Travis Scott (トラヴィス・スコット)が2023年に5年ぶりに発表したアルバム『UTOPIA』は、全米アルバムチャートで1位を獲得し、さらに世界10カ国のチャートでも首位に輝きました。
このアルバムは、その年の年間アルバムチャートでもトップ10入りを果たし、グラミー賞「最優秀ラップアルバム賞」にノミネートされるなど、2023年を代表するラップアルバムとなりました。
そして2025年1月、Travis Scottは『UTOPIA』以来となる新曲「4X4」をリリース。本記事では、この楽曲のサンプリング元や背景について詳しく解説します。
Travis Scott – 4X4 (2025)
『4X4』元ネタ・サンプリング情報
「4X4」のサンプリング元となったのは、テネシー州立大学(Tennessee State University, TSU)のマーチングバンド「アリストクラット・オブ・バンズ(Aristocrat of Bands, AOB)」が2016年に披露した「Say Sum」です。
Tennessee State University Marching Band – Say Sum (Live in Tennessee, 2016)
AOBは1946年に結成され、1961年にはジョン・F・ケネディ大統領の就任パレードに黒人大学のバンドとして初めて参加するという歴史的な快挙を達成しました。その後もシカゴ・ベアーズやロサンゼルス・ラムズの試合でハーフタイムショーを務めるなど、数々の重要な舞台で活躍を続けています。
特に1963年のNFLチャンピオンシップでの演奏がきっかけで、スポーツキャスターにより「アリストクラット・オブ・バンズ」と命名され、この名称が定着しました。その後も全国的なイベントで注目を集め、1993年にはビル・クリントン大統領の就任パレードにも出演。
さらに2023年、第65回グラミー賞で「Best Roots Gospel Album」部門を受賞し、大学のマーチングバンドとして史上初のグラミー受賞という偉業を成し遂げました。これにより、AOBの音楽的実力と影響力が改めて証明されることとなりました。
「4X4」の元ネタとなった「Say Sum」は、ラップグループMigosが2016年に発表した同名楽曲のカバーで、バンドならではの壮大なアレンジが特徴です。AOBは他にもGinuwineの「Pony」やKendrick Lamarの「Alright」などの名曲をカバーしており、その演奏力の高さが評価されています。
Migos – Say Sum (2016)
マーチングバンドを募集

「4X4」は、「4X4」は、サンプリング元でもあるマーチングバンドのホーンセクションが印象的な楽曲となっており、イントロから重厚なホーンの響きが特徴的です。
Travis Scottは、2025年4月にカリフォルニア州インディオで開催される世界最大の野外フェス「コーチェラ」に出演予定ですが、そのパフォーマンスにマーチングバンドを参加させることを検討しているようです。
彼はSNSで、HBCU(歴史的に黒人の学生が多い大学)の規模を問わず、マーチングバンドの参加を呼びかけています。
HBCU(歴史的に黒人の学生が多い大学)、規模の大小を問わずバンドのある大学で。この「4x4」のホーンアレンジを演奏するつもりだ。もしあれば、一緒にコーチェラに連れて行って共演したいと思ってる。 でも、大学生活は大変だから、1学期分の負担をどうにかする方法も考えられたらと思ってる。
でも、音楽は楽しいよね。 :)) 何か見せてくれ!
全米シングルチャート1位を獲得!

「4X4」は、4週にわたり首位をキープしていたLady GagaとBruno Marsの「Die With A Smile」を抑え、リリース初週に全米シングルチャート1位を獲得しました。
これは、2020年に発表した「FRANCHISE」以来の首位獲得で、Travis Scottにとって通算5度目の1位となります。
また、この曲のCDシングルおよび関連グッズの収益は、2025年にロサンゼルスで発生した山火事の復興支援に寄付される予定です。
おわりに
Travis Scottの「4X4」は、サンプリング元となったTSUマーチングバンドの歴史や功績とも深く結びついた楽曲であり、音楽シーンに大きなインパクトを与えています。
全米シングルチャート1位を獲得し、さらにその収益を復興支援に充てることで、音楽を超えた社会的な影響力も示しています。もしコーチェラでマーチングバンドとの共演が実現すれば、さらなる話題を呼ぶことは間違いないでしょう。
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