デビューアルバム「I’m Serious」(2001)が不振に終わり、T.I. (ティーアイ)は契約していたレーベルArista Recordsを離れ、長年のビジネスパートナーのJason GeterとレーベルGrand Hustle Recordsを設立。
その後、Atlantic Recordsと契約を結んだT.I.は、2003年に発表したセカンドアルバム「Trap Muzikが全米チャート4位を記録し、4枚のシングルがリリースされるヒットとなりました。
今回は、このアルバムからのリードシングルでもある「24’s」をピックアップ。
2022年に、Drakeと21 Savageの「Rich Flex」でサンプリングされたことで再注目を集めたこの曲の元ネタとアルバムの制作裏について解説します。
T.I. – 24’s (2003)
楽曲情報
レーベル
Atlantic Records
Grand Hustle Records
プロデューサー
DJ Toomp
元ネタ・サンプリング
Cab Calloway – Hi De Ho (1934)
“24’s” 元ネタ・サンプリング情報
Cab Calloway – Hi De Ho (1934)
元ネタになったのは、ジャズシンガーCab Callowayの「Hi De Ho」(1934)です。
彼が1931年に発表したシングル「Minnie the Moocher」(1931)は、アフリカ系アメリカ人として初めて100万枚のレコードを売り上げ、その後も映画やアニメの声優など幅広く活躍したことで知られています。
Cab Calloway – Minnie the Moocher
「Hi De Ho」は、彼が主演を務めたミュージカル短編映画で、1947年に映画としても公開され、この作品でもCab Callowayが主演を務めています。
「クラシックを作りたかったんだ」T.I.がアルバムについて語る
アルバム「Trap Muzik」は、T.I.のラップキャリアを語る上で欠かすことができない作品となりましたが、彼はこのアルバムへの想いを次のように語っています。
クラシックを作りたかったんだ。 タイムレスな音楽を作らなければならないと思っていたんだ。 ドラッグの取引だけでなく、両親や恋人との関係、若くして子供を産んだこと、社会から見下されていることなども含めて、自分が実はその定義よりもずっと多くのことを抱えていることを示すことだったんだ。 死んだばかりのホームボーイがいたかもしれないけど、彼はそんな風にストリートにいたわけでもないんだ。 「Trap Muzik」は、このような黒人の経験を音楽として結晶化したようなものだね。
また、T.I.はこの頃、1ヶ月おきに刑務所に入るなど、素行が悪く、いつ死んでもおかしくないと親族が思うほど過激な日々を送っていたようです。
俺はまだ本当にヘビーな状態だったんだ。 1ヶ月おきに刑務所に行っていたよ。 自分だけでなく、周りも驚くほどアクティブだった。 友達の輪も凄く活発で、俺たちがフーリガンの野蛮な集団であることは誰もが知っていることだった。 祖母は「あんたは無法者たちとつるむのが好きなんだ!」と言っていたよ。 叔父に呼ばれ、叔母さんの家に行くと、生命保険にサインするよう説得されたのを覚えているんだ。 家族は本当に俺が死ぬと思っていて、俺の葬儀代を確保したかったみたい。
この機会に、元ネタと併せて聞いてみてはいかがでしょうか。
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