Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)は、2011年に自主制作のアルバム「Section.80」を発表後、AftermathとInterscopeと契約。
翌年に同レーベルからメジャーデビューアルバム「Good Kid, M.A.A.D City」(2012)を発表し、発売初週に24万枚を超えるセールスを記録。
これは2012年の男性アーティストのヒップホップアルバムとしては最高の初週売上を記録になりました。
このアルバムはテーマの幅広さと彼のリリックが評価され、グラミー賞に4部門にノミネートされるなど、批評家から広く賞賛されました。
また音楽メディア誌ローリングストーンによる「史上最高のアルバム500枚」の115位に選出されるなど、音楽史に残る名盤の1つになりました。
今回は、このアルバムからシングルとしてもリリースされた「Poetic Justice」(2012)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Kendrick Lamar feat. Drake – Poetic Justice (2012)
楽曲情報
Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)
出身地 :カリフォルニア州コンプトン
生年月日:1987年6月17日
ジャンル:Hip Hop
Drake (ドレイク)
出身 :カナダ、トロント
生年月日:1986年10月24日
ジャンル:Hip Hop, R&B
レーベル
Top Dawg Entertainment
Aftermath Entertainment
Interscope Records
プロデューサー
Scoop DeVille
Sounwave
元ネタ・サンプリング
Janet Jackson – Any Time, Any Place (1993)
“Poetic Justice” 元ネタ・サンプリング
Janet Jackson – Any Time, Any Place (1993)
元ネタになったのは、インディアナ州ゲーリー出身のシンガーJanet Jackson (ジャネット ジャクソン)の「Any Time, Any Place」(1993)です。
この曲は、彼女の5枚目のアルバム「Janet」(1993)に収録。
彼女はすでにアーティストとして成功を収めていましたが、ジャクソン家の一員であることや、プロデューサーを頼りきったアーティストであることから、オーディエンスから批判を浴びていました。
そんな思いから、このアルバムでは全曲作詞作曲、全曲の共同プロデュースを行っています。
これまでの作品はメインストリームを意識したものでしたが、本作ではヒップホップ、オペラ、ハウス、ジャズなどを取り込み、彼女の可能性を広げる1枚になりました。
アルバムは発売初週に35万枚を売り上げ、全米チャート1位を獲得。
これまでにアメリカ国内だけで700万枚、全世界では1400万枚以上のセールスを記録する大ヒットアルバムとなりました。
またR. KellyのRemixもリリースされ、1995年にRemixアルバム「Janet Remixed」に収録されています。
Janet Jackson – Any Time, Any Place R. Kelly Remix
終わりに
Kendrick LamarはこのアルバムのタイトルをJanet Jacksonと2Pacが主演した映画「Poetic Justice」から取り、リリックもこの映画をモチーフにしたものになっています。
またKendrick Lamarは、客演のDrakeのツアーに参加したことをきっかけに始まったと明かしています。
俺とDrakeは、俺が彼のツアーに参加したことをきっかけに、どんなジョイントをやりたいか話していたんだ。 Scoop(プロデューサー)からトラックが送られてきたとき、すぐにこのヴァイブを作るというコンセプトを思いついたんだけど、最初に思いついたのがDrakeだった。 Drakeがキルしてくれて、クレイジーに仕上がったよ。
またプロデューサーのScoop DeVilleは、今作のビートを温めていたことも明かしています。
「The Recipe」をリリースした後、作品をもっと作ることが最優先だったんだ。 あの晩はたくさんのジョイントをプレイした。 あのサンプルは、ふさわしいアーティストのために取っておいた特別な作品なんだ。 俺はKendrickのファンだったんだけど、彼にぴったりだったし、他のみんなも気に入ってくれた。 Janet Jacksonの「Any Time, Any Place」のサンプルはとてもクレイジーだから、それがクリアされたこと自体が驚きだよ。
大ネタを使用したことに触れ、その中でもサンプリングの権利をクリアできたことに本人も驚いているようですね。
ぜひこの機会に改めて、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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