ラッパーのFuture (フューチャー)は、2022年にリリースされた9枚目のアルバム『I Never Liked You』で8枚目の全米アルバムチャート1位を獲得し、その中に収録された曲『Wait for U』が、彼のリードアーティストとして初めて全米シングルチャートで首位を獲得しました。
その後、Futureは彼の代表曲である『Mask Off』を手掛けたことで知られるプロデューサーMetro Boomin (メトロ・ブーミン)と2024年3月にコラボアルバム『We Don’t Trust You』をリリースしました。
このアルバムは、計17曲が収録されており、Travis Scott、Playboi Carti、The Weeknd、Rick Rossなどの大物アーティストたちがゲストに名を連ねています。
今回は、このアルバムからKendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)をフィーチャーした『Like That』について、元ネタや背景について解説します。
Future, Metro Boomin, Kendrick Lamar – Like That
『Like That』楽曲情報
リリース日
2024年3月22日
レーベル
Boominati Worldwide
Epic Records
Freebandz
Republic Records
Wilburn Holding Co.
プロデューサー
Metro Boomin
元ネタ・サンプリング
Rodney O & Joe Cooley – Everlasting Bass (1988)
Eazy-E – Eazy-Duz-It (1988)
『Like That』元ネタ・サンプリング情報①
Rodney O & Joe Cooley – Everlasting Bass (1988)
元ネタになったのは、ラップグループRodney O & Joe Cooley (ロドニー・オー&ジョー・クーリー)の『Everlasting Bass』(1988)です。
この曲は、彼らのデビューアルバム『Me And Joe』(1988)に収録され、チャートには入りませんでしたが、彼らの代表曲として、そしてヒップホップのクラシックとして知られています。
彼らは複数のアルバムをリリースし、人気絶頂期にはMC Lyte、N.W.A、Grandmaster Flashらとのツアーを行いました。特に南フロリダで人気を獲得し、マイアミベースの先駆者的な役割を果たしました。
今作でサンプリングを手掛けたMetro Boominは、以前に発表した21 Savageとのコラボアルバム『Savage Mode II』(2020)でRodney O & Joe Cooleyをサンプリングしており、Metro Boominが彼らの音楽を気に入っていることが伺えます。
『Like That』元ネタ・サンプリング情報②
Eazy-E – Eazy-Duz-It (1988)
さらに『Like That』は、カリフォルニア州コンプトン出身のラッパーEazy-E (イージー・E)の『Eazy-Duz-It』(1988)をサンプリングしています。
この曲は、彼が生前にリリースした唯一のアルバムである『Eazy-Duz-It』(1988)に収録されており、その制作には、N.W.Aのメンバーで知られるDr. DreとDJ Yellaが大部分を手掛けました。
このアルバムでの彼らのプロダクションは、サンプリングやビートの巧みな使い方がEazy-Eのラップを際立たせると高く評価されました。さらに、Kanye WestもこのアルバムでのDr. Dreのプロダクションを絶賛し、2022年にはこの曲をサンプリングするなど、世代を超えてラップスターからも愛されていることがわかります。
ヒップホップ界を揺るがす!Kendrick Lamarの衝撃的なメッセージ
Kendrick Lamarは、『Like That』にゲスト参加し、その中でDrakeとJ. Coleに向けて直接的な批判を行い、メディアやファンから注目を浴びています。
これまでに、Kendrick LamarとDrakeはThe Gameの『100』、Dr. Dreの『Deep Water』、Big Seanの『Control』などの曲でお互いに何度も攻撃してきました。しかし、これまでの間接的な攻撃は、一部のファンにとってはさほど大きな話題にはなりませんでした。しかし、Kendrick Lamarが『Like That』の中で行ったバースは、これまでで最も露骨なものであり、特に2023年にDrakeが発表したアルバム『For All The Dogs』に収録されたJ. Coleとのコラボ曲『First Person Shooter』の歌詞に反応しているようです。
Drake feat. J. Cole – First Person Shooter (2023)
『First Person Shooter』では、Drakeは「君たちの歌を葬式に変える」とラップしています。そして、Kendrick Lamarの『Like That』の冒頭の歌詞は、「この首の皮一枚でしゃべってるような連中が、口から棺桶を出さないでくれ、脅しにしては被害妄想が強すぎる」と直接的にこれに反応しています。
さらに、J. Coleは『First Person Shooter』で、J. Cole、Drake、そしてKendrick Lamarをラップ・ゲームをリードする『ビッグ3』と称した歌詞を書いたことが、Kendrick Lamarのこの激しい反応に拍車をかけたようです。
Kendrick Lamarは、「俺が場所を明かさないと思う?まだPTSDを患っているんだ。ビッグ3なんかクソ野郎だ。俺がビッグだろ」とラップしており、J. ColeとDrakeが自分と同じレベルであるという考えに侮辱され、自分よりも芸術的に下だと考えている2人のラッパーと共に栄冠を分かち合うという考えに反発しています。
この曲により、ヒップホップ界での緊張感が高まり、ファンや業界関係者の間で大きな議論を引き起こしています。しかし、まだDrakeやJ. Coleからの反応はなく、ファンはそれぞれが彼らがどのように対処するか注目しています。
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