Jay-Z (ジェイ・Z)は、引退作と言われた2003年のアルバム「The Black Album」は「Dirt off Your Shoulder」「99 Problems」などのヒット曲が収録され、自身6枚目の全米チャート1位を獲得。
多くのオーディエンスが引退に惜しむ中、3年後の2006年にカムバック作となるアルバム「Kingdom Come」(2006)をリリース。
発売初週に68万枚を売り上げ、全米チャート首位を獲得し、グラミー賞では「ベストラップアルバム賞」にノミネートされるヒットとなりました。
今回は、このアルバムから名プロデューサーJust Blazeが手掛けたリードシングル「Show Me What You Got」(2006)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Jay-Z – Show Me What You Got (2006)
楽曲情報
Jay-Z (ジェイ・Z)
出身地 :ニューヨーク、ブルックリン
生年月日:1973年12月4日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
Roc-A-Fella Records
Def Jam Recordings
プロデューサー
Just Blaze
元ネタ・サンプリング
Johnny Pate – Shaft in Africa (Addis) (1973)
Lafayette Afro Rock Band – Darkest Light (1975)
Public Enemy – Show ‘Em Whatcha Got (1988)
“Show Me What You Got” 元ネタ・サンプリング ①
Johnny Pate – Shaft in Africa (Addis) (1973)
元ネタになったのは、イリノイ州シカゴ出身のベーシスト兼プロデューサーのJohnny Pate (ジョニー・ペイト)の「Shaft in Africa (Addis)」(1973)です。
この曲は、映画「Shaft in Africa」のサントラに収録され、このサントラは彼が制作しています。
その後も彼は、「Bucktown」(1975)「Satan’s Triangle」(1975)「Dr. Black, Mr. Hyde」(1976) 「Sudden Death」(1977)などの映画サントラで手腕を発揮し、B.B. KingやWes Montgomeryなどの作品もプロデューサーやアレンジャーとして作品に携わっています。
“Show Me What You Got” 元ネタ・サンプリング ②
Lafayette Afro Rock Band – Darkest Light (1975)
またJay-Zの「Show Me What You Got」は、ニューヨークで結成されたファンクバンドLafayette Afro Rock Band (ラファイエット・アフロ・ロック・バンド)の「Darkest Light」 (1975)をサンプリングしています。
この曲は、彼らのアルバム「Malik」(1975)に収録。
1978年の解散まで目立ったヒットはありませんでしたが、この曲を筆頭にサンプリングソースとして注目され、グループは現在までに400曲近くでサンプリングされています。
「Darkest Light」 もWreckx N EffectやN2Deepなどのアーティストもサンプリングしており、80年代後期から現在まで100曲以上で使用されています。
Wreckx N Effect – Rump Shaker (1992)
N2Deep – Back To The Hotel (1992)
“Show Me What You Got” 元ネタ・サンプリング ③
Public Enemy – Show ‘Em Whatcha Got (1988)
さらにJay-Zの「Show Me What You Got」は、ニューヨークで結成したラップグループPublic Enemy (パブリック・エナミー)の「Show ‘Em Whatcha Got」(1988)をサンプリングしています。
この曲は、彼らのセカンドアルバム「It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back」(1988)に収録し、ブラックアルバムチャート1位を獲得。
また音楽メディア誌ローリングストーンが2003年に発表した「史上最高のアルバム500」で48位に選ばれ、ヒップホップアルバムでは最高位となりました。
終わりに
今作について、Jay-Zは「もっと進化しなければならない」と明かしています。
『Kingdom Come』はヒップホップでは扱ったことのない大人の問題を扱っていて、未知の領域だと思ったんだけど、楽しく転換したかったんだ。 タイトルのフレーズやドラムのカオスなエネルギーが好きだね。 パーティーの後、ドアを閉めて会話をしているような感じかな。 話すべきことがあるんだ。 ラップをどこへ持っていくのか? なぜなら、もっと進化しなければならないからだ。 変化するためには、成長の痛みを経験しなければならない。 でも『Show Me What You Got』はその痛みを和らげるのに役立ったよ。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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