2020年に発表した5枚目のアルバム「My Life 4Hunnid」が全米チャート4位を記録し、これまでのアルバムが全てチャートのトップ10内にランクインしたYG (ワイジー)。
翌年にはMozzyとコラボアルバム「Kommunity Service」(2021)をリリースし、2022年にはJ. Cole、Moneybagg Yoがゲスト参加したシングル「Scared Money」(2022)、Tyga、21 Savage、BIAとのシングル「Run」(2022)など、精力的に楽曲をリリースしています。
そんな彼が、大ネタをサンプリングしたシングル「Toxic」(2022)をドロップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
YG – Toxic (2022)
楽曲情報
YG (ワイジー)
出身地 :カリフォルニア州コンプトン
生年月日:1990年3月9日
ジャンル:Hip Hop
レーベル
YG PS
Def Jam
プロデューサー
Reece Beats
Larry Jayy
DJ Swish
元ネタ・サンプリング
Mary J. Blige – Be Happy (1994)
Curtis Mayfield – You’re So Good to Me (1979)
Marvin Gaye – I Want You (1976)
“Toxic” 元ネタ・サンプリング
Mary J. Blige – Be Happy (1994)
元ネタになったのは、ニューヨーク、ヨンカーズ出身のシンガーMary J. Blige (メアリー・J. ブライジ)の「Be Happy」(1994)です。
この曲は、彼女のセカンドアルバム「My Life」(1994)に収録され、アルバムはR&B/Hip Hopチャート1位を獲得。
グラミー賞の「最優秀R&Bアルバム」にノミネートされましたが、このアルバムの制作の背景には、当時の恋人K-Ci(Jodeci)との関係だけでなく、ドラッグやアルコール依存症に悩んでいたことを後のインタビューで明かしています。
自分が何をしているのかさえ分からなかったわ。 自分が人を癒しているなんて知らなかった。 自分の考えや頭の中の声を麻痺させるために、ただ酒を飲み、ドラッグをやり、パーティーをやっていたんだ。 当時、私は全く癒されていなかったの。 私は自分を殺していたわ。 ただ生きていて、一日一日を大切に過ごそうと思っていたんです。
“Be Happy” 元ネタ・サンプリング ①
Curtis Mayfield – You’re So Good to Me (1979)
さらに深堀りするとMary J. Bligeの「Be Happy」は、イリノイ州シカゴ出身のシンガーCurtis Mayfield (カーティス・メイフィールド)の「You’re So Good to Me」(1979)をサンプリングしています。
彼のアルバム「Heartbeat」(1979)に収録され、アルバムはR&Bチャート19位を記録し、シングル化されたこの曲は、R&Bチャート46位を記録しています。
“Be Happy” 元ネタ・サンプリング ②
Marvin Gaye – I Want You (1976)
さらにMary J. Bligeの「Be Happy」は、ワシントンD.C.出身のシンガーMarvin Gaye (マーヴィン・ゲイ)の「I Want You」(1976)をサンプリングしています。
この曲は、彼の14枚目のアルバム「I Want You」(1976)に収録され、アルバムはR&Bチャート1位を獲得。
アルバムと同タイトルのこの曲は、シングルカットされており、Soulシングルチャートで1位を獲得し、グラミー賞「最優秀R&B男性ボーカル」にノミネートされています。
また、これまでに50曲以上でサンプリングされており、2022年にKendrick Lamarがリリースしたシングル「The Heart Part 5」でも使用されて話題となりました。
「The Heart Part 5」の記事はこちら。
6枚目のアルバムについてYGが明かす
大ネタをサンプリングしたYGですが、この曲は現在制作中の6枚目のアルバム「Pray for Me」のリードシングルのようで、冒頭で触れたシングル「Scared Money」「Run」もこのアルバムに収録とのことです。
また、その新作に関してYGは、デビューアルバム「My Krazy Life」(2014)やセカンドアルバム「Still Brazy」(2016)と同じアプローチになることも明かしており、彼の中で原点回帰を意味した作品のようです。
このアルバムでは『My Krazy Life』や『Still Brazy』と同じアプローチをしているんだ。 俺はまたあの空間にいるんだ。 自分のものは全部自分でやっている。全部自分のものだと思って動いてる。 俺の時代だ。 悪意はないし、怒りもないし、何も感じない。 忙しくなる時なんだ。
この機会に、元ネタと併せて彼の作品を聴いてみてはいかがでしょうか。
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