常に時代の空気を敏感に取り込み、ヒットを生み出してきたDoja Cat (ドジャ・キャット)が、2025年8月21日に新曲「Jealous Type」をリリースした。これは9月26日に発表される予定の5作目のスタジオアルバム『Vie』からのリードシングルであり、彼女が新たに歩み出すポップ・プロジェクトの幕開けを告げる一曲である。
Jealous Doja Cat – Jealous Type (2025)
80年代のサウンドスケープで描く「嫉妬」という感情
「Jealous Type」は、ポップラップ、ファンク、ディスコの要素を巧みに融合させ、80年代の空気を色濃くまとったサウンドが特徴だ。プロデューサーにはJack AntonoffとY2Kを迎え、懐かしくも新しいグルーヴを生み出している。
楽曲のテーマは、タイトルが示す通り「嫉妬」。恋人を強く思うあまりに生まれる嫉妬心を、「この関係は幸せにつながるのか、それとも壊れてしまうのか分からない」という揺れる感情と共に歌い上げる。しかし、そこには単なる不安だけでなく、自分は“嫉妬深いタイプ”なのだと認める、ある種の強さが込められたラブソングとなっている。
ファッションと連動する視覚的世界

この曲の世界観は、サウンドだけでなく視覚的にも巧みに構築されている。リリースに先立ち、高級ファッションブランド、マーク・ジェイコブスとのコラボレーションキャンペーンで楽曲の一部が公開された。Doja Cat自身もインタビューで、「Jealous Type」を選んだ理由を「視覚的にセクシーで、女の子の内面に届くポップ感が合うから」と語っており、音楽とファッションを不可分なものとして提示した。
リリースと同時に公開されたミュージックビデオは、その世界観をさらに押し広げる。Boni Mata監督による映像はレトロな質感を持ち、Doja Catがもう一人の自分と対峙するという「二面性」がテーマだ。官能的かつ芸術的な映像の中で繰り広げられるエネルギッシュなダンスは、観る者を惹きつける。
また、「Vie Hotline」という電話サービスもユニークな試みであった。ファンが電話をかけると、Doja Cat自身が恋愛や嫉妬について語るこの企画は、楽曲のテーマをより深く、パーソナルな体験としてファンに届けた。

新アルバム『Vie』への序章

「Jealous Type」は、約2年ぶりとなるニューアルバム『Vie』からの先行シングルである。『Vie』はフランス語で「人生」を意味し、「愛・ロマンス・セックス」をテーマに、80年代ポップやニュージャックスウィングから影響を受けた作品になるとされる。
前作『Scarlet』(2023年)がラップ色の強い、いわば“マスキュリン”な作品だったのに対し、『Vie』ではよりポップな方向性へと舵を切ることを本人は明言している。彼女はポップミュージックについて、次のように語っている。
「これはポップ寄りのプロジェクトだと自覚している。ポップとは単に『大衆的』ということ。でも、それを楽しむ人々にとって、ポップは時に競技のように見なされ、音楽として正当に評価されないことがある。女の子やゲイのためのフットボール、みたいにね」
この言葉は、彼女がポップというジャンルに真摯に向き合い、その価値を再定義しようとしていることの表れだろう。
「Jealous Type」はリリース直後から大きな反響を呼び、全英シングルチャートで初登場13位を記録。批評家からも高い評価を得ている。さらに、この新曲を携えたワールドツアー「Ma Vie World Tour」の開催も発表されており、彼女の新たな「人生(Vie)」の幕開けに、世界中から期待が寄せられている。
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