2Pac (トゥーパック)は、Snoop Dogg、Dr. Dreと共に90年代の西海岸ヒップホップの発展に大きく貢献し、死後も含め現在までに11枚のアルバムを発表しています。
そのうち5枚が全米チャートで1位を獲得、全世界で7500万枚以上のセールスを記録しています。
今回は、生前最後に発表された4枚目のアルバム「All Eyez on Me」から「I Ain’t Mad at Cha」をピックアップ。
この曲は、彼の死から2日後にシングルとしてリリースされ、また2022年のスーパボウルのハーフタイムショーでは、Dr. Dreが2Pacへのオマージュとしてイントロをピアノで演奏し話題になりました。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
2Pac feat. Danny Boy – I Ain’t Mad at Cha (1996)
楽曲情報
2Pac (トゥーパック)
出身地 :カリフォルニア州ロサンゼルス
生年月日:1971年6月16日
ジャンル:Hip Hop
没年月日:1996年9月13日 (25歳)
Danny Boy
出身地 :イリノイ州シカゴ
生年月日:1977年10月31日
ジャンル:R&B
レーベル
Interscope Records
Death Row Records
プロデューサー
Daz Dillinger
元ネタ・サンプリング
DeBarge – A Dream (1983)
“I Ain’t Mad at Cha” 元ネタ・サンプリング
DeBarge – A Dream (1983)
元ネタになったのは、DeBarge家のメンバーで構成されたR&BグループDeBarge (デバージ)の「A Dream」(1983)です。
彼らの3枚目のアルバム「In a Special Way」(1983)に収録され、アルバムはR&Bチャート4位を記録。
この曲は、DeBargeのメンバーであるBunny DeBargeがソングライターとリードボーカルを兼任し、4人の兄弟 (Mark、Randy、El、James DeBarge)がバックで歌った数少ない曲の1つでもあります。
また2Pacがサンプリングしたことで話題を集め、RihannaやQueen Naijaなどのシンガーもサンプリングしています。
Rihanna – There’s a Thug in My Life (2005)
Queen Naijaの記事はこちら。
終わりに
今作のMVは、2Pacの死の数週間前に撮影され、彼の死からわずか5日後に初放映されましたが、皮肉にも作中ではラッパーが撃たれる様子が描かれています。
このMVで主人公を演じた俳優のBokeem Woodbineは、2Pacとの会話を次のように明かしています。
4、5日は撮影していたと思うけど、俺のシーンはすべて彼との共演だったから、かなり強い絆で結ばれていたよ。 彼が俺に慣れてくると、今まで実現できなかった計画を打ち明けてくれるようになったんだ。 そのひとつは当時、東海岸にいたあるグループと揉め事があって、それを解決したいと俺に言っていた。 そのビーフを解消して、Mobb DeepやNasと一緒になって、全員参加の作品を出したいと言っていたんだ。 彼は言いたいことを言ったし、もう怒ってないし、みんなをまとめたいんだと思ったね。 ただ、それをネタに金儲けしている連中がいるのが気になったよ。 この争いをなくしたいと思っていた。 また、レコード会社が儲けるために仕組まれたことで、若い人たちが傷ついたり死んだりするのは良くないことだとも感じていた。 それがとても気に障ったみたい。 彼は何度も何度も言い続けていたのを覚えているよ。 Mobb Deepをここに呼ぼう。一緒にレコードを作るんだ。 そして、この無意味なことを全部つぶしてやるんだ。 彼は俺の励ましなど必要なかった。彼はもう計画を立てていたんだから。 俺は「そうだ、そうだ。そんなのバカバカしいから潰しちゃえ」って。 彼は、「見ててくれ」と言ったんだ。 「こうなる、ああなる」と。 でも、彼はその計画を完全に実行するチャンスはなかったんだ。
当時、2Pacは東海岸のラッパーとのビーフで関係が悪化していましたが、それを解決して一緒に曲を作りたかったようです。
しかしその夢はかなわず、25歳という若さでこの世を去りましたが、Dr. Dreが彼にオマージュを捧げるなど、彼の音楽は今も生き続けています。
この機会に、元ネタ併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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