元ネタ・サンプリング Meek Mill feat. Ella Mai – 24/7 (2018) ビヨンセをサンプリングした裏には、ミーク・ミルの裁判が関係していた?

2010年代
2010年代M
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ラッパーのMeek Mill (ミーク・ミル)は、Fabolous、Cardi B、Rick Ross、Jay-Z、Future、Kodak Blackといった人気ラッパーがゲスト参加した4枚目のアルバム「Championships」2018年にリリース。

このアルバムは、彼のセカンドアルバム「Dreams Worth More Than Money」(2015)以来となる全米チャート1位を獲得し、Drakeとのシングル「Going Bad」はSpotifyで9億回以上再生され、彼の代表曲の1つとなりました。

今回はこのアルバムから、イギリス出身のシンガーElla Mai (エラ・メイ)をフィーチャーした「24/7」(2018)をピックアップ。

ここでは、この曲の元ネタについて解説します。

Meek Mill feat. Ella Mai – 24/7 (2018)

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“24/7” 楽曲情報

リリース日
2018年11月30日

レーベル
Atlantic Records
Maybach Music Group

プロデューサー
Austin Powerz
E.Y.
OZ
Pro Logic

元ネタ・サンプリング
Beyoncé – Me, Myself and I (2003)

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“24/7” 元ネタ・サンプリング情報

Beyoncé – Me, Myself and I (2003)

元ネタになったのは、テキサス州ヒューストン出身のシンガーBeyoncé (ビヨンセ)「Me, Myself and I」(2003)です。

この曲は、彼女が所属していたR&BグループDestiny’s Childが活動休止中に制作されたソロデビューアルバム「Dangerously in Love」(2003)に収録され、アルバムは全米チャート1位を獲得。

グラミー賞では、Lauryn HillAlicia KeysNorah Jonesと並ぶ女性最多のグラミー賞5部門を受賞し、シングル「Crazy in Love」は8週連続で全米チャート首位を獲得する大ヒットとなりました。

「Crazy in Love」の元ネタはこちら。

アルバムから3枚目のシングルとしてリリースされたこの曲は、2007年の彼女のライブアルバム「The Beyoncé Experience Live」にも収録され、ライブバージョンの「Me, Myself and I」は、2009年のグラミー賞の「最優秀女性R&Bボーカルパフォーマンス部門」にノミネートされています。

また、Beyoncéは女性の視点で歌われるこの曲について、次のように明かしています。

「Me, Myself and I」は、本当にパワフルな作品よ。
自分の心の声に耳を傾け、決して自分を失望させないことを歌った女性視点の曲よ。
この曲は、自分にふさわしくない浮気している男と女の子を描いているんだ。
そして基本的に女性は愚かでバカだと感じ、自分を責めるの。
ほとんどのケースでその兆候があるわ。
でも、その人を愛しているからこそ、その人が去っていくのを見たくない。
この曲では、そんな別れを祝福しているような感じね…。
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JAY-Z、Beyoncé夫妻がMeek Millを後押ししていた?

2018年に今作をリリースしたMeek Millは、10年以上に渡って多くの訴訟問題に巻き込まれていたことでも知られています。

発端は、18歳のとき街角の店を歩いていたところ、銃の不法所持で逮捕され、さらに警察から暴行を受け、唇と両目が腫れ、三つ編みの片方が引きちぎられる暴行を受けたことがきっかけでした。

この事件で保護観察処分になり、2008年には麻薬類所持と有罪判決を受けた重罪犯による装填済み銃器所持の第2級で有罪判決を受け、担当判事のGenece Brinkleyは彼をさらなる法的事件として扱い、執行猶予の監督を続け、Meek Millは5年間の仮釈放の合意を得て7ヶ月の服役後2009年初めに出所することになりました。

それから数年後の2012年、アルバム「Dreams and Nightmares」のリリースパーティーの後、乗っていた車を警察が止めて拘束。逮捕理由は不明のまま起訴されることなく釈放。

しかし、この謎の事件をきっかけに、12月には2008年の保護観察違反として逮捕され、Genece Brinkley判事は彼の旅行許可を取り消しています。

Meek Millは、その後も2017年には空港で、職員2人に暴行を加え、さらにバイクでウィリーをして危険運転で逮捕され、仮釈放違反で2年から4年の禁固刑を言い渡され、5カ月間服役した後、裁判を続けながら釈放されました。

これを受けてJAY-Zが立ち上がり、自身のコンサートで「Free Meek Mill」と言ったほか、NYタイムズに刑事司法制度の不正についての記事を書き、その中で判決を「不当で強引」と表現するなど、Meek Millの自由を擁護するために発言していました。

さらに2019年には、JAY-Z率いるRoc Nationが制作し、Meek MilJAY-Zが製作総指揮を務めた、刑事司法制度に対する彼の戦いを描いた5部構成のドキュメンタリーシリーズ「Free Meek」をAmazon Prime Videoで放映しています。

そのほかにもJAY-ZMeek Millの弁護士費用に多額の寄付をし、妻のBeyoncéDJ Khaledのシングル「Top Off」(2018)で「Free Meek」とラップを披露しており、Meek Millが今作でサンプリングしたのは、彼なりのBeyoncéへの恩返しだったのかもしれませんね。

DJ Khaled feat. JAY Z, Future, Beyoncé – Top Off (2018)

このMeek Millの一件の裏には、内部告発者が数百人の汚職幹部を暴露したことによる彼の逮捕を誤処理した可能性があるとして、2007年の事件の警官がクローズアップされており、彼の有罪判決を覆すための控訴が提出されました。

2019年、ペンシルバニア州高等裁判所は彼の控訴を認め、2008年の有罪判決を覆し、Genece Brinkley判事以外の別の判事が監督する新しい裁判を命じ、翌月にMeek Millはフィラデルフィアでの軽犯罪の銃器使用容疑を認めました。

その後、検察は彼に対する残りの訴因をすべて棄却し、Meek Millに対する2007年から12年の裁判は正式に終了し、Meek Millは裁判所の外で支持者に向かって次のように明かしています。

Meekは自由だ!俺はもう保護観察中ではない。
俺はここに来て、すべての支持者に感謝したい。
なぜなら、みんなにはおそらく家族が刑務所にいるか、俺と同じような経験をしている人がいると思うからだ。
俺はこれからも改革運動を続け、俺を助けてくれる人たちを助けるつもりだ。

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