1986年にニューヨークで結成されたヒップホップデュオのEric B. & Rakimは、ラップの黄金期と称される80年代後半から90年代前半にかけて、合計4枚のアルバムをリリースしました。特に1987年にデビューアルバム「Paid in Full」を発表した際には、ローリング・ストーン誌の「史上最高のアルバム500」で61位にランクインするなど、その才能が高く評価されました。
しかし、その後、Eric B. & Rakimは解散し、メンバーのRakim (ラキム)は1997年にソロデビューアルバム「The 18th Letter」をリリースしました。このアルバムは、DJ Clark Kent、Pete Rock、DJ Premierなどのトッププロデューサーによって制作され、全米チャートで4位に達し、R&B/Hip Hopチャートでは1位を獲得するなど、成功を収めました。
今回は、このアルバムからシングルとしてリリースされた「Guess Who’s Back」に焦点を当て、この曲のサンプリング元について解説します。
Rakim – Guess Who’s Back (1997)
“Guess Who’s Back” 楽曲情報
リリース日
1997年11月4日
レーベル
Universal Records
プロデューサー
Clark Kent
元ネタ・サンプリング
Bob James – Shamboozie (1982)
“Guess Who’s Back” 元ネタ・サンプリング情報
Bob James – Shamboozie (1982)
元ネタになったのは、ミズーリ州マーシャル出身のキーボーディストBob James (ボブ・ジェームス)の「Shamboozie」(1982)です。
Bob Jamesは幼少期から音楽に親しみ、若い頃から音楽コンクールで多くの賞を獲得し、音楽の才能を伸ばしてきました。後にはバークリー音楽大学で学び、Quincy Jonesに見出され、Mercury Recordsと契約し、1963年にデビューアルバム「Bold Conceptions」を発表しました。
彼はサックス奏者のDavid Sanbornとのコラボアルバム「Double Vision」(1986)でグラミー賞4部門を受賞し、他のアーティストとのコラボレーションやソロアルバムの制作を続け、多彩な音楽活動でオーディエンスを魅了しました。
また、彼のキャリア初期のアルバムはヒップホップのサンプリングで広く知られ、特に「Nautilus」(1974)はEric B. & Rakimの「Follow the Leader」(1988)などで使用され、ヒップホップの発展に貢献しました。
「Shamboozie」は、Bob Jamesの10枚目のアルバム「Hands Down」(1982)に収録されています。
Clark Kentが「Guess Who’s Back」を振り返る
「Guess Who’s Back」をプロデュースしたClark Kentは、Rakimとのコラボに熱狂していました。Eric B. & Rakimとしての最後のアルバム「Don’t Sweat the Technique」から5年が経ち、Rakimのカムバックに対するファンの熱狂を反映させた音楽を制作したいと考えていました。
特に、アルバムの最大のシングルである「Guess Who’s Back」では、そのエネルギッシュな雰囲気と宣言的な要素を強調したかったと述べています。
エネルギッシュで、主張のあるサウンドにしたかったんだ。 サンプルのホーン・ヒットは攻撃的なサウンドだと思った。 そして彼には自分のことについてラップし、最高であることを自慢するようにしてほしかった。 Rakimこそが神だ。
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