Zendaya (ゼンデイヤ)の「Something New」は、彼女が「ディズニースター」から「本格R&Bシンガー」へと脱皮を図った記念碑的な一曲だ。1994年のR&B金字塔、TLCの「Creep」を大胆にサンプリングした中毒性の高いトラックが、新旧ファンの耳を瞬時に捉える。名匠Babyfaceや、後にSZA等を手掛けるレオン・トーマスが制作したこの曲は、単なる懐古趣味に留まらない極上のミッドチューンである。
🎧 クイック概要:10秒でわかる基本データ
| 項目 | 内容 |
| アーティスト / 曲名 | Zendaya feat. Chris Brown – Something New |
| サンプリング元 | TLC – Creep (1994) |
| 最高位 | Billboard Hot 100 93位 |
🎶 90年代R&Bへのラブレター:なぜ「Creep」だったのか?
本作の核は、TLCの代表曲「Creep」のサンプリングだ。あの重厚なベースラインを現代的にクリーンなドラムと融合させている。
ゼンデイヤは当時のインタビューで、「自分の世代が育った90年代R&Bの温度感を伝えたかった。特に『Creep』の持つ強い女性像に惹かれた」と語っている。単なるカバーではなく、「懐かしさ」と「現代性」の絶妙なバランスを狙ったことが、今なお聴き継がれる要因だ。
🎛 制作の裏側:実は「Babyfaceとのデュエット」だった

驚くべきことに、この曲のオリジナル版はプロデューサーであるBabyfaceとのデュエットだった。しかし、レーベル側がより現代的なヒットを狙い、急遽クリス・ブラウンへ差し替えたという経緯がある。ゼンデイヤはこの変更を受け入れ、クリス・ブラウンの録音を聴いた後に「彼に負けたくない」と自身のパートを全て録り直したという。この負けず嫌いなエピソードが、楽曲のクオリティを一段引き上げたのである。
🚫 なぜ「幻のMV」となったのか?:クリス・ブラウンの炎上

ファンが待ち望んだミュージックビデオは、撮影済みでありながら永遠にお蔵入りとなった。その理由は、客演のクリス・ブラウンにある。
当時、歌手のケラーニが自傷行為で入院した際、クリス・ブラウンがSNSで彼女を嘲笑するような不適切な投稿を行い、世界中で大炎上した。クリーンなイメージを大切にするゼンデイヤはこの行動に激怒。即座に彼をアンフォローし、「こんな状況でMVを出すことはできない」と公開を自らストップさせたのだ。この決断が、後に彼女が俳優として確固たる地位を築く一助となったのは言うまでもない。
💬 歌詞のテーマ:自由で軽やかな「一夜のロマンス」
歌詞の内容は、サンプリング元の「Creep」とは対照的だ。
- TLC『Creep』:パートナーの浮気に対する裏切りと葛藤
- Zendaya『Something New』:名前も知らない相手との、純粋な高揚感
“I wanna try something new all night”
(一晩中、新しいことを試してみたい)
このフレーズに象徴されるように、重い恋愛ではなく「今この瞬間」を楽しむ解放感が描かれている。この軽やかさが、Z世代の感性にフィットした。
📊 まとめ:過小評価されたR&Bの傑作
「Something New」は、チャート最高位こそ93位だったが、Spotifyでは累計1億回再生に迫る勢いで愛され続けている。もしあなたが90年代R&Bが好きなら、あるいは俳優としての彼女しか知らないのであれば、ぜひこの曲を聴いてみてほしい。これは単なるコラボ曲ではない。ゼンデイヤが自らの意思で「次のフェーズ」へ進もうともがき、勝ち取った音楽的アイデンティティの記録なのだ。
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