2000年代を代表するR&Bの金字塔、Nelly feat. Kelly Rowlandの「Dilemma」は、全米チャート通算10週1位という驚異的な記録を打ち立て、グラミー賞まで手中に収めた伝説のメガヒット曲だ。Patti LaBelle (パティ・ラベル)の名曲「Love, Need and Want You」を引用した甘く切ないメロディは、リリースから20年以上経った今なお色褪せず、2025年にはSpotifyで10億再生を突破するなど、デジタル時代においても圧倒的な存在感を放ち続けている。
| 項目 | 内容 |
| アーティスト / 曲名 | Nelly feat. Kelly Rowland – Dilemma |
| 収録アルバム | Nellyville(Nelly) Simply Deep(Kelly Rowland) |
| サンプリング元 | Patti LaBelle – Love, Need and Want You(1983) |
| 最高位 | 米 Billboard Hot 100:1位(通算10週間) 英国シングルチャート:1位 ほか各国チャート1位多数 |
🔥 2002年、全米がこの「禁断の恋」に酔いしれた

2002年の夏、ラジオから流れない日はなかったのがこの「Dilemma」だ。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったラッパーのNelly (ネリー)と、デスティニーズ・チャイルドのメンバーとして絶大な人気を誇ったKelly Rowland (ケリー・ローランド)によるこのデュエットは、単なる流行歌の枠を超え、R&B史に刻まれるアンセムとなった。
特筆すべきは、全米チャートでの圧倒的な強さだ。Nellyは自身の前ヒット曲「Hot in Herre」から首位の座をこの曲で奪い取るという、「自らの手で自分を1位から引きずり下ろす」という離れ業を成し遂げ、2002年という年を完全に支配した。
🎶 なぜこの曲は「切ない」のか?サンプリングの魔法と歌詞の裏側
この曲の心臓部は、1983年にリリースされたPatti LaBelle (パティ・ラベル)の名曲「Love, Need and Want You」のメロディを引用している点にある。
- ノスタルジックな響き: 80年代のR&Bが持つ甘美な空気を、洗練されたヒップホップ・マナーで再構築。当時のリスナーに強烈な親しみやすさと新鮮さを同時に与えた。
- 「ジレンマ」という名の背徳感: 歌詞のテーマは、決して美しい「純愛」ではない。お互いに別のパートナーがいながらも、隣人として惹かれ合ってしまう危うい心理を描いている。「たとえ今の相手がいても、君のことばかり考えてしまう」という切実な告白が、Kelly Rowlandの柔らかな歌声とNellyのメロウなラップで響く。
この「抗えない感情」をロマンティックなバラードに昇華させたことが、20年経っても夜のドライブやプレイリストの定番であり続ける理由だ。
🎹 制作秘話:実は“おまけ”の最後に滑り込んだ曲だった?

驚くべきことに、この曲は最初から勝負曲として用意されていたわけではなかった。アルバム『Nellyville』の制作がほぼ終了していた段階で、「あと数曲足りない」という状況から急遽追加された2曲のうちの1つだったのだ。
プロデューサーのAntoine “Bam” Maconが、Patti LaBelleの曲を口ずさんでいたのをNellyが気に入り、その場で制作がスタート。完成したデモを聴いた周囲の反応は圧倒的で、レーベル側は即座にこれを次なるシングルに決定した。まさに、偶然の産物が時代を変えた瞬間だった。
👑 Kelly Rowlandが語った「ソロとしてのプレッシャー」

当時のKelly Rowlandは、大きな転換期にいた。世界的グループ「デスティニーズ・チャイルド」のメンバーとして成功していたが、グループには絶対的な存在であるビヨンセがいた。
Kelly Rowlandは後のインタビューで、ソロ活動への不安をこう振り返っている。
“I just wanted people to hear me.”
(とにかく“私の声”を聴いてほしかった)
Nellyからのコラボオファーは、彼女が「一人のアーティスト」として世界に認められるための、これ以上ない舞台となった。結果、この曲は彼女のデビュー・ソロアルバム『Simply Deep』にも収録され、彼女のキャリアを代表する一曲となった。
📱 ミュージックビデオ:語り継がれる「Excelメール事件」

ミュージックビデオ(監督:Benny Boom)は、ユニバーサル・スタジオのセット「Colonial Street」で撮影された。物語は、引っ越してきたばかりのKellyにNellyが一目惚れするシーンから始まる。
- ラリー・ヒューズの出演: Kellyの恋人役として、当時のNBAスター、ラリー・ヒューズが出演している点も見逃せない。
- 伝説のExcelテキスト: ビデオ内で最も有名なのが、KellyがNellyにメッセージを送るシーンだ。彼女が使っていた「Nokia 9210 Communicator」の画面をよく見ると、なんとMicrosoft Excelにメッセージを打ち込んでいる。このシュールな演出は現在もSNSで「2000年代最大の謎」としてミーム化されている。
- レジェンドのカメオ: サンプリング元のパティ・ラベルがKellyの母親役で出演。新旧R&Bスターが共演する、心憎い演出が施されている。
🏆 2020年代に再び爆発する「Dilemma」現象

この曲の勢いは、20年以上経っても衰えるどころか、デジタル時代に再燃している。
- グラミー賞の栄光: 2003年の第45回グラミー賞で「最優秀ラップ/歌唱コラボレーション賞」を受賞。
- 10億再生の金字塔: 2025年4月、Spotifyでの再生回数がついに10億回を突破。 これは、NellyとKelly Rowlandの両者にとって初の快挙であり、2000年代の名曲が現代のリスナーにも「現役」として聴き継がれている証となった。
- リバイバルブーム: TikTokでのサンプリングや、Z世代による2000年代(Y2K)トレンドの再評価により、今や「最も有名なデュエット曲」の一つとして定着している。
💡 まとめ:なぜ“Dilemma”は色褪せないのか
「Dilemma」が永遠の名曲となった理由は、「80年代のソウル、2000年代のヒップホップ、そして誰もが共感する恋の葛藤」が完璧なバランスで調和しているからだ。
単なるヒット曲ではない。それは、R&Bとヒップホップが最もロマンティックに融合していた時代の、美しき記録なのである。
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