Ed Sheeran (エド・シーラン)の「Shape of You」は、世界44カ国以上のチャートで首位に輝き、Spotifyで45億回再生(2026年時点)を突破した2010年代最大のモンスターヒットだ。 TLCの名曲「No Scrubs」のメロディを一部取り入れた(インターポレーション)中毒性の高いリズムが、世界中のリスナーを虜にした。 実はリアーナへの提供曲として書かれたという驚きの誕生秘話を持ち、ストリーミング時代の音楽のあり方を決定づけた歴史的な一曲である。
🎧 クイック概要:10秒でわかる基本データ
| アーティスト / 曲名 | Ed Sheeran – Shape of You |
| 収録アルバム | ÷ (Divide) |
| サンプリング元 | TLC – No Scrubs (1999) |
| 最高位 | US Billboard Hot 100 / UK Singles Chart / 多数国1位 計34カ国以上で首位獲得 |
✍️ 制作秘話:最初は「リアーナ」に送るつもりだった

この曲の成り立ちは意外だ。2016年の制作当時、エド・シーランは自分自身が歌うことを想定していなかった。インタビューで、彼はこう明かしている。
「この曲は最初、リアーナに送るつもりだったんだ。でもデモを歌っているうちに『歌詞が自分らしくないな』と思いつつも、ビートが面白くて結局自分のアルバムに入れることにしたんだよ」
ダンスホール調のビートやセクシーな歌詞の背景には、彼女のような女性アーティストが歌うイメージがあったのだ。しかし、最終的に彼が歌ったことで、エド特有の「素朴さと色気の共存」が生まれ、唯一無二の楽曲となった。
🎹 「No Scrubs」の影と、音楽的な中毒性の正体
曲が公開されると、一部から「Bメロの旋律が、1999年のR&BヒットであるTLCの「No Scrubs」に似ている」という指摘が上がった。
エド側はこれに対し、音楽的な類似性を認めて迅速に対応。正式に「No Scrubs」の作家陣をクレジットに追加した。これは裁判沙汰を避けるための賢明な判断であり、結果として音楽業界における「インターポレーション(既存曲の流用)」の代表例として語られることになった。
※「Shape of You」の0:35〜
この曲の強さは、「ループ構造」にある。
- シンプルな打楽器の反復。
- サビで爆発させず、あえて同じ熱量を保つ。
- 1回聴いて終わりではなく、何度聴いても疲れない「ストリーミング最適化設計」。
📈 記録ラッシュ:世界史に残る圧倒的な数字

2017年のリリースから現在に至るまで、「Shape of You」は記録を塗り替え続けている。
- Billboard Hot 100:12週連続1位、トップ10滞在は33週という驚異のロングラン。
- Spotify:2026年現在、45億再生を突破。歴代2位の座を不動のものにしている。
- Apple Music:公開から10年近く経ってもなお、最も再生された楽曲の一つに数えられる。
🎥 ミュージックビデオ:なぜテーマが「ボクシング」?

YouTubeで数十億回再生されている公式MVは、意外にも「ボクシング」がテーマだ。監督のジェイソン・ケーニッヒは、恋愛の高揚感を「勝利を目指す闘い」になぞらえた。
エド自身が本格的なトレーニングに挑み、肉体改造して撮影。共演にはダンサーのジェニー・ペゴウスキー、そして元力士の山本山龍太が出演している点も見逃せない。エドが相撲の稽古をしたり、恋と格闘に励む姿は、楽曲の持つ力強いビートと見事にシンクロしている。
⚖️ 盗作裁判を乗り越えて:アーティストのプライド
エド・シーランは、この曲を巡っても英国高等法院で盗作訴訟を戦い、2022年に完全勝訴を収めている。彼は公の場で、根拠のない訴訟が音楽業界に与えるダメージを強く訴えた。
なお、後に彼が「もし裁判に負けたら、音楽業界を引退する」とまで宣言して戦ったのは、別曲「Thinking Out Loud」の米国での裁判(2023年)だ。それほどまでに彼は、自身のクリエイティビティに誇りを持っており、この「Shape of You」の成功も、決して偶然や模倣の産物ではないことを法廷で証明し続けてきた。
🧠 なぜ今も支持されるのか?
「Shape of You」がここまで世界的な支持を集めた理由は、次の3点に集約できる。
- 普遍的な恋愛テーマ:バーでの出会いという、文化を選ばないストレートな歌詞。
- リズミックでキャッチー:ポップとダンスホールの完璧な融合。
- ストリーミング時代の王者:中毒性の高いループ構造。
これらが相まって、2010年代、そして2020年代に入ってもなお、世界中のどこかで必ず鳴り響いている「時代を超えたスタンダード」となったのだ。
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