2025年6月6日、Ciara (シアラ)が発表した新曲「Ecstasy (Remix)」は単なるリミックスという枠を軽々と飛び越えた。R&Bにおける“女性の官能性と自己表現”を、これほど濃密かつ美しく描いた楽曲は久しぶりである。
Normani (ノーマニ)とTeyana Taylor (テヤナ・テイラー)とという、実力と存在感を兼ね備えた2人のアーティストを迎えたことで、この楽曲は原曲から大胆に進化し、現代的なガールズ・アンセムへと昇華している。
Ciara feat. Normani & Teyana Taylor – Ecstasy (Remix) (2025)
原曲からの進化──滑らかさの中にある濃密なニュアンス
「Ecstasy」は、Ciaraが自身のレーベルBeauty Marks Entertainmentから発表したシングルであり、2025年7月にリリース予定のアルバム『CiCi』に収録される見込みだ。
オリジナル版は、ミッドテンポの官能的なトラックに乗せて、Ciaraの柔らかく滑らかなボーカルが心地よく溶け込む仕上がりとなっており、90〜2000年代R&Bの香りを感じさせると、多くのファンの心を掴んだ。
そして今回のリミックスでは、NormaniとTeyana Taylorが参加。プロデュースを手がけたのは、Tommy Brown(TBHits)、Leather Jacket、Tommy Parkerといった熟練の顔ぶれである。
抑制されたビートと空間の余白が絶妙に共存し、それぞれのシンガーの個性とセクシュアリティが交錯する。音の“隙間”があるからこそ、3人の表現力がより際立つ構造になっている。
リリックが描くのは「女性による欲望の肯定」

歌詞全体に通底するのは、「恋人との交わりによる高揚感」をエクスタシー(=快楽をもたらすドラッグ)に例える、挑発的かつ詩的な表現である。
Ciaraは、相手に触れられることで「自分の身体が目覚める」と歌い、その瞬間の昂揚をエクスタシーと重ねる。
Normaniは、シャワーやベッドでの情熱的な情景を描写しつつ、自らが主導権を握る女性としての姿を表現。官能性と自己肯定が同時に存在する彼女のパートは、まさに現代的なフェミニニティの象徴である。
一方、Teyana Taylorは自分の身体や欲望を隠すことなく、むしろ堂々と求める姿を打ち出している。
全体を通して見えてくるのは、女性が欲望をタブー視せず、自信を持って享受する姿であり、そこに漂うのは決して消費される性ではない。主体的に表現される“女性の快楽”なのである。
交差する3人の魂──“Black Girl Magic”としてのコラボレーション
Ciaraはこの共演について、「NormaniとTeyanaとの制作は、まさにBlack Girl Magicだった」と語っている。さらに、「彼女たちはそれぞれ、女性としてもアーティストとしても道を切り拓いてきた。私は2人に姉妹のような絆を感じている」とも述べている。
Normaniにとって、影響を受けてきたCiaraやTeyanaとの共演は夢のような出来事だったという。彼女は「これはまさに“フルサークル”──原点に立ち返るような瞬間だった」と感慨深く語っている。
Teyana Taylorも「この曲は、私たちのソウルと絆を映し出すもの」とコメントしており、このコラボが単なる話題性で実現したものではないことがわかる。
世代も背景も異なる3人が、音楽という共通言語のもとで響き合ったからこそ、「Ecstasy (Remix)」は単なるセクシャルなR&Bソングでは終わらない。そこにあるのは、連帯と相互尊重に裏打ちされた“音楽の深み”である。
MVへの期待とR&B回帰の兆し──ファンとメディアの反応
リリース直後からSNSでは、「この3人でMVを見たい」「ライブでの共演も期待」といった声が多数寄せられている。とくに3人のダンスパフォーマンスに対する期待値は高く、ビジュアル面での展開も注目されている。
アメリカの音楽メディアは本作を「R&B黄金期の再来を感じさせる」と評し、空間を活かしたプロダクションと過剰にならないセクシュアリティを高く評価している。
また、かつて引退を表明していたTeyana Taylorの復帰に対しても、「彼女の歌声が再び聴けて嬉しい」といった喜びの声が多く見られた。
「Ecstasy (Remix)」は、単なる豪華コラボによる一過性の作品ではない。これは、Ciara、Normani、Teyanaの3人がそれぞれのキャリアと美学を持ち寄り、1つの楽曲という形で衝突・融合した“ドキュメント”でもある。
『CiCi』へと続く予告編──Ciaraの現在地

このリミックスは、Ciaraがリリース予定のニューアルバム『CiCi』の先行作としての役割も担っている。本人曰く、「このアルバムは、自分の旅路に宛てたラブレターのようなもの」だという。過去と未来をつなぐ架け橋となる作品になると語っており、そのプロローグとして「Ecstasy」は非常に意味深い位置づけにある。
Beyoncé、Aaliyah、Janet Jacksonといった先達が描いてきた「セクシーで強く、そして繊細な女性像」を、Ciaraは自らのスタイルで受け継ぎ、さらには“共鳴する声”としてその表現を拡張している。
おわりに
「Ecstasy (Remix)」は、耳で聴くだけの音楽ではない。身体に触れ、感情を揺さぶり、自己と向き合わせるような濃密な体験をもたらす作品である。
Ciara、Normani、Teyana Taylorという3人のアーティストが交差したこの楽曲は、2025年のR&Bシーンにおける象徴となり得るだろう。
彼女たちの声と感情の重なりが、聴き手それぞれの中に何かを残していく──その余韻こそが、この作品の真の魅力なのである。
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