Naughty by Nature「Jamboree」解説|Benny Golsonネタを使った90年代パーティ・クラシックの完成形

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1990年代が終幕を迎えようとしていた1999年、ヒップホップシーンに鮮烈な足跡を刻んだ一曲がある。ニュージャージーが生んだ伝説的グループ、Naughty by Nature (ノーティー・バイ・ネーチャー)による「Jamboree」だ。

この楽曲は、単なるヒット曲という枠を超え、当時のパーティ文化を象徴する「祭典(Jamboree)」そのものとして、今なお語り継がれている。

Naughty by Nature feat. Zhané – Jamboree (1999)

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ジャズのDNAを継承した「踊るためのトラック」

「Jamboree」の魅力の源泉を辿ると、ある一人のジャズ・レジェンドに行き着く。この曲の骨組みを支えているのは、ジャズ・サックス奏者で作曲家のBenny Golson (ベニー・ゴルソン)が1978年に発表した楽曲「I’m Always Dancin’ to the Music」だ。

Benny Golson – I’m Always Dancin’ to the Music (1978)

アルバム『Nineteen Naughty Nine: Nature’s Fury』のクレジットにも正式に記されているこのサンプリングは、単なる引用に留まらない。ベニー・ゴルソンの楽曲が持つ躍動的なリズムと、華やかなホーン・フレーズが、現代的なヒップホップのビートと見事に融合。92BPMという絶妙なミドルテンポと、明るいCメジャーのコード進行が相まって、聴く者を自然とステップへと誘う極上のトラックが完成したのだ。

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変化のなかで掴んだ「再挑戦」の勝利

リリース当時、グループは大きな転換点に立っていた。長年連れ添ったTommy Boy Recordsを離れ、メジャー大手のArista Recordsへと移籍。Treach(トレーチ)、Vin Rock(ヴィン・ロック)、DJ Kay Gee(ケイ・ジー)の3人は、キャリアの成熟期において一種の「再出発」を強いられていた。

しかし、彼らに迷いはなかった。メンバーはインタビューで「この曲は自分たちが培ってきたノリの良さを再確認する、典型的なパーティアンセムだ」と語っている。その言葉通り、本作はコミュニティの絆や「集う喜び」をストレートに表現した、ポジティブなエネルギーに満ちた作品となった。

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Zhanéとの共鳴が奏でる「90年代の空気感」

この曲を唯一無二のクラシックに押し上げたもう一つの要因は、R&BデュオZhané (ジャネイ)の起用である。

1990年代のヒップホップとR&Bの融合を象徴する彼女たちの存在は、楽曲に爽やかでソウルフルな魔法をかけた。制作現場では、Zhanéとメンバーの間で幾度もアイデアが交換され、コーラスの細かなニュアンスが練り上げられたという。この濃密なセッションこそが、ラップと歌の完璧な調和を生んだのである。

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数字が証明する圧倒的な支持

「Jamboree」の成功は、凄まじい勢いでチャートに現れた。 アメリカのBillboard Hot 100で最高10位を記録し、Hot Rap Singlesでは堂々の1位を獲得。これは彼らにとって、初期の歴史的大ヒット曲「O.P.P.」以来となるラップチャート制覇であった。

その熱狂は海を越え、カナダのRPMダンスチャートでは5週連続で1位を記録するという快挙を成し遂げた。結果としてRIAA(アメリカレコード協会)からゴールド認定を受け、「Jamboree」はノーティー・バイ・ネーチャーにとって4作目にして最後のゴールド認定シングルとなった。

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時代を超えて響き続ける「絆」のメロディ

リリースから20年以上が経過した今、この曲は「90年代ヒップホップの教科書」のような存在になっている。

オンラインのコミュニティでは、「当時の夏のラジオやクラブでは、この曲が流れない日はなかった」「Treachたちの絆と、ヒップホップの本質である『楽しさ』が両立された名曲だ」といった、当時を懐かしむファンの声が絶えない。

その影響力は現代のポップスターにも及んでいる。2020年、Katy Perryがシングル「Smile」で「Jamboree」をサンプリングしたことは、大きな話題を呼んだ。ベニー・ゴルソンのジャズがノーティー・バイ・ネーチャーに受け継がれ、さらに現代のポップスへと繋がっていく――。この連鎖こそが、音楽が持つ真の豊かさと言えるだろう。

Katy Perry – Smile

色褪せないアンセム

「Jamboree」は、ただのパーティチューンではない。仲間と集い、同じリズムで体を揺らすことの純粋な喜びを封じ込めた、タイムカプセルのような一曲だ。

ノーティー・バイ・ネーチャーが示したのは、時代が変わっても変わることのない「グルーヴの力」だった。もしあなたが1990年代の空気感を肌で感じたいと思うなら、まずはこの「祭典」に飛び込んでみるべきだ。そこには、今も色褪せない最高のパーティーが待っている。

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