1996年に25歳の若さで命を落とした2Pac (トゥーパック)が、2004年に発表した5枚目の遺作アルバム「Loyal to the Game」は、全米チャート1位を獲得。
このアルバムに収録されている曲はすべて、彼が物議を醸した東海岸と西海岸のヒップホップの対立に巻き込まれる前にレコーディングされたもので、タイトル曲の「Loyal to the Game」は、1994年にリリースされたサウンドトラック「Above the Rim」のカセット版に収録されたものです。
その後、同サントラのリードシングルでWarren Gの「Regulate」のB面としてリリースされています。
今回はこのアルバムから、Eminemがプロデュースし、Elton John (エルトン・ジョン)をフィーチャーした「Ghetto Gospel」(2004)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
2Pac feat. Elton John – Ghetto Gospel (2004)
“Ghetto Gospel” 楽曲情報
レーベル
Interscope Records
プロデューサー
Eminem
元ネタ・サンプリング
Elton John – Indian Sunset (1971)
“Ghetto Gospel” 元ネタ・サンプリング情報
Elton John – Indian Sunset (1971)
元ネタになったのは、イギリス出身のシンガーElton Johnの「Indian Sunset」(1971)です。
彼の4枚目のアルバム「Madman Across the Water」(1971)に収録されており、アルバムは全米チャート8位を記録。
この曲は、白人から敗北寸前の無名のアメリカン・インディアンの戦士の物語を描いたもので、作詞を担当したBernie Taupinは、ネイティブ・アメリカンの居留地を訪れた際にインスピレーションを得たようです。
また、この曲はシングル化されていませんが、Elton Johnはライブで演奏するのが好きな1曲のひとつのようです。
この曲は「Madman Across the Water」に収録されている無名の曲で、誰もまったく知らないんだけど、毎晩スタンディングオベーションが起こるんだ。 6分間の映画のような曲だよ。
2Pac、エルトン・ジョンがこの曲について明かす
「Ghetto Gospel」の2Pacのバースは、1992年に録音されており、クリスマスをテーマにしたコンピレーションアルバム「A Very Special Christmas 2」に収録される予定でしたが、その年に法的問題が発生したため、この曲はコンピレーションから外され、リリースされることはありませんでした。
それから10年以上経ってようやくリリースに至りましたが、2Pacは生前、この曲への想いを次のように語っています。
「Ghetto Gospel」は、セルアウトすることなくゴスペルであること、つまり、偽りのないゴスペルであることを意味している。 自分が変わったとは言っていない。 俺は多くの間違いを犯し、それを曲の中で言っているんだ。 でも「神はまだ俺を終わらせない」と歌っているんだ。 失敗もするし、転ぶこともある。 でも立ち上がって挑戦し続ける、なぜならそれを信じているからだ それがゲットーなんだ、自分が感じたことをやるのがね。 きれいごとばかりじゃないけれど、それでも自分が感じたことをやる。 俺の魂、俺の心からのものだ。 だから「Ghetto Gospel」なんだ。
また、この曲をプロデュースしたEminemは、2Pacの人生と作品に感動し、彼の母親であるAfeni Shakurに手紙を書き、次のアルバムのプロデュースを考えてほしいと頼んだようです。
2Pacの母親はこれを承諾し、Eminemはアルバム「Loyal to the Game」を全曲プロデュースしています。
また「Ghetto Gospel」のオリジナルを歌い、ゲスト参加したElton Johnは「彼がどうやって『Indian Sunset』と2Pacを融合させたのか、俺にはわからない。まさに天才だよ」と明かし、Eminemのプロデューサーとしての手腕を絶賛しています。
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