ニューヨーク出身のフィメールラッパーのIce Spice (アイス・スパイス)は、2022年にシングル「Munch (Feelin’ U)」のヒットで一躍注目を浴びました。
そして翌年、イギリス出身のシンガーPinkPantheressとのコラボシングル「Boy’s a liar Pt. 2」(2023)をリリースし、自身最高位となる全米チャート3位を記録しました。
「Boy’s a liar Pt. 2」の記事はこちら。
さらに、2023年4月には、Nicki Minaj (ニッキー・ミナージュ)とコラボシングル「Princess Diana」をリリースし、2曲連続で全米チャートトップ5入りを果たし、Ice Spiceの人気は確固たるものとなりました。
そして今回、2人は再びコラボシングル「Barbie World」(2023)をリリースしました。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Nicki Minaj, Ice Spice with Aqua – Barbie World (2023)
“Barbie World” 楽曲情報
リリース日
2023年6月23日
レーベル
Atlantic Records
10K Projects
Capitol Records
プロデューサー
RIOTUSA
元ネタ・サンプリング
Aqua – Barbie Girl (1997)
“Barbie World” 元ネタ・サンプリング情報
Aqua – Barbie Girl (1997)
元ネタになったのはデンマークで結成されたユーロポップグループAqua (アクア)の「Barbie Girl」(1997)です。
この曲は、彼らのデビューアルバム「Aquarium」(1997)に収録されており、アルバムは全世界で1400万枚のセールスを記録したほか、アメリカでは300万枚以上を売り上げ、Ace of Baseの「The Sign」(1993)以来、アメリカで最も成功したユーロダンスアルバムとなりました。
また「Barbie Girl」は、ヨーロッパを中心に世界10ヵ国以上のチャートで1位を獲得し、全世界で800万枚以上を売り上げる大ヒットとなりました。
しかし、この曲がバービー人形の商標侵害であり、バービー人形を性的対象化していると主張するマテル社(バービー人形の製造元)がAquaのレーベルであるMCA Recordsを訴えました。
しかし、裁判所はこの訴えを却下し、後に最高裁判所も控訴を却下しました。そして2002年には、控訴裁判所が曲をパロディとして保護する判決を下しました。
映画「Barbie」のサントラに収録!
Ice SpiceとNicki Minajの「Barbie World」は、2023年7月に公開予定の映画「Barbie」のサウンドトラックに収録予定で、このサントラはMark Ronsonがエグゼクティブプロデューサーとして関わることが明らかになっています。
また、このサントラから先行シングルとしてDua Lipaの「Dance the Night」がリリースされましたが、映画には前述のAquaの「Barbie Girl」が含まれないことが明らかになり、多くのファンが失望の声を上げました。
この件について、映画の主演兼プロデューサーであるMargot Robbieは、監督のGreta GerwigにAquaの「Barbie Girl」を入れるように懇願したことを明かしています。
私は「Greta、どうやってこの曲を取り入れるの?バービーの映画をやる以上、AQUAの「Barbie Girl」に敬意を払わないわけにはいかないわ。必ず入れなければいけないよ」と言ったの。 すると、Gretaは「心配しないで、それを取り入れるクールな方法を見つけるわ」と言ってくれたわ。
Greta GerwigはAquaとバービー人形の製造元であるマテル社の訴訟問題を抱えていたことを知っており、そのために敢えてIce SpiceとNicki Minajのサンプリングとした形でサウンドトラックに収録した可能性が考えられます。
彼女はデリケートな問題を回避しながら、ファンの期待に応える方法を見出したのかもしれませんね。
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