2022年2月にJ. Cole、Moneybagg Yoをフィーチャーしたシングル「Scared Money」をリリースし、8月にはMary J. Bligeを大胆にサンプリングしたシングル「Toxic」を発表するなど、精力的に作品を発表しているYG (ワイジー)。
「Toxic」の元ネタはこちら。
そんな彼が、6枚目のアルバム「I GOT ISSUES」(2022)をドロップ。
このアルバムは、前述の2曲を含む全14曲が収録し、Nas、Post Malone、Roddy Ricch、Mozzyなどがゲスト参加しています。
今回はこのアルバムから、西海岸出身の実力派R&BシンガーH.E.R. (ハー)をフィーチャーした「Go Dumb」(2022)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
YG feat. H.E.R. – Go Dumb (2022)
楽曲情報
YG (ワイジー)
出身地 :カリフォルニア州コンプトン
生年月日:1990年3月9日
ジャンル:Hip Hop
H.E.R. (ハー)
出身地 :カリフォルニア州ヴァレーホ
生年月日:1997年6月27日
ジャンル:R&B
レーベル
4Hunnid Records
Def Jam Recordings
プロデューサー
Bijan Amir
Ty Leon
Kofo
Reece Beats
元ネタ・サンプリング
E-40 feat. Keak Da Sneak – Tell Me When to Go (2006)
Run-DMC – Dumb Girl (1986)
“Go Dumb” 元ネタ・サンプリング
E-40 feat. Keak Da Sneak – Tell Me When to Go (2006)
元ネタになったのは、カリフォルニア州ヴァレーホ出身のラッパーE-40 (イー・フォーティー)の「Tell Me When to Go」(2006)です。
この曲は、彼の9枚目のアルバム「My Ghetto Report Card」(2006)に収録され、アルバムは全米チャート3位、R&B/Hip Hopチャートでは1位となり、E-40の現在までのキャリアで最高位を記録しています。
アルバムからリードシングルの「Tell Me When to Go」は、リリース前にMySpaceのホームページで先行公開され、発売前にオンラインで先行公開された初のヒップホップシングルとなり、このホームページを通じて約2億人がこの曲を知ったと言われています。
また、この曲は90年代後半にオークランドで生まれた「Hyphy」(ハイフィー)というヒップホップのサブジャンル(ゲストアーティストのKeak Da Sneakが用語を作った)と言われており、E-40はこの曲の成功によってベイエリア特有のサウンドを全米に広め、メインストリームに押し上げました。
また、この曲はLil Jonがプロデュースしたもので、E-40は彼との制作について次のように語っています。
Lil Jonと最初に契約したとき、俺はこう言ったんだ。 「俺は俺のままでいい。新しい味を提供してほしいけど、自分のエリアや地方に合わせた味も作りたい。アップテンポ、ミッドテンポ、ソフトな曲が欲しい。俺たちはそれをミックスするんだ」って。 彼はOKって感じで、それで最初にやった曲は「Muscle Cars」だった。 俺は「Muscle Cars」という曲をやりたいと思っていたんだ。 だから「Jon、アップテンポのスラップを作ってくれ」と言ったんだ。 『「Muscle Cars」と呼びたいんだ』と言ったね。 それで彼はビートを作って、素晴らしいのを完成させたんだ。 俺は「このトラックにKeak Da Sneakを入れたいから呼んでくれ」と言ったんだ。
E-40 feat. Keak da Sneak & Turf Talk – Muscle Cars (2006)
“Tell Me When to Go” 元ネタ・サンプリング
Run-DMC – Dumb Girl (1986)
さらに深堀りするとE-40の「Tell Me When to Go」は、ニューヨーク、クイーンズで結成したラップグループRun-DMC (ラン・ディーエムシー)の「Dumb Girl」(1986)をサンプリングしています。
この曲は、彼らの3枚目のアルバム「Raising Hell」(1986)に収録され、ヒップホップのアルバムとして初めてR&B/Hip Hopチャートで1位を獲得。
このアルバムには、Aerosmithとのコラボ曲「Walk This Way」や「My Adidas」などのヒットソングも収録されており、ヒップホップアクトとして初めてグラミー賞にノミネートされています。
おわりに
約2年ぶりのソロでの新作となる今回のアルバムについて、YGは以下のように明かしています。
ちょうど俺の成長、俺のヘッドスペース、俺が人生で何であるかだ。 パンデミックは大嫌いだけど、このクソが精神的に俺を助けてくれたんだとも思ってるんだ。 この音楽は今の俺の人生において、俺の真実になるだろう。
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
コメント