1996年にリリースされた2Pac (トゥーパック)に4枚目のアルバム「All Eyez on Me」は、ヒップホップのソロアルバムとしては史上初の2枚組のフルアルバムで、彼が凶弾で倒れる前の最後のアルバムとなりました。
アルバム収録曲の元ネタこちら。
2Pac feat. Danny Boy – I Ain’t Mad at Cha
2Pac feat. Snoop Dogg, Nate Dogg, Dru Down, Hussein Fatal & Yaki Kadafi – All About U
このアルバムには、彼の代表曲のひとつである「California Love」も収録されており、発売初週に56万枚以上を売り上げ、前作「Me Against the World」(1995)に続き全米チャート1位を獲得。
「California Love」の記事はこちら。
今回は、アルバムの1曲目を飾り、Daz Dillingerがプロデュースした「Ambitionz Az a Ridah」をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
2Pac – Ambitionz Az a Ridah (1996)
“Ambitionz Az a Ridah” 楽曲情報
レーベル
Interscope Records
Death Row Records
プロデューサー
Daz Dillinger
元ネタ・サンプリング
Joeski Love – Pee-Wee’s Dance (1986)
The Champs – Tequila (1958)
“Ambitionz Az a Ridah” 元ネタ・サンプリング情報
Joeski Love – Pee-Wee’s Dance (1986)
元ネタになったのは、ラッパーJoeski Loveの「Pee-Wee’s Dance」(1986)です。
ニューヨーク、ブロンクスのヒップホップ、R&BレーベルVintertainmentからElektra Recordsと配給契約を結んでこの曲はリリースされ、プラチナセールスを記録する大ヒットとなりました。
現在までに、200曲以上でリリックやビートがでンプリングされ、J Dilla、Eazy-E、Public Enemyなど多くのラッパーやプロデューサーに愛されている曲です。
“Pee-Wee’s Dance” 元ネタ・サンプリング情報
The Champs – Tequila (1958)
さらに深堀りすると、Joeski Loveの「Pee-Wee’s Dance」は、バンドThe Champsの「Tequila」(1958)をサンプリングしています。
彼らは、シンガーDave Burgessの曲「Train to Nowhere」のレコーディングのためスタジオに集まり、ここで「Tequila」が完成しました。
この曲は、シングル「Train to Nowhere」のB面に収録され、当時は捨て曲としてリリースされましたが、リリースから3週間でA面よりも有名になり、全米チャート1位を獲得。
1959年にグラミー賞「ベストR&Bパフォーマンス」を受賞し、100万枚以上の売り上げでRIAAからゴールドディスクを授与される大ヒットとなりました。
また、グループのリーダーであるDave Burgessは、2020年にThe Champsを再結成し、新バージョンや新曲を含む12曲を収録したアルバム「Tequila Party」を発表しています。
Kuruptらが「Ambitionz Az a Ridah」について語る
アルバム「All Eyez on Me」のミキシングエンジニアであるDave Aronは、2Pacが出所した日にこの曲をレコーディングしたと明かしています。
この曲は俺が2Pacと一緒に作った最初の曲なんだ。 彼は刑務所から出てきた日、クラブに行かなかった。 女性に会おうとすることもなかった。 彼はミッションを遂行するかのようにスタジオに直行し「Ambitionz Az A Ridah」と「I Ain't Mad At Cha」をレコーディングしたんだ。 2Pacは刑務所から出たばかりだった。 その同じ夜、彼にデス・ロウのチェーンを渡すのを見たよ。 そして、彼はすぐにやって来た。彼は準備万端だった。 彼はとてもハイテンションで、とても集中していて、エネルギーに満ち溢れていたよ。 本当に使命感を持ってやっているのが伝わったよ。 彼は本当の意味でのビジョンを持っていて、あの短い時間で多くのことを成し遂げたいと考えていたんだ。
また、ラッパーのKuruptもレコーディングに立ち合い、完成させるまでの速さに驚いていたようです。
彼が家に帰った初日、「Ambitionz Az A Ridah」が最初にレコーディングした曲だったんだ。 Sugeが彼を連れてきた。 Pacが帰ってきたっていうのはオフィス中に知れ渡ったんだ。 俺は少し後に着いたんだけど、その時にはもうDazがビートを始めていた。 Pacは最初のバースを完成させて終えるまで、45分以上はスタジオにいなかった。 これが早さだ。 彼は冷静さを失い、マイクを握ることだけを望んでいた。 ロサンゼルスに到着して2時間後には、最初のバースを作っていたんだ。
この機会に、彼のアルバムと元ネタを合わせて聞いてみてはいかがでしょうか。
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