カナダは、Drake、Tory Lanez、Navなどのラッパーや、The Weeknd、PartyNextDoor、Shawn Mendesなどのシンガーを輩出する音楽シーンが盛んな地域で知られています。
その中でも、Daniel Caesar (ダニエル・シーザー)は現在注目されているシンガーの1人で、2021年には、Justin Bieberのシングル「Peaches」にゲスト参加し、自身初の全米チャート1位を獲得しました。
ここでは、Daniel Caesarのこれまでのキャリアについて解説します。
カニエ・ウェストのカバー曲で注目を浴びる
Daniel Caesarは1995年4月5日に、オンタリオ州トロントのスカボロー地区で、牧師兼ゴスペルシンガーの父のもとに4人兄弟の長男として生まれました。
彼はバルバドスとジャマイカの血を引いており、父の音楽性と宗教によって届けられるソウルやゴスペルに影響を受けただけでなく、Frank Ocean、Kanye West、Beyoncé、Jim Morrisonなどの音楽的なスタイルにもインスピレーションを受けています。
その後、彼は音楽家としての天職を追求し、2014年にデビューEPである「Praise Break」をリリースし、収録曲の「Violet」はSpotifyで4000万再生を記録しました。
また、デビュー作にも関わらず、ローリングストーン誌が選ぶ「2014年のベストR&Bアルバム20」で19位に選ばれ、批評家からも注目を浴びることとなりました。
Daniel Caesar – Violet
2015年、7曲入りのセカンドEP「Pilgrim’s Paradise」をリリースしました。
このEPには、Kanye Westの「Street Lights」(2008)をカバーした「Streetcar」が収録されており、現在までにSpotifyで1億回以上のストリーミングを記録しています。
Daniel Caesar – Streetcar
Kanye West – Street Lights (2008)
オバマ元大統領のプレイリストに選ばれる
翌年にシングル「Japanese Denim」(2016)を発表し、Spotifyで3億9000万回のストリーミングを記録するヒットとなりました。
そして2017年、待望のデビューアルバム「Freudian」をリリース。
このアルバムのリードシングルで、Kali Uchisをフィーチャーした「Get You」は、アダルトR&Bチャートで1位を獲得し、グラミー賞「ベストR&Bパフォーマンス」にノミネートされています。
一躍注目を集めたこのアルバムについて、彼は次のように明かしています。
今までの人生で、自分が作ったものに対してこれほど誇りに思ったことはないよ。 この作品は、俺の最も複雑な感情や思考をより直接的に検証するためのものなんだ。 これまで以上に自分をさらけ出しているよ。 まるでセラピーを受けているような、でも、それが展示されているような。 そして、友人たちと一緒に作ることができたんだ。 レーベルを通さず、俺らだけで作ったから、より特別なものになったんだ。
Daniel Caesar feat. Kali Uchis – Get You
さらに、このアルバムから3枚目のシングルで、R&BシンガーH.E.R.をフィーチャーした「Best Part」は、グラミー賞の「最優秀R&Bパフォーマンス賞」を受賞し、Spotifyでは現在までに10億回以上のストリーミングを記録しています。
また、オバマ元大統領が選んだ「2019年のサマープレイリスト」にも選出され、全米中から注目を集めました。
Daniel Caesar & H.E.R. – Best Part
2019年には、Brandy、Pharrell Williams、Jacob Collierなどがゲスト参加したセカンドアルバム「Case Study 01」をリリースしました。
収録曲の「CYANIDE」は、パトワ語で歌われ、レゲエの影響を強く受けており、この曲には、クレジットされていないものの、カナダ出身のラッパーKardinal Offishallが参加しています。
これまでに、この曲は1億回以上のストリーミングを記録しており、後にジャマイカのアーティストKoffeeによるリミックスがリリースされました。
Daniel Caesar – CYANIDE
Daniel Caesar feat. Koffee – CYANIDE REMIX
2021年には、Justin Bieberのシングル「Peaches」がリリースされ、この曲でゲストに抜擢された彼は自身初の全米チャート1位を獲得しました。
さらに、YouTubeではこの曲が6億回再生を記録し、グラミー賞でも4部門にノミネートされ、世界20ヵ国のチャートでトップ10入りを果たし、彼の名が世界中のオーディエンスに広く知られるきっかけとなりました。
Justin Bieber feat. Daniel Caesar, Giveon – Peaches
おわりに
Daniel Caesarは、彼の代表曲である「Get You」や「Best Part」をプロデュースしたJordan EvansとMatthew Burnettと共同でレーベルGolden Child Recordingsを設立し、作品を発表してきました。
しかしながら、彼の3枚目のアルバムである「Never Enough」(2023)は、自身初となるメジャーレーベルRepublic Recordsからのリリースとなり、彼の新天地での活躍が期待されています。
この機会に、世界的なアーティストであるJustin Bieberが認めたDaniel Caesarの世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。
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