1992年に発表したデビューアルバム「The Chronic」が全米チャートで3位を記録し、8ヵ月間トップ10入りを果たしたDr. Dre (ドクター・ドレー)。
これまでのヒップホップは、Beastie BoysのようなパーティーミュージックやPublic Enemyなどの政治的なリリックを含むシリアスな作品が主流でしたが、Dr. Dreはこのアルバムで、70年代後半から80年代前半のファンクミュージックを多くサンプリングした「G-Funk」のサウンドを確立。
当時の音楽シーンにはなかった新しい音楽スタイルと過激なリリックで多くのオーディエンスを魅了し、90年代の西海岸ヒップホップを象徴する1枚となりました。
今回はこのアルバムから、サードシングルの「Let Me Ride」(1992)をピックアップ。
ここでは、この曲の元ネタについて解説します。
Dr. Dre feat. Snoop Dogg, Jewell & RC – Let Me Ride (1992)
楽曲情報
Dr. Dre (ドクター・ドレー)
出身地 :カリフォルニア州コンプトン
生年月日:1965年2月18日
ジャンル:Hip Hop
Snoop Dogg (スヌープ・ドッグ)
出身地 :カリフォルニア州ロングビーチ
生年月日:1971年11月20日
ジャンル:Hip Hop
所属 :213, Tha Eastsidaz
レーベル
Death Row Records
Interscope Records
Priority Records
プロデューサー
Dr. Dre
元ネタ・サンプリング
Parliament – Mothership Connection (Star Child) (1975)
“Let Me Ride” 元ネタ・サンプリング
Parliament – Mothership Connection (Star Child) (1975)
元ネタになったのは、ニュージャージー州プレインフィールドで結成されたファンクバンドParliament (パーラメント)の「Mothership Connection」(Star Child) (1975)です。
彼らはGeorge Clintonによって結成されたバンドで、この曲は4枚目のアルバム「Mothership Connection」(1975)に収録されています。
このアルバムについて、George ClintonはSFテレビドラマ「スタートレック」の大ファンだと明かし、インスピレーションを受けたと明かしています。
俺たちはホワイトハウスのような、誰も想像しなかったような場所に黒人を置きたかったんだ。 もうひとつ、黒人がいるなんて思わないような場所は、宇宙空間だと思ったんだよ。 俺はスタートレックの大ファンだったから、キャデラックのような形の宇宙船にポン引きが座っていて、James Brownようなグルーヴを、ストリート・トークとゲットーのスラングでやったんだ。
George Clintonが『James Brownようなグルーヴ』と明かすこのアルバムには、James Brownのサックスを担当していたMaceo ParkerとFred Wesleyが参加しています。
またアルバムは、彼らにとって初の100万枚を超えるセールスを記録してプラチナ認定を受け、後にローリングストーン誌の「史上最高のアルバム500枚」で276位に選出。
批評家からは『彼らのベストアルバム』と賞賛され、ファンク史に残る名盤となりました。
終わりに
Dr. Dreの「Let Me Ride」は、R&B/Hip Hopチャート3位を記録し、自身初のグラミー賞「最優秀ラップ・ソロ・パフォーマンス」を受賞しています。
またこの曲は、DazとGeorge Clintonを迎えたオフィシャルリミックスもリリースされ、曲の後半にはJohnny “Guitar” Watsonのギターソロが加わったファンク色が強い仕上がりになっています。
Dr Dre feat. Snoop Doggy Dogg, Daz, George Clinton & Jewell- Let Me Ride Extended Club Mix
この機会に、元ネタと併せて聴いてみてはいかがでしょうか。
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