側は快諾。彼女は2013年5月のBillboard誌のインタビューで、自身のアルバム『janet.』の20周年を振り返る際、「今の音楽もチェックしているわ。ケンドリックの『Poetic Justice』は大好きよ」と公式に賞賛を送った。この「本人のお墨付き」が、楽曲を真のクラシックへと押し上げた。

Janet Jacksonの「Any Time, Any Place」の記事はこちら。

MVで示した「美の基準」への抗議

MVのキャスティングにおいて、ケンドリックは明確なメッセージを込めた。当初、業界の慣習に従って肌の色の明るい(ライトスキン)モデルが予定されていたが、ケンドリックは自らそれを白紙に戻し、ダークスキンのモデルであるBrittany Sky(ブリタニー・スカイ)をヒロインに抜擢した。

インタビューで、彼はその真意をこう語っている。

「メディアにはバランスが必要だ。俺はすべての女性を愛しているが、業界には『カメラ映えする特定の一タイプ』だけを求める偏見がある。それを俺の手で変えたかった」

これは、当時の音楽業界にはびこる「カラリズム(肌の色による差別)」に対する静かな宣戦布告であった。

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