Fugees (フージーズ)のセカンドアルバム「The Score」(1996)は、RIAAから7回のプラチナ認定を受け、全世界では2200万枚を売り上げ、さらにはSpotifyで1990年代のヒップホップアルバムとして5番目にストリーミングされています。
このアルバムのセカンドシングル「Killing Me Softly」は、全米チャートで1位、世界20カ国のチャートでも首位を獲得し、イギリスではこの年に最も売れたシングルとなりました。
ここでは、この曲の元ネタとカバー元について解説します。
Fugees – Killing Me Softly (1996)
“Killing Me Softly” 楽曲情報
レーベル
Ruffhouse Records
Columbia Records
プロデューサー
Pras
Jerry Duplessis
Wyclef Jean
Lauryn Hill
元ネタ・サンプリング
A Tribe Called Quest – Bonita Applebum (1990)
カバー
Roberta Flack – Killing Me Softly With His Song (1973)
“Killing Me Softly” 元ネタ・サンプリング情報
A Tribe Called Quest – Bonita Applebum (1990)
元ネタになったのは、ニューヨーク、クイーンズで結成されたラップグループA Tribe Called Quest (ア・トライブ・コールド・クエスト)の「Bonita Applebum」(1990)です。
彼らのデビューアルバム「People’s Instinctive Travels and the Paths of Rhythm」(1990)に収録され、セカンドシングルのこの曲は、全米ラップチャート4位を記録。
当時はメンバー全員がアルバム制作に関わったと彼らは主張していましたが、後にグループのメンバーであるPhife Dawgは、すべてのレコーディングセッションに参加したのはQ-Tipだけだと語っています。
ファーストアルバムでは無知だったから、数曲ほどしか参加していないんだ。 スタジオに入るくらいなら、ストリートで仲間たちとつるんで仕事をした方がマシだった。 ファーストアルバムの契約書にも、俺は入っていなかった。 俺とJarobiはTipとAliのバックアップのようなものだと思っていたけど、彼らは本当は俺に来て自分のことをやってほしかったんだ。
また「Bonita Applebum」は、Carly Simonの「Why」をサンプリングした「Bonita Applebum Why Remix」や、The Isley Brothersの「Between the Sheets」サンプリングしたリミックスなどもリリースされています。
A Tribe Called Quest- Bonita Applebum (Why Remix)
A Tribe Called Quest – Bonita Applebum Between The Sheets (CMAN Hootie Edit)
“Killing Me Softly” カバー情報
Roberta Flack – Killing Me Softly With His Song (1973)
Fugeesの「Killing Me Softly」は、ノースカロライナ州ブラックマウンテン出身のシンガーRoberta Flack (ロバータ・フラック)をカバーしています。
この曲は、彼女の同タイトルのアルバム「Killing Me Softly」(1973)に収録され、アルバムは全米ソウルチャート2位を記録し、グラミー賞「最優秀レコード賞」を受賞しています。
また「Killing Me Softly」をレコーディング前、彼女はMarvin Gayeの前座で同曲を披露し、その時の様子を次のように明かしています。
私は彼に「Killing Me Softly」という曲があって…と言ったら、彼は「やってみろ」と言ったの。 それでやってみたら、観客は熱狂し、彼は私のところに歩いてきて、私に腕を回し「その曲は録音するまで二度とライブでやらないでくれ』と言ったわ。
メンバーはA Tribe Called Questが好きでサンプリングしていた?
Fugeesの「Killing Me Softly」のプロデューサーで、Wycleaf Jeanの従兄弟でもあるJerry “Wonder” Duplessiは、この曲の制作について次のように明かしています。
Prasに大きな拍手を贈らなければならない。 俺の記憶が正しければ、この曲は俺らが最後に作った曲だった。 Prasは「Killing Me Softly」のカバーをやろうって言い出したんだ。 スタジオのみんなは「なんてこった『Killing Me Softly』をやるなんて、甘い。 甘いんだよ、みんな。みんなハードコアだ、ハードコアだ、行こうぜ」って。 Laurynはこの曲を歌うことに同意したんだ。曲を少しいじってカッコよくしたんだ。 ブレイクビーツをどう作るかっていうアイディアも出てきたしね。 もちろん、みんなA Tribe Called Questが大好きだから「あのサンプルをカットしてみよう」って。 それでやってみたんだ。 当時はこのベースがあったんだけど、ヒップホップの曲だからオーバープレーにならないようにしたかったんだ。 それに、あまり計画的になりたくなかったんだ。
この機会に、元ネタと併せて聞いてみてはいかがでしょうか。
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